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16.眼鏡とリモコン
「ホームにて」
君も寂しいのかい?
そんなに汚れて
疲れてはいやしないかい?
それでも
飛んでいく君が
私はとてもうらやましい
「看板」
緑を愛しましょう
そんな言葉が
看板に掲げられていた
その通りだとは思うけれど
緑を愛しましょう
の前に
誰かを愛したい
そう思う私は
やっぱり地球には優しくないのだろうか
「北極」
嘘でもいいから
大丈夫だと言って
いつもみたいに
冗談だよと笑って
信じたくない
信じられない
温もりが体から
逃げ出していくのを感じる
そういうことか
こういうことだったのか
愛を失う瞬間
私は冷たくなった
溶けない氷のように
「わかってる?」
抱きしめて
それですむなら
簡単だ
愛して
それの難しさを
君はまだ知らない
「問題」
一人が寂しいなんて当たり前
問題なのは
誰かといる方が
寂しいということ
「同じ」
寂しいと思うその気持ちは
なぜ
あなたと同じではないのだろう
いっそ
好きも
寂しいも
会いたいも
全部同じくらい思い合えたなら
わがままも
我慢も
あなたにしなくてよかったのに
あなたを
きちんと愛せたのに
あなたの望む
女になれたのに