キャットウォーク
今日は晴天、わたしの心は曇天。
自分の手足を見る。なぜ、人間は人を痛めつけてしまうのだろうか…。「人」という字は助け合ってできた漢字だと聞いたことがあるが、嘘だと思った。
助け合っているのなら、助け合う手足があるのなら同じ〝人〝を虐めないだろう。
それとも〝弱い人〝は〝人〝ではないと言いたいのだろうか。
「にゃー」
ふと視界の隅に黒い毛が掠め、それと同時に猫の鳴き声が聞こえた。
存在するだけで癒されて可愛くて何より自由よね、猫って。
「何で人間に生まれてきたのかな…こんなにつらい思いするのなら…」
〝猫に生まれたかった〝
「猫になるか?」
「え?」
誰もいない道で、突然人の声が聞こえた。
だいたい10代くらいの男の子の声がした気がする。
周囲をキョロキョロ見回したが誰もいない。
いるのは黒猫だけ…目が合う…綺麗な黄色い目と。
「あっ!待って!!」
黒猫は家の平垣に上がり、どこかへ行ってしまった。
あの自由さが羨ましい。わたしも家に帰ろう。
先ほどまでの不思議な感覚が嘘のように、わたしの気持ちも夕日と共に沈んでいく。
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「にゃー(ここどこ?)にゃにゃにゃにゃー(視界が地面に近いというか揺れてるというか)」
まるでメリーゴーランドに乗っているような下半身だけぶらんぶらんと揺れているような感覚がある。
そして何より首裏を引っ張られている感覚に違和感があるんだけど。
「にゃにゃにゃーー!!!(えっ!!うそっ、おちるーーー!!!)ゔにゃっ!!(いでっ!!)」
ぴょんぴょんっと平垣を超えた先でポイっと軽く落とされたのは柔らかい芝生の上。
前を見れば、ザバ柄のポチャ猫。隣を見れば、黒猫。
そして自分の手が白い毛で覆われていた。まるで猫の手のように…。
「にゃっ、、、にゃにゃにゃにゃーー!!??(へっ、、、どういことーー!!??)」
これが新しいはじまりで、可愛い猫たちとのキャットなウォークが幕を開けることになる。