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『大丈夫だ!俺サマがついてる!』
────思えば、幼い頃からお前はずっとヒーローだった。
皆がやりたがらない仕事を率先して引き受けて、クラスのリーダー的存在だった。
困っている人がいたら、絶対に助けるような奴だった。
クラスでだって虐められている奴がいたら、助けに行った。
俺だって、何度助けられたか分からない。
確か、川で溺れている子供を助けたこともあった。
とにかく、人のピンチには必ず駆け付けるアイツは、間違いなくヒーローだったのだ。
そして、そんなアイツを俺は愛していた。
……が、それを伝えることは……出来なかった。
「……そろそろ、吹っ切らないとな」
俺は廃ビルとなってしまったビルの屋上へと昇り、アイツと一緒に書いた沢山の×××をビリビリに破く。
そして無数に破かれた紙を、風に乗せてばらまいた……。
「─────アリス。誰よりも愛してた」