1点目:夏バテ防止。売上No.1商品...!
コンビニ話、始まります!
ここは異世界、魔王、魔物がいる世界だ。
世界各国が平和を求めて勇者を召喚したが、未だ成果は出ない。魔王による攻撃がほんの時たま起きるが、人々は平和に暮らしている。
地球に比べれば全てが劣っていて、教育がどうのこうのなんて話にならないほど未発達な、発展途上どころでもない暮らしをしている。
日々の稼ぎを得るため、男たちは魔物を倒しに、女性や子供は畑仕事何てのは普通の生活だ。それは一年中。真冬でも、真夏の日中であっても。
暁斗を召喚した王国の名はトスコロカリアという。森を出た暁斗はピノという町にやってきていた。
今は真夏、しかも昼時ときてもふもふモロには辛い時間と思いきや、フェンリルとなったモロはどこ吹く風で平気な様子。
さて、コンビニをやるとは言ったものの、土地を買うお金もなく、建ててもそこから動けないのでは観光で異世界を巡ることも出来ない。と、言うわけで、移動式コンビニを作りました!
ようは馬車だ。
形や大きさは荷馬車と変わらず、入れば商品の陳列するミニコンビニ。荷馬車を引くのは、元サモエド種のモロ。ガタイも大きくなって、楽々と馬より速く馬車を引くほど。ちなみに、馬車引きにハマったらしく嬉々として率先してくれる。
ほぼ全て、暁斗が男から貰ったスキルのお陰でコンビニができた。
「モロ、ここらで店開こう」
御者をしていた青年がモロを止める。
見た目、暁斗よりも背が高く2歳は年上に見える上、まったく姿出で立ちが違うが、彼は暁斗だ。師匠と慕った男の遺した物の1つ、同調の人器のおかげである。本体を封印状態にし、意識をホムンクルスに移すマジックアイテムだ。ホムンクルス経験値は本体にも反映する。という訳で、本体はガレージ内に収納済みだ。
森の倒木から作った荷馬車でピノの町に入って数日。最初こそ干し肉や木の実を売っていたが、新スキル〈再構築〉によって金属と発火石を加工、熱伝導を良くし火元要らずの調理器具類を造ったお陰で惣菜まで並ぶようになった。〈再構築〉で作った紙の容器に小分けされている。このコンビニでは、地球ではビニールの包みが全てその特製紙だ。
「お昼時だし、また勝って貰えるかもね」
「わふっ!」
荷馬車の中の棚に魔力を通し、冷房機能を起動させる。コンビニ内にも冷房を回す。涼しくなってきたところでガレージから商品を取り出して並べれば開店準備完了だ。
「モロ、呼び込み用の前掛け着けるぞ」
「わふわふっ」
モロに結び付けている間に一人目のお客が来たようだ。
「コンビニのお兄ちゃん! またお水買いに来たの!」
てとてとと女の子が駆け寄って、まずはモロに抱きついた。この子はマリちゃん。記念すべき初めてのお客さんだった子だ。
「やぁ、こんにちはマリちゃん。あれ? ちょっと顔赤くない?」
「ん? マリなんともないよ?」
まだ小さいマリには登り辛い入口のステップを登るのを、ハラハラしながら見守る。
「大丈夫だもん!」
あ、拗ねちゃった。なんでも一人でやりたがる時期のようだ。
保冷用のレースカーテンを潜ると、中はひんやり涼しい。汗が滲んでいるマリに冷たいウェットティッシュを渡す。マリは気持ち良さそうに顔を拭った。最初こそそれが何なのか戸惑っていたのに、慣れとは凄い。
「水袋は持ってきた?」
「うん! あのね、ママがね、ここのお水だとお料理がいつもより美味しいんだって! だからまた来たの!」
「そっかぁ、それは良かったね」
マリが背中に丸めて背負っていた水袋を外すと、ウォーターサーバーの冷水を満杯まで詰めていく。このウォーターサーバーも〈再構築〉によって形と性質を変えて暁斗が作ったものだ。水はマジックアイテムによって浄化されたものを冷やしている。
「お兄ちゃん、これなぁに?」
