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嫉妬心もあったと自覚した日が、




飲みの会が盛り上がれば上がるほど、イライラが募ってくる。ああ、久々に最悪だ。


せめても顔に出ないようにと気を引き締め、酒を呷った。




「いや~まさか、下鳥さんと城市さんにそんな事情があっただなんてな~」


「というか!今回の件、部長か人事部の陰謀だったりして!!」


「うわ、それありえそうじゃない!?下鳥さんがどの課に入ってもどうせ騒がれるから、ウチの課が僻まれる前に内輪で揉めさせようって魂胆!?」


「おいおい!それだと俺がまんまと乗せられた単純なヤツってことか~?!」



課長が豪快に笑うと、それに釣られて笑いが起こる。

この人は、結局やっぱり凄い人だ。憎めない愛されキャラの下鳥さんは、どこの課も欲しい人材なのだ。



あの後、とりあえず課長も誘ってみたところ、なんと俺の奢りで送別会すると言われ、マジかと一瞬思ってしまった。


でも、どういう風の吹き回しかここ数日は嫌味を言わなくなり、課の雰囲気も落ち着いてきていたし、課長を疑う気持ちは少々ありつつも送別会を企画した。

キチンと、できることならば盛大に、城市さんを送り出したかった。のは、自己満かもしれないれど。



「城市!!」


「…ッはい?!」



かなり飲んでいる課長が、城市さんの方へ体を向けて姿勢を正した。



「今回のこと、本当にすまなかった!!」



ガバリと勢いよく頭を下げ、バッと戻す。



「諸々の事情があるとはなんとなく察してはいたが、城市は、俺なんかよりも学歴も上だし、その、アレだ!ただの妬みでしかない!本当に、すまなかった!!」



素直に謝るその姿に、なんだか悔しいほどに好感度が上がってしまった。

まあ、本当に純粋に?嫉妬していたのだろうとは思っていたけれど…



「……そんな、下鳥さん、お手をお上げください。私は…あの当時から、下鳥さんに、申し訳なくて。せめてと必死に努めようと思っていたんです。…ですが、空回りばかりで…課のみなさんにも……今更かもしれませんが、本当に申し訳ありませんでした…」



縮こまってそう謝る城市さんに、今日事情を聞いた課の人たちは、思い思いの謝罪やらなんやらを口にし始めた。



「冷たい人だと思ってて…勘違いしていました!ごめんなさい!!」

「でもいつも指示が的確で凄いと思ってました!!」

「そう!!ほんとうに!!城市さんがあんな経緯で断れなくて課長を引き受けただなんて、信じられないくらいです!!」



手のひら返しもいいところだと、思いたくなってしまった。自分のことを棚に上げて。最悪だ。

あー……腹が立って仕方がない。


次々と褒め称えられて狼狽える城市さんに、さあ今晩は飲むぞ!!と空気を変える下鳥さんに、盛り上がっていく送別会の雰囲気に、厄介な感情が暴れそうになる。



「あの…、小新さん」



隅にいる自分のところへ、ひっそりと近付いて来た。



「この度は、本当に、ありがとうございました。ぜんぶ、小新さんの、お陰です…!」





ーーほんのり上気した頬を緩ませたその表情に、もう、全てのことが、どうでもよくなってしまった。





小新の心の声(ず、ずるい…!!)

次で最終話です!!

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