4.温い(ぬるい)水
「見つからない」
自分の愚かさが
悔しくて
悔しくて
もう
なんで私なんかが
生きてるんだろうと思う
生まれてくる
順番とか
間違ったんじゃないかなと思う
本当に生まれてきたかったのは
生まれるべきだったのは
私じゃなくて
後ろに並んでいたあの子だったんじゃないかと思う
ごめんね
ごめんね
親切も
賢さも
才能も
優しさも
愛情も
何も持っていなくて
いつも中途半端で
ごめんね
ごめんね
私一人が消えたところで
世界は何一つ変わらないから
朝がきて
また夜がきて
どこかで
新しい命が生まれて
終える命もあれば
奪われる命もあって
誰かは
笑って
泣いて
戦争は終わらなくて
餓えも貧困も悲しみも
なくなるわけじゃないから
もういっかって思わせて
もうお疲れ様って言って
もういいよって言って
「厚化粧」
厚化粧
厚化粧
今日も顔に塗りたくろう
アイラインは黒く濃く
睫毛は太く長く
誤魔化したい
怖いから
自信なんかとっくに
捨ててきてしまったから
それでも
あなたに近づきたくて
今日も私は塗りたくる
「似たもの同士」
あなたは
ちっとも
「会いたい」なんて
言ってくれないから
私ばかり
結局
「会いたい」なんて
言ってるじゃない
だから
どんどん
私
面倒くさい女になるね
でも
それだけ
あなたに夢中なんだってこと
そろそろ
気付いてくれたっていいのに
お互いの気持ちに
きっと鈍感なのね
私たち
ある意味
似たもの同士なのね
私たち
「白鍵黒鍵」
白いレースのリボンに
憧れた
あの日
白い鍵盤に
黒い黒鍵
大きな花束
震えるひざ
隣に座った
先生の大きな手と
白いレースのリボンに
私は今でも
憧れている