3-2
俺達は無事学校へと着き、久々に登校したアリスは登校してきたクラスメイト皆から歓迎されるのであった。
「アリスくん!久しぶり!」
「アリス!お前どうしたんだよ!」
……まあ、いきなり行方知れずとなったクラスメイトが元気に登校して来たら、何があったか聞きたくなるのも普通だろう。
「はあ……めんどくさ」
巻き込まれたくなかった俺は、そっとその場から離れる。
……そう。離れてしまったのだ。
いつアリスがゾンビモードになるのかも特定出来ていない、この状態で……。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」
「きゃああああああ!!?」
俺の背後で濁った叫び声と、女の甲高い叫び声が響く。
「……っ!?嘘やろ!?」
アリスがゾンビモードになり、クラスの女子に襲いかかっていたのだ。
こんなに早く恐れていたことが起きてしまうとは。正直、油断していた。
学校なら安全かもという根拠の無い自信。少しくらいなら離れても大丈夫だろうという油断。
……愚か過ぎる!アイツはもう、いつ人を襲ってもおかしくないってのに……!!
「アリス!!」
とりあえず俺は女子から無理矢理アリスを引き剥がして羽交い締めにする。
しかし、まずいことがふたつある。
ひとつはここは教室で、しかも人気者のアリスが久々に登校してきたこともあり、いつも以上に人が集まっていたということ。
そしてもうひとつは俺はまだ、ゾンビモードから元に戻す方法を見つけていないということだ。
「クソ……!どないしたらええねん……!」
そうこうしているうちに騒ぎを聞きつけて、どんどん人が集まってくる。
こんな人数に見られたら流石に隠しきれないし、ゾンビモードのアリスは物凄い力で俺を引き剥がそうとしてくる。……これ以上は持たない。
「何でやねん!!」
俺はすかさずツッコミを入れる。周りが何事かと騒ぎ始めるが俺は続けた。
「た、確かにゾンビネタやるって言うたけど!何でそんなリアルに仕上げてくるねんお前ー!!」
とりあえず大勢に見られ過ぎたのでこれはお笑いのゾンビネタだということにして(無理矢理)この場を乗り切ることにしたのだ。
「しかも女子を襲うとかお前!ただ女子に触りたかっただけやろ!セクハラやぞ!もう辞めさせて貰うわ!」
そしてそのままアリスを引きずって教室から出ようとした……その時だった。