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親子の雑談配信②

「ところでたっくん、今日の雑談って話す内容はもう決めてるの? テーマとか」

「テーマ? あー……実はあんまり深くは。最初は早速ゲーム配信をやろうと思ってたんだけど、結局またいろいろ迷って決めきれなくて」


 そう、だから今日の配信はほぼ見切り発車に近い。

 我ながらちょっと反省。


「そうなんだ。ということは、ほぼフリーって認識でいい?」

「うん、まあ……」

「じゃあじゃあ、ママから話題について一つ提案があるんだけどいい?」

「提案……?」


 どことなくウキウキな気配の母さんに身構える俺。

 昨日も若干痛い目に遭っただけに、俺の中の危機察知センサーが反応する。

 そんな中、母さんは意気揚々と頷いた。


「うん! ママね、今日はたっくんの“好きな女の子のタイプ”が知りたい!」

「……は?」


【コメント】

 :好きな女の子のタイプ?

 :恋バナってこと??

 :これまたいきなり攻めた話題やなぁw


「えぇ……なにそれ、いろんな意味でちょっと答えづらいんだけど」


 別にこんな赤ちゃん(ビジュ)だし、自分をアイドル売りしようとはそこまで思ってない。性格的にガラでもないのはよくわかってるし。

 ただ単純に恥ずかしくはある。学校だってそうだろう? 好きな女子の話題をするとか勇気がいるもんだ。ましてそれを大勢の視聴者の前でとなると尚更だ。

 ……てゆーかぶっちゃけた話、俺の人生に恋愛経験なんてもんはないから語れること自体がないし。


「あ、心配しないで。女の子のタイプって言ってもリアルな方じゃないから」

「え? と言うと?」

「そうじゃなくて、好きなマンガとかアニメのヒロインとかのほうってこと。この作品のこの子とこの子だったら、たっくん的にはどっちのほうが好き?――みたいな」

「あーそういう感じ。ならまあ……」


【コメント】

 :なるほど

 :ほう

 :ええやん!

 :これはおもしろそう!

 :飲み会とかでやると絶対盛り上がるやつ!!


「でしょ~? せっかくこうして親子でお腹をパックリ割って話せるようになったし、一回でいいからたっくんとこういうおハナシしてみたかったんだぁ」

「いやパックリて割れすぎでしょ。それもう筋トレとかで使う表現やん。……まあでも、たしかに今まで家でこういう系のハナシしたこと一度もないか」

「うん。たっくんってちょっと奥手というかシャイなとこあるし、ママもちょっと遠慮してたし」

「そりゃ娘とかならいざ知らず、男で好き好んで母親と恋バナはしないでしょ……」

「えーそういうものなの? ママは興味津々なのに」


【コメント】

 :ないよ

 :さすがに親子はない

 :兄弟とかでもギリだろ

 :フツーに恥ずくて無理っす

 :そこまでするのはよっぽど仲良い


「あ、そうなんだ。じゃあ今日のママとたっくんはそのよっぽどな関係になるんだね……ポッ///」

「いやポッじゃないから。やめてください頬を赤らめないでください恥ずかしい」

「うふふ。だってすっごく楽しみなんだもん」


【コメント】

 :ウキウキやなぁww

 :よっぽどの関係(意味深)

 :どんだけしたいねんw


 いやホントそれな。

 まあさっきも言ったけどマンガ関連なら何を話そうがたいして傷を負う心配もないし、別にいいんだけど――。


「あっ、そうだたっくん。本題に入る前に、まず大前提としてとっても重要なことを確認しておきたいんだけどいいかな?」

「ん?」


 大前提? 重要?

 なんだ……?


「たっくんて童〇?」

「ぶっーーーーーーーー!!!!!」


【コメント】

 :は?

 :は?

 :え

 :!!!!!!

 :ま、ママミさん!!!?

 :いきなりなに言いだしてんwww

 :急にぶっこんできやがったw

 :配信でDTはマズいですよ!

 :ド直球で草

 :さも当然のように笑

 :最近のまーたんのタガの外れっぷりは異次元

 :母親が息子にする質問じゃないwww


「ゴホッ! ゴホッ! ……ちょっ、なんすかいきなり!? それ今関係ある!?」

「あるある。むしろとっても大事なことよ。だってその答え次第でこういう恋愛系の質問の回答ってニュアンスとかがだいぶ変わってくるじゃない? ママがたっくんをより正確に分析するためにも、これは必須の情報です」

「えぇ……なにその理屈……。てかだからってなにもこんな急に聞くフツー……? コメントにもあったけど一応これ配信なんですけど……」

「うん、それについてはゴメンなさい。でもね……これがママの道だから」


【コメント】

 :道www

 :どんな道だよw

 :キリッ……じゃないがw

 :なんでちょっとカッコいい風w


「で、どうなの? 未経験? それともアリ?」

「うっ……いや、そりゃまぁ……経験があるかないかで言えば……………………ないけど(ボソッ」


 ぐぅあああなんだこれ! なんかめっちゃ恥ずかしい!


