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踊り手が巻き込まれたストーカー行為の真相

作者: あーるぐれい

【踊り手】とは


ダンサー。及び、動画投稿サイトに自分たちの踊りを投稿する人達の総称。

特にネットでは、踊ってみた動画を投稿する者を、踊り手、と言う。


皆さんは踊ってみた動画を見たことがあるでしょうか。


一般人が、ボーカロイドなどの曲に合わせて

衣装を着て踊る。


そのきらびやかな世界に

憧れる人たちもいることでしょう。


私が相談を受けたのは

半年程前でした。


相談者はみみさん(仮名)。

みみさんは、数年前から踊ってみたの活動をしており、界隈では少し名の知れた人物で、ファンも沢山おり、充実した踊ってみたライフを楽しんでいるものと思っていました。

今回、少し前からストーカーのような事が起きている気がして、純粋に楽しめなくなってしまった、との事。

昔からの繋がりがあった、私に相談が来たのでした。


「…気のせい、ではないよね?」


みみ

「うん…。例えば、私がバイト先から帰る途中で、誰かに見られてるような気がしたり、1人で家にいると、チャイムがなるけど、モニター見ても誰もいないし気味が悪くて…。」


「警察に相談はした?」


みみ

「したよ?でも、警察がその辺を張り込みとかしてくれてたみたいだけど、私も犯人が誰なのか分からないし、実害も出てないから、捕まえようがないらしくて。警察が動いてくれてた期間、パタッとそういうのがなくなったんだ。」


「なら今も続いてないんじゃないの?」


みみ

「全然だめ。警察が引き上げた途端にまた始まっちゃって…。」


どうやら、このような状態が、半年以上前から続いているらしく、精神も不安定な状態が続いており、踊ってみたどころではない、との事。


声からも震えが出ており、明らかに普通ではない状態でした。


そこで私は、こう聞いてみました。


「すごく申し訳ないんだけど、誰かに恨まれたりしてることって、ないよね?」


みみ

「どうかなぁ、私自身言葉にはめっちゃ気を遣ってきたつもりだし…。恨まれるようなことはしてないと思うんだけど。」


「みみさんがそんなことしてないなら気に病む必要は無いと思うんだけど…自分もなんとも言えないから分からないな…。」


みみ

「そうだよね…。ごめんねいきなりこんな話して!」


その日は、そういった形で電話を切りました。


3日後のことです。

みみさんから再び電話がかかって来ました。


みみ

「ごめん、ちょっと見てほしいものがあるの。」


そう言って送られてきたのは

あるイベントで撮られた集合写真でした。


踊ってみた界隈では有名ですが

イベントの終了後は、演者も客も全員で

集合写真を撮るのがほぼ慣例となっており、

そのイベントも界隈の慣例に則って撮られたものでした。


なんということはない普通の写真です。


みみ

「ここ。見てほしいんだ。」


みみさんが丸をつけて送ってきたのは

音響機材から顔をのぞかせる1人の男性。


みみ

「実はこの人、元カレなの。」


「まさか元カレをイベントに呼んだの?」


みみ

「呼ぶわけないじゃん!喧嘩別れしたんだし。それに、この写真の元彼の顔、絶対おかしい。」


私もよく見てみると、音響機材から顔をのぞかせているのは間違いないのですが、機材に対して直角に顔が出ており、首から下げているアクセサリーも、地面に向かって垂れているのではなく、重力に逆らってそのまま首にかかっています。


「これは…。」


と私も思わず絶句しました。

とはいえ、みみさんが言うには、元カレさんは、未だ健在だと言います。


みみ

「生霊…とかなのかな。」


「調べてみないとなんとも…。ちょっとだけ、この写真借りていい?」


みみ

「分かった…。」


みみさんから了承を貰い、その写真を次の日、近所に住む私の叔母に見てもらうことにしました。


叔母は昔からそういった

人の因縁について深く知っており、霊感もある為に、人ならざるものについての相談を受けている人でした。


私はみみさんの活動や、今現在置かれている状況を話し、写真を見せました。


叔母

「…あんまり良くない写真だね。」


「やっぱり?」


叔母

「そうね。どこから話したらいいかな。まず、そのみみさんが言ってた元カレさん。それはここに写ってる顔だけ出してる男性で間違いないんだけど。」


「なんか他にもあるの?」


叔母

「この人の念が強すぎる。みみさんに対しての怒りとか、悲しみの感情が向けられてる。これは良くない。下手すると怪我するよ。みみさん。」


叔母が指さした人物は、

かつて、そのみみさんとユニットを組んで活動していたTさんという女の子でした。


叔母

「生霊としては2体憑いている。1人はこの男性。元カレさんやね。もう1人はそのTさんという女の子。多分これは推測だけど、監視してるのはこのTさんの生霊の方。チャイムを押すのは元カレの生霊の方よ。Tさんは、今はまだ実害としては何も無いけれど一番危険。放っておいたら、みみさんが危険な目に遭うね。元カレさんのチャイムの方は、別れた未練として自分の想いが強すぎた結果だと思う。」


「これからどうしたらいい?」


叔母

「まずは身の回りをできる限り掃除して、余計なものがないように伝えて。そしたら私の住所を教えるから、直ぐに来なさい。祓うしかないから。大丈夫、お金は取らないから。」


話を聞いた私は

すぐにみみさんにこの事を伝え、叔母に祓ってもらったようです。


後に聞いた話ですが

みみさんは当時、Tさんが好いていた男性に

好意を抱かれており、後に付き合い始め、現在も交際中とのこと。


それが原因でTさんとはユニットを解散しており、

表向きはそれぞれでやりたいことが出来たから、と報告していましたが、Tさん自身はやりきれない気持ちがあり、みみさんが男性を取った、と思い込んでいたようです。


そして、元カレさんですが

お祓いの後、パッタリといなくなったようで

現在はみみさんも活動を再開しています。


誰かを恨んだり、憎む気持ちが渦巻くのは

やはり誰にも止められないのでしょうか。


私には人こそが怖く思えてならないのです。

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