6.朝日はいつだって眩しい
「あいむほーむ」
一時間足らずで
帰ることができるのに
私はなぜか
それが
海外に行くくらい
面倒で遠くに思えて
これは
私が大人になったからなのか
他に帰る場所があるからなのか
何にしても
一人歩いた帰り道
知らない家から漂う
夕飯の匂いをかいだときのように
それは少し寂しい
「結婚指輪」
素敵だと思う人には
だいたいそれがついていて
やっぱりなと思う
この人には
帰る場所と
愛すべき女と
あるいは
小さな子供たちや
愛想をふりまく犬なんかがいるのだ
私には知りえない
私にはたどり着けない場所
愛し合いされているしるし
自由や身勝手を捨てたしるし
「距離」
遠いな
そうだ
いつもそうだった
忘れてた
いつも
遠かった
「静かな夜」
蛙が泣く
げろげろと
虫が泣く
ジージーと
寂しい
寂しい
私も泣く
シクシクと
「朝露」
誰もいない道路の上で
寝そべってみる
今なら車や自転車なんかに
ひかれる心配もないから
大の字にもなってみる
道路も空気も冷たくて
すごく気持ちがいい
あぁ
溶けてしまいたい
ここに
地面に落ちた朝露のように
ぴちゃんとして
溶けてしまいたい
「証明」
忘れやすいたちなのに
なぜだか
恋とか
愛とか
そういうものは
忘れられない
いつだって
誰かを愛したいし
もちろん
誰かに愛されていたい
友人に
「懲りないねー」と笑われたとしても
私は何度でも
恋をしたいと思うし
愛した人を
忘れたりなんかしない
愛した人の記憶を
積み重ねていくほど
素敵なことはない
だって
それは
私がそれだけ
好きな人と一緒にいたという
時間と愛と記憶の証明になる
誰にしめすでもない
私だけの証明になる