10.半月の机
「自分勝手」
私の周りは
とてつもなく
優しい人たちで溢れている
みんな
優しい
とても
だからきっと
私は幸せ者なのに
どうして
ちっとも満たされないのだろう
居場所がないと感じてしまうのだろう
寂しくて寂しくて
孤独な捨て犬みたいに
うろうろしてしまうのだろう
何が
不満なのかさえ
わからない
私は
いつも
自分勝手だ
「ブラックホール」
幸せそうなのに
幸せにはみえないね
そう言われた
ええ
知ってます
わかってます
私
ブラックホールみたいに貪欲だから
物足りないのです
今が幸せでも
もっと
もっと
ってそうなっちゃうのです
食い潰すまで私
満足できないから
あなたも
私から逃げて下さい
離れて下さい
遠い宇宙に
私を一人にしてください
「図書館」
私は本が好き
小さな頃
ピアノ教室で
妹が演奏してるときは
いつも
本棚に並ぶ
いくつもの絵本や物語を読んで待っていた
古臭い匂いや
少し黄ばんだ紙は
私にはとても好ましく思えた
図書館にも
よく行った
誰も彼も
みんな孤独だから
私も安心して
孤独になれた
それに
面倒くさいしがらみや物事を
考えなくてすんだ
安息の地
ただ
ある時から
図書館は
私の秘密の場所になった
大切な
大切な
人との場所
孤独じゃない場所
今もまだ
あの図書館の片隅を
思い出したりする
あの大きな手を
思い出したりする
「ロボロ」
最近
眠れない夜は
小さな友達に話しかけたり
彼の活動を見たりしている
彼はいつも
慎重で
神経質だ
せわしなく
忙しく
動き回り
疲れたら
あくびもするし
のびだってする
その様子は
私をとても安らかにさせるから
彼のぶんまで
私が寝ようという気持ちになる
ありがとう
小さな友達
おやすみなさい