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いのちの詩(仮題)

戦を哀しむ歌(祖母の記憶)

作者: 浮き雲

新年の明るくめでたい詩ではありませんので、気分を害される可能性がある方は、お読みになられないようお願いします。

こちらは「穏やかな時代」を投稿する前に書きました。



私は、あの日、耳にした ただ一発の銃声を


忘れることも叶わずに やがて、いのちを閉じてゆく




先の戦に負けた日に きみは、自宅でふさぎいて


ひとり、二階に(あが)りては (おの)がいのちを閉じて死す




生きて帰れるこの時に なぜに死すかと責めながら


きみの仕事の何をかを 知らず、私は泣くばかり




他人にやさしく、義理堅く 夫としても良き人の


なぜに死すかと、幼子を ひとり抱きてきみを泣く




異国の地にて荼毘(だび)に付し 遺骨(いこつ)なりともままならず


埋めたる土地の荒涼(こうりょう)の いまも、(まぶた)に浮かびくる




帰国の道の(けわ)しさは もはや、なにをか語るまい


待ち人もなき故郷に ただ、望郷も()え果てる




彼の地に出会い、結ばれて むつみ暮らした思い出に


いまは悔いのみ降り積もり 憎き彼の地となり果てる




私ひとりが故郷で 子どもを育て、気がつけば


きみに会う日の近づきて あの日の遠く偲ばれる




きみの最期を子や孫に やはり、伝えて逝こうかと


語れば、遠きあの日々の いまだ、昨日に思われる




私は、あの日、耳にした ただ一発の銃声を


忘れることも叶わずに やがて、いのちを閉じてゆく




いづこに、きみは、いまありて 私を待ってくれるやら・・・






母から聞いた祖母の話を思い浮かべると、なぜか、見たこともない荒涼とした大地に広がる夕焼けが浮かんできます。

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