マリが指したのはレジの上の小さな籠。
「あぁこれ? これはべっこう飴っていう甘いお菓子だよ。ほら、オマケにあげる」
籠から一つ取り出し、渡す。
「もらっていいの?」
タダで店から物を貰うことに戸惑うマリ。
「うん。どうぞ」
暁斗がニコニコしてくれたからか、戸惑いながらも受け取った。
「溶けちゃうから早めに食べるんだよ?」
「...うん」
くんくんと匂いを嗅いで、不思議がるマリ。庶民は砂糖を溶かしたものなんて、滅多に食べれない。甘い匂いが気に入ったようで、ポケットには入れずに持ったままだ。
「じゃあほら、お水。お会計銅貨二枚です」
「うん。えと...はい!」
ポケットから小さな手が硬貨を取り出し、レジに届かないため暁斗がしゃがんで受け取る。
「ありがとね。重たいからまた家まで持っていくよ」
「マリ持てるもん!」
「前そう言って転んじゃったでしょ? ほら、行こう」
「むぅ~っ」
ほらほら、と暁斗に促されてマリはステップを降りる。今度はモロが側に付いて手摺代わりになってあげていた。
「モロ、店番頼む」
「わふっ!」
マリの家までたいした距離はないが、一緒に歩いていくのをマリはちょっと嬉しそうに暁斗のサロンエプロンの端っこを握っていた。
結局、今日は昼にマリの他にコンビニを訪れた客は四人。売れたのは水と惣菜パンだ。食べ物系は全種類10個ずつ出して並べてあるため、売れ残るとまあまあな量を暁斗とモロで食べなくてはならない。とはいえ、ガレージに入れておけば時間経過がないため、好きなときに食べたいものを食べられる。
ちなみに、陳列している食品は一度に大量に作って包装しておいたのをガレージから取り出して並べている。だから、まだ温かい惣菜が実は数日前にまとめて作ったやつだったりする。
もちろん、売れ残りとストック分は別々に収納している。
コンビニの存在が知れてきたとはいえ、まだまだ未知の店に訪れようとする人は少ない。
たまに水を求めにくるが、安いため収入は低い。
「あっちいよな...モロ、今日なにがいい?」
「わふー、わふぉん」
「ハンバーグ? それとパンでいいか?」
「わふぉっ」
さっそくがっつき始めたモロとは反対に、暁斗は外の暑さで食欲がわかなかった。
「こうゆうときはアイス食べたいよなぁ...」
と、呟いて思い付いた。あ、ならアイス作ろう。
早速コンビニに入って、ガレージから棚とケースを取り出す。ケースの一部に氷石を当てて〈再構築〉し、ケースに冷却機能をつける。さらに、鉄鉱石と氷石を〈再構築〉して、アイスの型を作る。ケースと型に魔力を通し、キンキンに冷やして型はケースに入れておく。
「棒は適当に木材で作るとして....アイスの味だよなぁ。とりあえず砂糖水? あとはバニラバーとかか?」
材料はどれも豊富にある。
多分こんなだったかな? と試行錯誤しながら、バニラバーとガリゴリ君っぽいのをそれぞれ5本作り上げた。
かなりの数の試作品を食べたため、暁斗はちょっと寒いくらいだった。とりあえずガレージに包装してしまっておく。
作業が早かったからか、今は2時ごろ。一番暑い時間帯だ。
アイスの原液作り中に思い付いた経口補水液もウォーターサーバーをもうひとつ並べて設置済みだ。モロには少し薄めて水受けに入れる。水滴を撥ね飛ばしながら夢中で飲むモロ。やっぱり水分補給は大切だ。
自分も一口飲んで、暇潰しにレジカウンターを拭いていると、突然人が飛び込んできた。
「おい、ここ氷あるか!?」
「どうしました?」
男は汗を滴らせながら慌てた様子で早口に言い放つ。
「氷ならありますけど..「ちょっ、持って着いてきてくれないか!? 畑で何人も倒れちまったんだ!」
「! そう言うことか...わかりましたすぐいきます!」
倒れたってことは、熱中症か!