「……ふ~んそうなんだ~。たっくんはないんだ~……ふ~ん?」

「ちょっ、なにその意味深な笑顔! やめてニヤニヤしないで! 余計に恥ずかしくなってくるから……!」

「え~そうかなぁ? ぜんぜん気にすることなんかないのに。今って若い人のそういう経験率ってどんどん下がってきてるらしいよ。なんなら20代30代でも半分以上はないとかなんとか」


【コメント】

 :そうそう

 :せやで。ソースは俺

 :ちょい前にもネットニュースで取り上げられてたな

 :時代やね

 :つまり俺らは正常ってことか

 :むしろたっくんが俺らの仲間でよかった・・・


 そ、そうなんだ……なんか俺もちょっと安心したかも。

 まあなんでこんなことを母さん含め世間に暴露する羽目になったのかはともかく……。


 ――と。


「あ、ついでに言っておくとママもまだ()()()だからね」

「え……」


【コメント】

 :え

 :え

 :え


「ま、マジ……?」

「そうよー。だってたっくんを引き取ったとき私まだ中学生でしょ? そこから放課後はずっとアルバイトでお金稼がなきゃだったし、そもそも恋愛自体をするヒマが全然だったもの」

「え、ってことはつまり……」

「はい。この花咲ママミ、生まれてこの方絶賛新品未開封のままであります」

「えぇええええ!!?」


【コメント】

 :ファッ!?

 :中学生!!??

 :はっっっっっや!!

 :JCで子育てってすげーな……

 :リアル14歳の母やん

 :てかたっくんが現役高校生で中学生で引き取ったってことはまーたんの年齢って・・・

 :少なく見積もっても30代前半……になるのか?

 :めっちゃ俺と同世代やん!!うれしい!

 :え、それよりも新品未開封ってマ……?

 :おいおい・・・おいおいおい!!

 :うおおおおおおおおお!!!

 :さらっととんでもない暴露来た!!!

 :むしろそっちのほうが衝撃なんだが!!?

 :配信でアラサー処〇宣言する女性VTuber笑

 :控えめに言って神

 :この日、全ユニコーンが泣いた

 :3○歳DTのぼく、思いがけず昇天する

 :ユニコォォォォォォオオオオン!!!!!!(歓喜)

 :\ 覚 醒 H Y P E R /

 :うおおおおRUSHタイムきちゃあああ!!!

 :すまん、今からちょっとパチンコ打ってくる。今なら当たる気がする

 :やべぇ俺一生まーたんについていくわ

 :俺もや!

 :【朗報】処〇厨ワイ、虹の彼方へ


 えっへんとばかりに言い切った母さんに、まるでお祭り騒ぎのように乱れ狂うリスナーたち。

 一方、俺は驚きとともに困惑した。


「え……ちょちょ、ちょい待った。いやいやいや……え、でもそれだと計算合わなくない? だって俺の知る限りだと母さん……じゃなくてママって俺を産んでくれた方の母さんの友だちだったんだよね? 引き取ったのが中学生の時って……え、俺の母さんってそんな若くして俺を産んでたの? もしや学生結婚とか?」

「ううん。旦那さんと付き合ったのは大学のときだったみたいだけど、結婚はちゃんと就職してからだったよ。でもほら、友だちと言ってもいろいろあるじゃない? 私とたっくんの本当のお母さんって、友だちと言っても家が近所で仲良くなったいわゆる幼馴染タイプだから。だから実際は私の方がそこそこ年下なの」

「あー……」


 な、なるへそぉ……たしかに言われてみればそういうパターンもなくはないわな。

 ……に、にしてもマジか。てっきり学生時代に親友だったとかそういうノリだと思ってたんだけど完全に初耳だったわ。

 親子だけあって今までこういう話はなんとなく避けてたから全然知らんかった。まさか母さんにそんな裏話があったなんて……。

 え、というかじゃあ母さんってガチで一度も恋愛したことないの?

 マジかよ……なんか驚いた反面、すごくホッとしたような気も……。


「はい、それじゃあ大事な確認も済んだところでそろそろ一個めの質問にいこっか」

「あ、そんなさらっと先に進んじゃうんだ……」


 すげぇ、コメントとの温度差が全然ちげぇ。

 マジで母さん的にはそこまで重大な事実ってわけでもないのか。


「じゃあまずはママの青春時代の作品からね。『あなたは”い〇ご100%”だったら東城派? 西野派?』」



個人的にはラブコメ界屈指の2択だと思ってるやつ

※読んだことない方はごめんなさい


次回は5/16(金)の予定です

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