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35章 サキュバスと一晩中

前回のあらすじ

 リクとヘルガは夜を共にします。

  ベッドでヘルガと向かい合っていた。


  ヘルガは手持無沙汰なのか、シーツの端を弄んでいた。


「ねえ、リクと会ってからまだちょっとしかたってないのが不思議。」

「ん?そうだな」


 ヘルガと初めて会ってから一週間もたっていないのだ。


「リク。私、きっと感情が高ぶって、魔族になっちゃうと思うんだけど」

「魔族でもサキュバスでも、それがヘルガなんだからありのままでいいよ」

「ううん」


 ヘルガは首をふるると振った。


「私も他の子と同じ人間なんだ。ねえ、リク。私を、人間の女の子として愛してくれる?」

 

 ヘルガがオレの胸に飛び込んで来て、オレの肩に冷たいものが触れる。


「リクと一緒がいいから」


 感情が高ぶると魔族化するヘルガを、人間の女の子として愛することができるのはオレだけだ。


「わかった。でもね、」


 ヘルガの顔を上げさせ、しっかりとオレと目線を合わせる。

 

「魔族になっても、好きだからね。本当だよ」


 自分が魔族になってしまうことをずっと気にしていたヘルガは、笑っていても少し影のある表情をする。

 それが魅力的ではあるんだけど、やっぱり幸せになって欲しいから。

 好意はきちんと形にして伝えてあげたい。


「ありがとう!」


 ご機嫌なヘルガが胸にオレの顔をうずめてくる。


「ごほうび、だよ」


 弾力を堪能していると違和感に気づく。


「あのさ、気のせいだったら悪いんだけど大きくなってないか」


 ヘルガの装束は体のラインを強調しているため、腰のくびれなどスタイルがいいのは知っているけど、こんなに胸は大きかったか?


「言いづらいんだけどね、サキュバスになると大きくなるみたいなんだ。ここ最近、何回かなっちゃったから。サキュバス化から戻ってもなんか大きくなってるんだよね」


 勘違いではなかったか! ご褒美とのことなので、しばらく堪能することにする。


 そのまま、ヘルガの服の背中側に手をかける。

 なんだか布が複雑な形状なのだが、肩口と背中はもともと露出してあるので、そこから脱がせよう。

 

 やっと脱げたと思ったら、ヘルガはシーツにくるまった。

 

 恥ずかしいのか、両手を自分の顔の上でクロスさせている。


 寝ているヘルガの上から、シーツ越しにヘルガを抱きしめる。

 服越しよりも柔らかい感触を直に感じる。


「リク……」


 ヘルガの目が赤いので、一回戻してやる。


「中に入っていい?」


「……いいよ」


 シーツに隠されていたヘルガの姿が見えた。

 ごくりと息をのむ。


 ヘルガのシーツの中にそっと入る。

 オレの手がヘルガの肩口に触れ、ヘルガは声を漏らした。


「……ん……」


 二人でシーツにくるまれながら、唇を合わせ、


 そして――


☆★


 ――夜が明けた。


 ヘルガは疲れてオレの隣で寝てしまっている。

 腕枕していたので、痺れていた。


 この甘い痺れまで回復するのは、風情がないな。

 少し我慢しよう、じき収まるだろうから。


 それにしても、魔法を使い過ぎてくたくただ。

 しっかりドラゴン魔石を利用して回復していたんだけどね。


 痛みに耐えていたのか、感情が高ぶってサキュバス化しそうなヘルガにずっと魔法をかけ続けていた。


 それにしても、サキュバスに殺されることもあるというが、ほんっとうに死ぬところだったな。


 最初こそ、人間として愛し合った。

 が、だんだんと抑えられなくなった。

 そのうちオレも【誘惑】されてしまって、人間に戻さなくなって……


 キスした時の比じゃないほど【エナジードレイン】されて死んでしまうかと思った。


 しかし、昨日のうちに枕がしっかり用意されていたのにはびっくりした。

 アンナはなんでもお見通しなのね。


 さて、あまり寝てないけど朝になったし、ご飯でも食べようかな。

 背伸びをした。


 ガチャリ。


「ヘルガ様、ごはんですよ」


 イルマが入ってきた。

 素っ裸のオレと目が合う。


「キ、キャーーーーー!」


 イルマが大きな声で騒ぐ。


「何者だ!」


 ヘルガが声に反応して飛び起き、廊下の様子を見る。

 お、ヘルガが仕事モードだ。裸だけど。


「特に変わった様子はないな」

「廊下に裸で出る奴ぐらいじゃないか、変な奴は」

「はは、そんなやつヘンタイじゃないか。……あ」


 ヘルガは赤面してイルマに隠れながらそそくさと部屋に戻った。


 イルマがヘルガに尋ねる。


「二人で何してたんですか、ハダカで」


 いや、イルマその純真な目はやめろ。

 ヘルガがしばらく考えたのち答える。


「子作り、かな」


 その答えを言うのに考える必要あったか?


☆★


「ミアよ、ミアが婚約したいという相手の名前は、リク・ハヤマと言ったか?」


 お父様がお茶を飲みながら私に尋ねました。

 昨日私はリク様との中を認めてくれるよう、お父様にお願いしていたのです。


「はい、昨日お伝えした通りリク・ハヤマ様です!私をさっそうとゴブリンライダーから救ってくださっただけでなく、私と一緒に獣人たちの町のゾンビパニックも解決してくれました。頭脳明晰、大胆不敵、将来性抜群の……聞いてます?お父様」


 私がせっかくリク様の活躍の様子をお伝えしているのに全く聞いていないようです。

 ふざけてますね。もうお父様とタカ狩りなんて行きませんからね。


「大胆不敵か。ミアの見る目は間違ってないようだな」


 お父様は、使用人に見ていた手紙を渡し、それが私のもとへ。

 しかし、お父様はどうしてこの恐ろしく長い机で食べるのでしょうか。

 大勢集まるならいざ知らず、私とお父様だけなのですから。

 私もお父様と会話をするにも声を張り上げないと聞こえませんし、手紙のやり取りにいちいち使用人に頼むなんて……


「ありがとう」


 私はきちんと使用人に礼を言います。

 人と人との気配りが巡り巡って領主の評判となるのですから。


「ええええ!」


 私は父から渡された手紙を見て目を丸くしました。


 ヘルガ様とハンス様の婚約破棄、そのうえヘルガ様とリク様の結婚式の日程が書いてあったのですから……


ミアのところに婚約破棄と結婚のしらせが届きました。


※良ければ評価ポイント、感想、ブックマークなどお願いします。

 

 次の章で最終回の予定です。

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