綺麗な男の人
「君、大丈夫かい?頭抱えて蹲るなんて…。ひとまず、君の事情はよく分からないが、僕の家に来なさい。」
え?なに?なんで、この人の家に行くことになってるの??この人いい人そうだけどさ。
いきなり見ず知らずの他人の家に行くのは…度胸が…いるというか、なんというか…。
「そんな変な顔するでない。君が心配なだけだよ。ここに何故いるか覚えてないのだろう?」
そうですけど…。
「だからだよ。その様子じゃ…1人で帰れそうもないし、ここでは寒い、1度身体を温めるためと思って、僕の家へ来なさい」
そう言って僕の返事も聞かずに、手を引いて歩き出した。
本当に連れて帰るらしい。
たまたま通りかかった橋に座っていただけなのに、そんな僕を心配してくれている。この人はすっごい、お人好しで優しい人なんだろうな。
その言葉に甘えてみようと思う。
「すみません…。ありがとう、ございます」
僕のてをひいて、歩いていた足がが急に止まり、その人が振り返って僕を見た。
「礼にはおよばないよ。僕は清川 綴だ。君は?」
と微笑む。
「僕は…、葛城 秋弦です。」
「秋弦か…。よろしくな」
「こちらこそ…。」
「秋弦は、学生服…きているけど、学生かい?ここらで見ない制服だね」
「はい、こっちに転校する予定だったので、その制服です」
「へぇ。なるほどね。帽子はあるのかい?」
「へ?帽子?帽子は…持ってないです」
「そうか。。寝ていた間に帽子無くしたのなら、僕が昔使っていた帽子、あげようか?」
「??いえ、大丈夫ですよ?」
なんで帽子がいるんだ?そこも謎だ。
「そうかい?君がいいならいいのだが、怒られても知らないよ」
「怒られるの嫌なんで…もし、宜しければください…」
「いいとも」
帽子の話は謎だったが、その後の会話は特になく、僕はとぼとぼと綴さんの後をついていった。
。。。
しばらく歩くと、綴さんの足が止まったので顔をあげてみると、西洋風の屋敷の前にいた。
白を基調とし、窓や屋根の縁が黒く、四角形の大きな家…、屋敷だった。
「ここが、僕の家だ。さぁ入ろう。」