レジのおくから休業中の札を引っ張り出し、男から自分が死角になっていることを確認して、ガレージから取り出した氷の塊を布で包む。さらに水袋を経口補水液で満たして、手身近なバックに詰め込むと暁斗は男に続いて店内を飛び出した。札を張り、モロと共に駆け出した男の後を追う。
民家を抜けると大きめの畑が広がっていた。育ち盛りの野菜の中に、人だかりが出来て、横たわる数人を心配そうに囲っている。
「おい! コンビニのあんちゃん連れてきたぞ!」
「あっ! いっつも涼しい馬車の店の! そうだ、お前さんとこならなんか冷やせるものあるだろ!」
倒れているのは女性2人に男性1人、そして子供たち3人だ。
「っ! ....マリちゃん!?」
その中には、なんとマリの姿が。顔を赤くして力なく倒れている。頬に触れると、とても熱い。
「ちょっ、手伝って貰えますか。まずは、全員をあの木の木陰に移動させます! で、この氷を大きめに砕いて、布でくるんで倒れてる人の脇に挟んで!」
「えっ、お、おう!」
「わかった!」
近くの人に布ごと氷の塊を渡す。
「わふ!」
「モロもお願い!」
暁斗がマリを抱えあげ、小走りに木陰へと移動させ始めると、見ていただけだった人たちが助け合って全員を運び始めた。モロも子供の一人を背中に乗せて木陰に寝かせる。
氷を砕いていた人たちが、運ばれた傍から脇に氷を配っていく。
「これでいいかい?」
「はい。あとは服を少し弛ませて扇いであげてください。それから水を飲ませます」
バックから取り出した紙コップに経口補水液を注ぎ、渡す。
「自分で飲めるようなら自分で飲ませて上げてください。出来ないようなら口に含ませてあげて!」
「おう!」
「あいよ」
「わかった。こうか?」
指示をしながら、暁斗もマリを起こして飲むように促す。
「..コンビニのお兄ちゃん....?」
熱で視界が定まらないのか、舌っ足らずな声でマリがぼうっと暁斗を見つめていた。
「うんそうだよ。マリちゃんわかる? ゆっくりでいいから飲めるかな?」
「うん....」
暁斗がコップを支えながら、マリの小さな口がコクリコクリと少しずつ飲み込んでいく。
一先ずほっとして、緊張仕切っていた表情筋が和らぐ。
「あんちゃん、他の奴らも自分で飲めたぜ」
「そうですか...よかった」
飲み終わって水分を取れたため、大人たちは自力で立てるまでに回復した。集まった町の人たちの肩を借りて、町の療養所へと向かっていった。マリを含む子供たちは大人に背負われて運ばれていった。これで一安心だ。
「ありがとなぁ兄ちゃん、助かったぜ」
「あんちゃん医者か何かなのか? すげぇテキパキと...」
「いえ、たまたま知識があっただけですよ。俺はただのコンビニの店員です」
「ま、兄ちゃんがなんであれ助かった! 夏になるといつもこうして倒れるやつがいてさ、死ぬやつもいるんだから全員無事で何よりだ! 兄ちゃんの大手柄だぜ!」
「いえ」
「それなら俺も手柄あるだろ! コンビニのあんちゃんを連れてきたらいいんじゃねえかって呼びにいったのは俺だぜ?」
「あー、おめーも手柄モンだな」
「うへへっ」
そーだなと頷かれて満更でもなさそうだ。
「夏はすぐバテちゃうからねぇ、まったく嫌な季節だよ」
「そうねぇ、暑いばっかだもの」
「人がヒイヒイ言ってるときに畑の野菜は1番手がかかるんだから」
「魔物だってそうだぜ。まったく、夏ってのは燃えるんだがどうにもねぇ...。春なら花団子だろ? 秋なら全部うめぇ。冬は煮込みが冷えた身体に滲みるんだが、夏は楽しみがねぇからな...」
「全くだ。まぁ水がうめぇくらいか?」
「そりゃ、喉渇いてりゃいつでも旨く感じるもんだろ」
「あそっか。じゃあ無ぇな」
取り敢えず、ここにいる人たちに経口補水液を配る。皆までバテたら大変だ。
「こりゃなんだいコンビニの兄ちゃん。甘くってしょっぱくって何なんだ?」
