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「ヴィル!一緒に帰ろうぜ!」
「は?お前部活は」
「今日は休み!だから良いだろ?」
「……はあ。勝手にしたら」
その日の授業もいつもと変わらず終わり、帰りのホームルームが終わり、帰り支度をしている最中にあのチビは話しかけて来た。
俺とコイツの家は残念ながら同じ方面なので、たとえ拒否ったとしても、結局は一緒に帰ることになってしまう。
まだ荷物を詰めている小学生を無視し、俺はさっさと教室を出る。
「ちょ!待てって!」
「待たへん。俺はさっさと帰りたいんや」
「〜っ!もー!お前ほんと意地悪だな!」
……結局コイツは鞄にぐちゃぐちゃに荷物を詰めて追いかけて来た。どうやら整理整頓は苦手なタイプらしい。
「なあ、ヴィル。コンビの件、考えてくれた?」
「考えてへん。考える気も起こらん。以上」
「何だよー!冷たいな!」
何やコイツ。今日はヤケにしつこく食い下がって来るやないか。
いつもはコンビの誘いは1日1回だ。こんなに1日に何度も誘われたことは今までに一度も無かった。
「どないしてん。今日はしつこいやんけ」
「……うーん。何か今日は、誘っとかないと後悔しそうな気してさ」
「はあ?」
意味が分からない。どうせ誘っても断られるのは目に見えているのだから、結果は変わらない。後悔も何も無いように思える。
しかし、それ以上そのことについては何も教えてはくれなかった。
……結局、その後は他愛のない会話をし、俺の家に着いたので別れる。
その頃にはもう、先程の会話のことなんかとっくに忘れてしまっていた。