表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/49

公国潜入!怪盗美少女!

本日4話目

 計画についての話し合いが終わった2人は、早めに就寝をして深夜の2時半に出発する乗合馬車に乗車した。早めに寝ているとはいえ、眠いことには変わりないので、座り心地の悪い馬車の中でも出来る限りの休息をとる。

 段差の衝撃で何回か起きたセリーナだったが、夜明け前で徐々に明るくなってきたぐらいで関所に到着した。


「身分の確認を行う!全員降りて一列に並ぶように!」


 最初の関門がやってきた。ここでばれてしまったら全ての計画が水の泡と化す。後ろの方に並んだセリーナは緊張で方がこわばるが、後ろからアルセーヌが肩を揉み解してくれる。


「緊張しているとあちらにも伝わるからのう。怪盗たるもの大胆にじゃ」


 見上げると、変装して誰の顔か分からないアルセーヌがセリーナにウインクをして微笑んだ。


「次!」


 徐々に自分たちの番が近づいてくる。関所に歩み進めていくが、その一歩一歩がまるで断頭台への階段のように重くきついものに感じていた。


「次!」


 とうとう自分たちの番が来た。護衛兵が囲む中、役人が身分証とこちらを交互に見てくる。


「何用で公国に」


「この孫が大人になる前に広い世界を見せたくてのう。旅をしておるのじゃよ」


「ふむ」


 椅子に座っていた役人が前のめりになってこちらを見てくる。


「こんばんはお嬢さん」


「…!」


「この娘は緊張しいなのじゃよ。勘弁してやってくだされ」


 アルセーヌに向き直った役人は怪訝そうに質問を投げかけた。


「その娘の親はどうしたのだ」


「反対しておって付いて来ておらん。老い先短い老人の最期の願いで渋々了承してもらったのじゃ。保守的じゃから今も村に引きこもっておるわ。ほっほっほ」


「どこの村からだ」


「帝国の北の方からじゃ。それ以上のことは言えんのう」


「わざわざ南にある公国まで老人と娘の2人だけでか」


「馬車を利用しながら景色を楽しんできたわい」


「ふむ」


 長い沈黙が場を支配した。冷や汗が垂れてくるのが分かる。


 駄目かもしれない。そう思いかけていたその時


「通ってよし」


 ほっ


 なんとか切り抜けたみたい。おじさんと一緒に関所を越えていく。


「待て!」


「…っ!」


 アルセーヌも予想外だったのか、顔がこわばり振り向くことを躊躇している。


「美しい娘だ。人攫いや強盗には気を付けるんだぞ」


「ほっほっほ、分かっておりますわい。お気遣い感謝するのじゃ」


 心臓に悪すぎるサプライズを受けて、寿命が縮む思いをしながらもなんとか関所を通って公国に入ることに成功した。

 しばらく乗合馬車に揺られて、日が昇って朝食の時間帯には国境に最も近い町に到着した。そこで変装のまま朝食を食べると、再び乗合馬車に乗って次は公爵の居城がある公爵領の領都を目指した。


「身分証を」


 領都でも門兵による確認が行われていたが、国内の移動のため国境程は警備が厳しくなかった。


「通れ」


 兵士に通されて門をくぐると、小綺麗な街並みが丘の上にある中心部の城まで続いていた。メリディエム公国最大の都市にして、公爵の居城がある地だ。計画的に作られたのか区画は整備されていて、どの方向から見ても城を中心にシンメトリックになるように作られていた。


「こっちじゃ。はぐれんようにな」


 例によって裏路地を進んでいくと一軒の巨大な廃墟が突然現れた。


「ここを拠点にして夜に行動開始じゃ」


「お化け出そうで怖いんだけど…」


「お化けじゃと?そんなもの死霊使い(ネクロマンサー)が回収しとるに決まっておるじゃろ」


 ええ、そんなのもいるんですか。小説に全く出てこなかったけど世界は知らないところで広く広がってるんだね。

 廃屋敷に入るといかにも出そうな雰囲気…ではなく、外見からは想像出来ないほど綺麗にされていた。


「なんか想像してたのと違うかも」


「ここは裏社会のやつらが共有で使っておるからの。滞在だけは許される代わりに計画を実行するときは別の所を拠点にしないといけないんじゃ。ここがばれるからの」


「あれ?私達はここを拠点にするって」


「長期滞在じゃない一発勝負じゃからの。飛び立つのを別の場所からすれば何ら問題ないんじゃ」


 なるほどとセリーナが裏社会の事情に感心していると、アルセーヌが袋から何やら取り出して組み立て始めた。


「何作ってんの?」


「これかのう?これはハンググライダーじゃ」


「ハンググライダー!?」


 絶対私以外に転生者いただろこれ!形もまんまそれだし。でも疑問が1つだけある。ハンググライダーって普通山から滑空して降りるやつのはずなのに、ここより高い場所にある城に行けるのかな。


「それで風に乗って空を飛ぶの?」


「それだけでは届かないからのう。ここに魔法石を嵌めて動力を得て使うのじゃ。時間になったら見せるからそれまで我慢するんじゃぞ」


 少し緊張していたのが、実演を見れるということでわくわくに変わって、計画が実行される深夜までが楽しみで待ち遠しくなるセリーナであった。

4話目なんとか上がりました、、


本日最後の5話目は21時投稿予定です。


ブクマを!ブクマをよろしくお願いします!


そして神様は高評価をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