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プロローグ

R15

輝夜姫モチーフ。

上手く書けるか続くのか…

誤字脱字には気をつけますが、どうなることか。

反応頂ければ、嬉しいです。

よろしくお願いします

過ちを…わたしは犯してしまったのだ。

取り返しなどつかない、贖う術すら見つからぬ。

なのに、わたしは…

彼の君に、二度と会うことは叶わぬという、あまりに哀しく冷たい事実。それに打ちのめされそうになっていた。彼の君をこうして想うことすら、重罪で、赦されぬことだというのに…

わたしは、忘れられないの。


規則を、教えを破って、禁忌の扉をあけたわたしは、月の地底の中で「千年の眠り」の刑を課された。


それは、実質「死刑」のようなもので…

月の地底の中で、永久的に閉じ込められ、千年後に、この肉体も魂も朽ち果てて消滅させられるという刑だった。


わたしは月の中で生まれ、生涯を月の中で過ごす運命(さだめ)と共に生まれてきた。

そのことに、特に不満はなく、私はそれに則して生きていくことも、特に不満はなかった。


「輝夜姫」


夜を輝かせ、照らす姫。

それがわたし。

月の守護を天命として生を受けた。

けど、わたしはそれに背いてしまった。

罪人となったわたしの運命の歯車が再び、まわり出すなんて…わたしは思ってもいなかった。

でも、それが全ての始まりだった。


大きくはないけど、煌びやかな殿舎を与えたれ、侍女達に傅かれてわたしはそこで、何不自由のない、けれども、少しだけ退屈な日々を送っていた。

月の灯りにも似た色の白亜の宮殿。

わたしに仕える侍女たちも、皆、月光の色の装束に身を包んでいた。


白だけが広がる殿舎。

その窓から見えるのは、広く深い色彩の黒の闇。

その中に様々な、色彩の星の数々…

闇の中に散らばり、広がる星、それぞれは大きさも色も全く違っていて、わたしは、ほうっとため息をついてその鮮やかな美しさに、心も視覚も奪われていた。


「ねぇ。ヤマト?」

侍女達が退がって、1人になったわたしの居室で、わたしは小さく言葉を発した。

よんでもすぐに、返事をしないなんて、高慢で嫌な奴。

わたしは少し、苛立って、手に持っていた七色の色彩の奥義をばっとすぐ横の柱に叩きつけて、もう一度、よんでみた。


「ヤマト!?きこえてるんでしょ!早く出てきなさいよ!」


音もなく、眼前に出現したのは、わたしより上背のある、黒髪の青年だった。

憮然として、不機嫌。

ヤマトは髪と同じ黒の瞳に剣呑な光を宿していた。

月は惑星も白く、この殿舎も、それ以外の建造物も、身に着けるものも、全て月光の色に近い白に

統一されていた。

そして、月は男子禁制で、ここの最高位の身分である、わたしを含む全ての住人が女だ。

白の色彩。

女しかいない世界。

その中で、黒髪の男というのは、かなり異レギュラーで想定外。

でも、わたしはそんな彼が嫌いではない。

「なんだよ」

と、こちらを見ようともせずに憮然と言い放つヤマト。

わたしは、その無愛想な感じがなんだか楽しくて、フフッと声を殺して笑った。


「ねぇ、ヤマト、元いた場所はどこなの?貴方の故郷、ここから見える?」

わたしは、窓に映し出さされた数多の星を指さしながら、ヤマトに尋ねた。


ヤマトは、この星の住人ではない。ある日突然、現れた。

わたしの住む、殿舎の敷地内の庭の片隅。

そこに倒れていた。

おそらく、次元の歪みに巻き込まれたか、宇宙船のトラブルか何かでここに、彼の意図とは関係なく放り出されてしまったのだろう。


侍女たちに見つかれば、間違いなく、処刑の流れになってしまう。

ここは、男子も異星人も禁制の星なのだから。


(…どうしよっかな)

何も悪いことをしてない人を殺すなんて、なんか気が進まない。

初めて見る「男」。

すごく不思議な感じ。

黒い髪、大きな体。わたしの知らない生き物。

不思議過ぎて目がはなせない。

どうしようか、思案していると、やがて彼は意識を取り戻し、うっすら瞳を開けた。


宇宙と同じ黒の瞳。

不思議な色彩。

彼とわたしの視線はゆっくりと絡み合った。

わたしを見てあきらかに驚愕している様子だった。


無理もない。

意識を失って倒れて、目が覚めたら知らない女、知らない場所なんてね。

「…誰だよ?お前は…」

低い声には警戒の色。

わたしは、なるべく力を抜いた感じで、彼の言葉に応えた。

「警戒しないで。貴方に危害を加えるつもりはないの」

「…んな言葉、信じられるかよ…俺は今上を…」

そこまで言うと彼は再び意識を失った。

それが、わたしとヤマトの出会いだった。


宇宙に点在する星を見つめながら、ヤマトはやがて一つの星を指さした。青がとても美しい色彩の星だった。


ヤマトの瞳には、あきらかに憧憬が滲んでいた。

わたしは、侍女たちに見つからないように、ヤマトを隠していた。けれども、いつまでこの、秘密を保てるか…わからない。

だから、思い切って彼に提案をした。


「貴方の故郷の惑星に帰らない?わたしが協力するわ」

「…はっ!?何言ってんだ!?」

「大丈夫よ。悪いようにしない。だって貴方、気にしてるんでしょ?今上のこと?」

図星だったようで、ヤマトは押し黙った。

「協力するから協力して。いつまでも、貴方をここで守れるかわからないし、ね」

少しの沈黙。

やがて、ヤマトは重い口を開いた。

「…ほんとに帰れるなら協力してやる。だが、輝夜、お前、何企んでいる?」

さすが、ヤマト鋭いな。

わたしは、ヤマトに笑みを返すと唇を彼の耳によせて、希望を伝えた。


「…ったく。無茶言いやがる。どーなっても知らねーぞ」

心底、嫌そうな顔をするヤマトにわたしはニッコリ笑ってみせた。


「月を出てヤマトのいた星を見てみたい。叶えてくれないならヤマトの星を潰す」


無茶苦茶なわたしの脅し。

脅されたヤマトは、しぶしぶ、わたし、輝夜姫と共に故郷の星に行くことになりましたとさ。


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