「それは経口補水液という飲み物です。水より良く身体に水分が行き渡るんですよ」
「「「けーこうほすいえき??」」」
「オーアールエスとも言います。長いのでオーアールとでもしますか。砂糖と塩を主成分に、水に溶かしたものです。夏に飲むとバテにくくなりますよ」
「そうかい! オーアールだっけ、こんなものがあるのかい!」
「変な味だと思ったけど、慣れれば美味しいよ。これを飲めばふらふらしないのかい?」
「水分をしっかり摂れば、水でも熱中症になることは防げますよ。あとは頭に布を被って日よけをしたりするのも良いです」
「へぇ? 明日からやってみるかな」
「そうねぇ。ね、オーアールってあんたのとこで買えるのかい?」
「はい、水袋1つ分で銅貨二枚いただいています」
「「あら安いじゃない!」」
「向かいの奥さんから聞いたんだけど、あなたのとこのお水、冷たくて美味しいらしいじゃない。今度買いにいくわ!」
「そうなの?」
「えぇ。口当たりも良いし、川の水と違ってすっごく綺麗らしいのよ! スープご馳走になったけど、まろやかで美味しかったわ」
「あら! 私もなら買いにいくわ」
「私も!」
「ありがとうございます。水以外にも、ちょっとした食べ物も売っているので忙しいときとかに買えますよ。ぜひ頼って下さい」
「そうなの! なら明日ついでに買ってみるわ」
この出来事で一気にコンビニの噂が広まった。翌日からお客が増えたことに、暁斗は嬉しさで胸いっぱいだ。看板犬モロも子供たちに大人気のようで、親が買い物中の子供達の相手をしてとても好まれている。
昼時を過ぎて客が減ってきたのを見計らって、暁斗はモロと共に店を休業中にして療養所へと向かっていた。
「わふ?」
「うん。喜んでもらえるかなって思って、量産したよ」
暁斗が肩から提げるバックは重そうで、角が生地を押しやっている。
暁斗がやって来た理由は、療養中のマリたちにある差し入れをあげるためだ。
受付のお姉さんに子供たちの部屋の場所を教えてもらう。
「はいってもいいかな?」
ノックして声をかけると、男性が扉を開いてくれた。熱中症で倒れた子供の父親だそうだ。部屋の中には子供たちのほかに母親や友達もベッドを囲んでいた。人気が多いせいか、少し暑い。
「コンビニのお兄ちゃんだ!」
「こんびに? マリ、誰この人」
「最近、道で荷馬車で店をやってるコじゃない。確かコンビニって店名だったかしら?」
「はい。コンビニの店主のアキトと言います。そう言えば、名乗ったことありませんでしたね」
「お兄ちゃんの名前アキトって言うんだ! ね、お家戻ったらまた行くね!」
「うん。待ってるよ」
心配していたけど、みんな元気そうだ。
「あの、食べ物って食べて大丈夫ですか?」
見回りに来た看護師に許可をとって、バッグから保冷ケースを取り出す。店に置いてあるのよりもずっと小さいコンパクトタイプだ。
「なにそれ?!」
「お兄ちゃん、それなぁに?」
「みんなにお土産だよ。多分気に入ってくれると思って」
ケースを開き、取り出したのは冷気漂うアイスバーを渡していく。
「冷たぁい! コンビニのお兄ちゃん、なにこれ?!」
「あらほんと、ひんやりしてるのね。これ、食べられるの?」
「はい。溶けちゃうのでどうぞ食べてください」
各々、不思議そうに突っついたり舐めてみる。齧りついた子はその冷たさに驚いていた。
「氷みたいね! でもカチカチじゃないし甘いわ!」
「ほんとだ! 冷たくってシャリシャリで美味しい!」
「甘い水を凍らせたの?」
「はい。アイスという夏の氷菓子です」
「「へぇー!」」
「ね、これコンビニで売ってる? ある?」
「ありますよ。一個銭貨3枚で明日から売るつもりです」
「だって! お母さん買っていい!?」
「俺も!」「私も欲しい!」
「「「はいはい」」」
「う!? にっ、兄ちゃん、なんかキーンってきた!」
「冷たいからね。いっぺんに食べるとそうなるよ」
