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004 不明の子

偶然出会った二人は保健室にあった椅子に座ってお互いの知っている事を話し合うこと30分、伊作は自分の経緯をおおよそ話し終えた。

続いてグルカナイフを持って入室して来た少女、日月ひづきが自分の経緯を話す。


「それで日月さんがこの奇妙な現象に遭遇したのはいつですか?」

「2時間前くらいッスかねぇ……なんか教室に下半身がでかい蜘蛛で上半身が乳でかい美人の化け物がいたんスけど、そいつが『これは餞別だ』とか言いながらうちのスカートのポケットに手を入れてきたんスよ」


(俺が見たのとは違う化け物なのか)


「そんで手を入れられたポケットにコレが」


そう言って見せたのは伊作が持っていたのと同じ大きさの紙であり、そこには”血塗れ”と書いてあった。


「僕のとは書いてあることが違いますね」

「そんで突然気を失って目を覚ましたら誰もいないし、外に鳥みたいな化け物が飛んでたり廊下にこのナイフが落ちてたり……あー、あとこんなもんがあったッス」


日月が新たに取り出したのは小さな金属。


「これは?」

「45ACP弾の空薬莢、つまり銃弾の一部ッスよ」


落ちている武具や怪物や騎士や森を見ていたため中学校に空薬莢が落ちていることなどに驚くことはなく、結局二人の情報交換は疑問が増えるだけで終わる。


「この学校の職員室はどこですか?」

「廊下出て左ッスよ、なにするんスか?」

「屋上に出て周辺を見てみようかと思いまして」

「なるほど」


伊作と日月は職員室の壁に掛けられてる鍵を取って階段を上がっている途中の事だった。

2階からガラスが割れるような音が鳴り響いて来た。


「他に誰かいるんですか?」

「さあ、2階は確認してないんで」

「そうですか……先に屋上に行っててください、少し様子を見てきます」

「そッスか」


不安よりも好奇心で確認したくなった伊作は日月に屋上の鍵を渡して音が聞えた方へ向かう。

足音を立てないように歩きながら教室を一つ一つ窓から覗いて確認、そして最後の教室の中を覗く。


(おいおい……)


中には四体のグール、そしてそれらにボロボロの布を被った一人の子供らしき者が囲まれていた。

今にも襲い掛かろうとしているように見える様子から助けるかどうか迷っている暇はないと判断した伊作は教室に突撃。


「うおらあああァ!」


一番近いグールの背中に剣を突き刺す。


「グルァッ!?」


グールにどれほどの知能があるのかは不明だが、普通の人間と同じレベルだと考えながら判断する時間を与えないようにする。

すぐに刺さった剣を引き抜いて二体目に再び突き出す。


「グギッ!」


机が邪魔で勢いをつけられなかった突きはグールの胴体に中途半端に刺さった。


(刺さりが甘いが、やっぱり胴体は頭ほど固くない)


他二体のグールが動き出して剣を抜く暇がないので剣が刺さった個体を蹴り飛ばして転ばせ、近くにあった椅子を投げつけながら移動。


「早く逃げなさい!」

「にげなさい……?」


大声で逃げるように言ったが、グールに囲まれていた子供らしき者はその場を動かなかった。


「グァッ!」


近寄ってきた一体を椅子で殴ったところでもう一体に飛びつかれてしまう。


「グルルル!」

「離れろクソが!いってぇ!」


伊作とグールは教卓と黒板の間に倒れた。

伊作は右手でグールの首を押さえつけ、左手で教卓を漁って中にあるものを床にぶちまける。

床にぶけまけられた物を選ぶ余裕はないのでとりあえず手に取ったものをグールに刺す。


「死ねッ!」

「ググギァァァ!」


鉛筆で目を刺されたグールは悶絶して暴れるが、伊作はその隙に落ちているハサミを拾ってグールの腹部を何度も刺す。


「ギッ!グギッ……グァ……」


やがて動かなくなったグールからすぐに離れる。


(剣で刺し殺したのが一体、今殺したので二体、もう二体はまだ生きて……え?)


中途半端に剣が刺さったグールと、椅子で殴ったグールがすぐに襲ってくると思っていた。

しかし伊作はまたしても驚くべきものを見た。

子供の左腕が赤茶色と白の獣のような腕に変化。


「グガアッ!」

「グギァァァァァ!」


変化した腕で剣が刺さっていたグールは剣ごと殴り殺され、伊作が椅子で殴ったグールは窓のへと投げ飛ばされた。


「君はいったい……何者なんですか?」

「なにもの……わからない……」




伊作がグールと格闘をしていることを知らない日月は学校の屋上から周辺を眺めていた。

民家があったはずの場所に川が流れ、病院があった方向には森が広がり、駅があった方向には草原が広がっている。


「XPのデスクトップみたい……ん?あれって――」

「グギァァァァァ!」


日月が独り言を言い終わる前に窓から呼び出して行くモンスターを目撃して驚き、すぐに階段を駆け下りて伊作が様子を見に行った二階へ急ぐ。


「何かあったんスか?」


日月が目にしたのは三体のモンスターの死体、疲れた様子の伊作、そして幼い少女だった。


「なんスかその子超可愛い!先輩!その子とこのナイフ交換しないッスか!?」

「日月さん、頭大丈夫ですか?」

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