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1.学校、最悪の関係

「綺月ぃ、ちょっと金借してくんない?」

 十二月二十四日、クリスマス・イヴの朝。別に祝日なんかにはならず、私こと長橋ながはし 綺月きづきは登校して早々に嫌な奴に絡まれる。

 三崎みさき 美由みゆ。所謂、ギャルだ。

「三崎さん、こ、この前の千円!………返してからにして、欲しい」

「は?何それだるい。ほーらほらそのうち返すからさぁ」

 私が抵抗しても、お構いなし。威圧して、結局強引にお金を持っていく。

「………っ!!!い、いくら?」

 その威圧に負けてしまう私も、私だ。

「五百円でいいよ。いやー学食行く金忘れちゃってさぁ」

「こ、これ」

「やーやっぱ使えるねぇ綺月。あんがとー」

「……………うん」

 言い返せずにいると、そのまま三崎は仲間達の方へ走っていく。机にぶつかってずらしても気にもとめず、ぶつかった他のクラスメートに謝りもせず。

「おーい皆ぁ、待たせてゴメーン!」

「ちょっ、あんた酷すぎ、ウケる」

「それでこそ美由だわ」

「ふふーん、今日は皆になんか奢ろっか?」

「お、気前いいねぇ。いい事あったん?」

 今の一言で、三崎は別に金を忘れてなんかいないことが発覚した。いや、知ってたけど。

「今夜、健斗とラブラブデートの予定だから?」

「わかっちゃうかー!」

「いやーいいねークリスマスデート!聖夜の奇跡ってヤツ?」

 私は「職業柄」、どうにも浅い会話だと感じてしまう。ただ、一つの言葉は私の耳に残る。

 聖夜の奇跡、だ。リア充がクリスマスデートに求める、二人の永久の幸せが約束されるらしい謎の何か、みたいな言葉だろうか。そんなに大袈裟なものがあるとは全く思えないけど。

「アタシ達は既に結婚の話出てるし、これ以上なんて───」

「は!?マジかよ初耳なんですけどー!」

 それは、そう、あれだ。

 破綻してしまえ。

 しかし、こんな遠いところからわざわざ聞き耳を立ててまで三崎の会話を聞いて、何になるのだろうか。無駄にストレスを貯めるだけとわかっているのに、ついやってしまうのは何故だろう。

次回、19:00頃に更新します

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