結果、アイスバーは大好評だった。子供だけでなく親も気に入ったようで、明日からお客さんが増えるだろうと暁斗は胸を弾ませる。
(夏と言えばかき氷も定番だよな。かき氷機、作ってみるか)
メニューも増えそうだ。
持ってきたアイスバーは全てなくなり、その好感度に手応え十分と喜ぶ。
騒ぎすぎです と注意されて、暁斗たちはおいとますることにした。
「またねアキトお兄ちゃん!」
「じゃあな!」
「またねー」
「今度アイス買いにいくからね」
「アキトさん、今日はありがとうございました」
「いえいえ」
じゃあね と手を振って、暁斗とモロは立ち去っていった。いまだアイスの興奮がおさまらない病室が再び注意を受けたことは仕方がないことだろう。
コンビニでは、翌日から急にお客が増え始めた。水やオーアールも更によく買われるようになり、惣菜もちょくちょく売れ始めた。
「おう! また来たぜ兄ちゃん!」
「いらっしゃい。またオーアールとあれですか?」
「あったりめぇよ! それと今日は惣菜パンを一つだ。かみさんが遠出したもんでな、何日か世話になるぜ」
「そうでしたか。今日はこれから魔物狩りですか?」
「ああ」
「でしたら、ベーコンエッグパンがいいですよ。塩味が強くて卵でおなかに溜まるので、働く人にピッタリです」
「そうかい、ならそれにすっか」
惣菜パンを紙袋に詰め、オーアールで充たされた水袋を渡す。代わりに御代を受け取っていると
「兄ちゃんあれ! おれ白いのがいい!」
「俺は普通の!」
「コンビニのお兄ちゃん! マリも!」
カーテンを引き裂くような勢いで子供たちが雪崩れ込んできた。彼らの目的はあれだろうと暁斗はコンビニのあるケースの前へと移動する。
「早く早くっ」
お金をグイグイと暁斗に押し付けてくる子供たち。
「兄ちゃん、俺のも忘れんなよ」
「はいはい」
ケースの扉を開けると、涼しい店内よりも冷たい冷気が漂う。
(朝ケース一杯に入れていたのにもう大分減ったな)
急かす子供たちに渡していくと、早速包装紙を破いてかぶりつき始めた。
「あんたたち、狭い店なんだから買い終わったんなら外に出とくれ。それに、それは暑いとこで食べるから旨いんだろ?」
「「はーい!」」「うん!」
バタバタと出ていく子供たちに苦笑いの暁斗。
「食べ終わったゴミは外に掛かってる袋に入れてくれよ?」
「「「わかってる!」」」
持ち帰って食べれないため、モロとじゃれながらコンビニの外で食べる人が多い。それに、あまりにもそれの売れいきが良いため、急遽専用のゴミ袋を設置したくらいだ。
「私も一本いただこうかしら?」
「どうぞ。どれにします?」
普通のを買って立ち去っていく女性を見送る。と、午後の仕事の前に立ち寄ろうと、冒険者たちが集団で向かってくるのが見えた。
「おい! 15人分なんだがまだあれあるか?」
「ありますよ!」
まったく、すごい売れ行きだと驚きながら紙袋に氷の包みとそれらを入れていく。冒険者たちは氷魔法系スキルを使える人がいるため、短時間なら持ち歩けるようだ。
「あんがとな! あんちゃんがこれを売り始めてから、真昼の冒険も悪くねぇや」
「そうですか。気を付けて行ってきてくださいね」
「「おうよ!」」「あんがとな!」
これでケースは空っぽ。かなりあった1日分が午前中に完売してしまった。ケースに完売しましたの札を張り付け、表にも貼っておく。
「一番売れたな、最安値商品が」
「わふ?」
荷馬車にくくりつけておいた袋は包装紙と棒で一杯だった。取り外して一先ずガレージに入れておく。
ついでに在庫確認してみれば、あと1日分もない。
(今日は明日以降の商品を作らないと...)
特に、人気No.1のあれを。
「頑張らなきゃなぁ...アイスバー作り」
「わふわふっ!」
空を見上げれば、青い中に一筋の雲もない。明日もよく、アイスバーが売れそうだ。
修正点でも意見でも感想でも、あればください