表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/49

心理戦!おてんば美少女!

 アルセーヌの問いかけにしばらく黙り込んだセリーナは、重い口を開いた。


「答えたくない。だって貴方のこと信用してないもの」


「短くはない間、共に過ごしたはずじゃがのう…」


「それと信用できるかは別だと思うな~。素性も何も分かったものじゃないし」


「お互い様というわけじゃな。いいじゃろう、ならワシが何者であるか教えてやろう」


「…」


「怪盗じゃよ。とは言っても帝国政府御用達のじゃがな。今回もその仕事で公国に潜入していたのが、しくじったのじゃよ」


「そうだったんだ」


「今度はそちらの番じゃよ」


 怪盗だったのかぁ。アルセーヌで怪盗だと、主要ではなくても小説に関係していたのかな。さて、どこまで言ったものか。


「ん?何のこと?」


「そう出るか小娘…」


「話すなんて約束してないもーん!それに、こうなることは何となく分かってて言ったんじゃないの?」


 上目遣いで覗き見ると、アルセーヌはニヤリと口角を上げた。


「つくづくこの集落に置いておくには惜しいのう…。予想通りじゃよ。残念じゃが連れていけないということじゃ。」


「私も協力してあげるよ?」


「小娘1人に何が出来るというのじゃ。それに信用ならんしなぁ」


 鼻で笑って上から見下ろしてくるアルセーヌを見て、セリーナはさも失望したかの様な冷めた表情で見つめ返した。


「ならいいや。アルセーヌ、私はがっかりだよ。怪盗ともあろう者が」


「身勝手な…」


「身体強化はボス達に習ったもので、隠密も出来るよ。知能に関してはこんな感じ。あとは知りたきゃ自分で盗んで、怪盗アルセーヌ」


「…それだけ分かれば十分じゃ。3日後に公国へ向けて発つから準備をしておけ」


 そう言い残すと、アルセーヌは一足先に帰路についた。


 ふぅ、回りくどくはなったけど、前世は有耶無耶にして何とか連れて行ってもらえることになったね。心理戦とか苦手なんだよね~。前世以来じゃないかな。

 何が起きたのかの流れだけど、どうやらあのおじさんは政府御雇の怪盗で仕事に失敗してこの森に来たと。

 ここからが問題だけど、政府は賊の存在を公認するはずがない。失敗をしたおじさんは無事に帰っても()()()()()()()し、公国で仕事を続行するつもりだった。だから、私の能力を測るためにもあえて正体を明かして、暗にそれを示唆したんだ。仮にというか、当初は連れていくつもりはなかったんだろうけど、森の奥地に住み着いている幼い少女1人に怪盗って明かしても問題ないって踏んだんだろうなぁ。

 それをクリアした私に、次は一緒に仕事が出来るのかを試してきたけどそれもクリアしたのだろう。


 今のやり取りを通して私の中でもいつもの可愛いセリーナちゃんと、大人な花さんの住み分けの良いバランスを見つけたかもしれない。いつもはセリーナでいい。身に危険が迫るタイミングや必要な時だけ花に切り替えればいい。()はそれでいい。


「ふぁぁ~疲れた。猪さんと果物食べに行って遊んでから帰ろっと」


 まだ日は暮れておらず、遊ぶ時間は十分に残っている。鼻歌を歌いながらスキップをしている様子を見たモリビト達は、何か良いことがあったのだろうと暖かい目でセリーナを見送っていた。




























 ん?悪いことをする罪悪感はないのかって?


 大丈夫。こういうことには()()()()()から。

次回:爆誕!怪盗美少女!


ついに怪盗としてのセリーナが動き出す


ブクマと高評価よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