ルミナ先輩③
すいません!今回も若干長めになっちゃったので2話に分けました!
そんなこんなで始まったクリハン配信。
壮大なBGMと流麗なグラフィックで描かれる圧倒的な狩猟世界への幕が上がる。
「わ~すご~い! ママ、なんだかドキドキしてきちゃった!」
「わ~って……一応チュートリアルまではやったんじゃないの? キャラクリとか武器選びとか下位クエストとか」
「そうなんだけど、やっぱり何回見ても感動しちゃって……最近のゲームって本当に映像がキレイよねぇ」
「まあそれはたしかに」
ゲームによってはCGのレベル高すぎてまるで映画だもんな。
「ちなみにママみんのマルチプレイの解放まではルミたんが監修済みなんで安心していいよ。ベイビんもオッケーだよね?」
「あ、はい大丈夫です。裏でせっせと進めたんで。てかむしろうちの母さ……ママの分ってルミナ先輩が見てくれたんですね」
「うん、そこも含めて協力してって頼まれたからね。なんせ初プレイだって言うし。てか今なにげに母さんって言いかけなかった?」
「いやぁさすがに親子のみでの配信ならともかく、他に事務所の先輩もいるとなると……」
「あー、まだつい恥ずかしさでためらっちゃう感じ?」
「はい……」
「えーそうなのたっくん? ママはもうすっかり慣れたと思ったのに……!」
「いやいやそんなすんなりとはいかんでしょ」
「あはは、なんならこのルミたんのことも第二のママって呼んでくれてもいいんだよ?」
「それは絶対ダメです」
【コメント】
:圧つよwww
:即答で草
:ママミストップ入ります
:たとえ同期と言えどもそれだけは許し難かったかw
:嫉妬するまーたんかわいい
ちなみに本日の狩猟対象だが、ゲームのパッケージを飾っている本作の顔と言ってもいいドラゴンタイプのクリーチャーである。
白い甲殻と体毛、牙のように反り返った鎌状の角を持っており、さらには鎖のような武器にも翼にもなる特殊な前足が最大の特徴だ。
というわけで、クエストを受注した俺たちは早速行動開始。
広大な砂漠のようなフィールドに降り立つや否や、まずは兎にも角にもクリーチャーのもとへとダッシュする。
なお、それぞれのハンターの武器は俺が片手剣、母さんが弓、ルミナ先輩が太刀という陣容。
「ところでママはなんでまた弓にしたの? なにかこだわりでもあった?」
「ん~こだわりってほどでもないけど、これはママが学生のときに部活で弓道やってたからかな。まあゲームでその技術が生きるわけじゃないんだけど、なんとなくふと見たら懐かしくなって」
「へ~なるほど……え、てかその情報も初耳なんだけど。ママって学生時代弓道部だったの? 高校?」
「ううん、中学のとき。高校では辞めちゃった」
「え? それってもしかして俺を引き取ったから……?」
前回の配信で母さんが俺を引き取ったのは中学の頃だと判明した。
そして母さんが働き始めたのは俺を育てるため。
とすると、仕事が忙しくて部活どころでなくなったから諦めたという線は充分あり得る。
もしそうなら……。
「ううん。胸が大きくなりすぎて弓が引きづらくて」
「あ、はい」
【コメント】
:むほ
:でっっっっっっっ
:弓が引きづらいほどの大きさって……
:これは貴重な情報
:想像力が掻き立てられますなぁ
:ふぅ・・・
「う~むさすがママみん。中学の頃からそれほどとは……」
「胸当てのおかげで引っかかりはしなかったけど、その代わり苦しくて苦しくて。これはちょっとムリかも……ってね」
ま、マジかよそんなにか。
まあでもこのサイズならたしかに……。
「あ、ベイビんがママみんの胸見てる。やらし~」
「ちょっ、な、なんですかルミナ先輩っ! 言いがかりはやめてくださいっ!」
「お~お~動揺しちゃって。かわいいね~」
「もう、たっくんったら。見たいならもっとハッキリ見てもいいのに。はい、どーぞ」
「どわぁああ! やめて、どうぞじゃないから! 画面が見えん!」
【コメント】
:うひょおおおお
:視界が覆われるほどのサイズ
:たっくんうらやま
「……ふぅ、やれやれ。あ、そうだルミナ先輩」
「ん、なにかな?」
「ああいや、それでチュートリアルのときはどうだったのかなと。ゆーてもうちのママって俺の知る限りではアクションゲームとかやってるとこ見たことないんで、地味にちゃんと操作とかできるのかなって心配してるんですけど」
「う~ん……それはまあ見てからのお楽しみかな。少なくともベイビんの想像を超えてるとは思うよ」
「あ、そんなんですね。ちょっと意外」
【コメント】
:へー
:ほほう?
:それは楽しみ
:なんと。あのルミたんのお墨付きとは
ルミナ先輩の放ったひと言でにわかに期待が膨らむコメント欄のリスナーたち。
それもそのはず、息子でありつつさらに同じまーたんのファンである俺が見たことないということは、当然ながら他のママっ子の皆さんも母さんのゲームプレイは未知ということ。
はたしていったいどれほどの腕前なのか実は誰も知らないのだ。
そしてその一方でルミナ先輩は言わずと知れた大のゲーマー。
そんなルミナ先輩に想像を超えるとまでは言われたら、否が応でも期待は膨らむというもの。
「ていうかルミナ先輩、ヤバすぎません? HR999って……それもうカンストしちゃってるじゃないですか。どんだけやりこんでんですか」
「ふふん、まあそれほどでもあるかな。これでも発売初日からず~っとヒマを見つけては狩りに出てるしね」
【コメント】
:う~んさすがは廃人
:ゲーム配信とゲーム配信の合間にゲームをする女
:いよいよ生活が食う、寝る、ゲームの3択になってきたな
「は? ちゃんとアニメも観てるんだが?」
「反論そこっ!?」
【コメント】
:草
:廃人は廃人やんけw
:やっぱり典型的なヒキニートじゃねーかwww
いやはやとんでもないな。マジでさすがVランド随一のゲーマーだ。
見習いたいかと言えばそうは思わないが、ある意味その集中力は賞賛に値するような気がする。
とまあ、俺たちがそんなやり取りをしながら移動している間に――。