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出来るかどうかじゃない、助けたいから助ける


 私は元警察官にして福祉従事者という非常に胡散臭い経歴の持ち主。

 緊急時にはまず動くことを鉄則とします。

 入れ歯を飲み込んで窒息しかけた高齢者。

 発作で倒れ舌根沈下を起しそうな障碍者。

 静観していても事態が好転することはありません。

 自身の為すべきことを冷静に判断し迅速に行動です。

 今一番しなくてはいけないのは、まず安全の確保。

 このままではこの方が溺れる可能性があります。

 崖っぷちギリギリまで近づき救出に向かう私。

 なかなかの急斜面の為、自身が落ちないように注意。

 木乃伊取りが木乃伊になる、ではすまされません。

 救急隊の手を増やしては元も子もないのですから。


「救助の人が来るまでそのままにしておいた方が――」

「そういう訳にはいかないでしょう。

 下手をしなくても沈んじゃいますよ!」


 ご婦人の一人が話しかけてきますが、強く反論しシャットアウト。

 人命が掛かっている状況では悠長に議論し合う余裕がありません。

 崖から手を伸ばすも、少し距離があって届かない。

 くそ、これじゃ駄目だ。


「大丈夫ですか!?

 自分で動けますか!?」


 騒動になっても無表情のままで動かないお爺さんに質問。

 返事はありません。

 仮面のようなその顔に低体温症が懸念されます。

 水難事故の禁則事項として、直接泳いで助けにいってはいけないということが挙げられます。

 溺れる者は藁をも掴むの格言通り、救助者に物凄い力でしがみついてくる可能性があるからです。

 そうでなくとも濡れた衣類は拘束具。

 自由に動けなくなります。

 何か方法は……この事態を打開する案は……




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