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代償と戦闘

一週間ぶりに森へ行ってみた。

左腕の事を色々な人に祝って貰い、家族団らんの時間を過ごしていると、いつの間にか一週間たっていた。


森へ行く理由は残りの試していない魔法を試すこと、またモンスターと戦いたいからだ。


しばらく飛んで、大樹についた。


「おーい、ドライアド出てきなよー!」

「はーい、いらっしゃったのですね」


大樹からドライアドが出てきた。


「魔法ちょっと、練習するから騒がしくなるけどごめんねー。」

「はい、大丈夫です。かしこまりました。」


取り会えず、精霊の召喚以外の魔法を使えるようにする。


「主よ、見た魔法を使うことが出来るのならば、我の魔法も見るか?人間がまず使うことが出来ない、魔法がいくつかあるぞ。」

「本当に!?ぜひお願いするよ。見せて!」


エントにも魔法を教えてもらい取り敢えず一段落した。

なので、モンスターと戦闘をすることにする。


「今日は、強いモンスターを倒してみたいんだ。そもそもこの森に強いモンスターっているの?」


「はい、もちろんいますよ。この森はホワイトウルフの群れが牛耳っていますから。」


「ホワイトウルフ?見たことないからわからないけど、取り敢えず案内してよ。」


「かしこまりました。ついて来てください。」


モンスターといよいよ戦えるのか。

期待半分不安半分だ。

ドライアドについて飛んで行く。

ドライアドも飛べたんだね。


しばらく進むとでっかい狼の群れが見えるところまできた。

15匹くらいの群れだ。


「あれ?想像よりも大分でかい。まるで、もの◯け姫の山犬みたいだ。」

「あれがホワイトウルフです。素早い速さと強靭な顎、さらには群れになって連携攻撃をする、強いモンスターです。気をつけてくださいね。」


なるほど、確かに強そうだ。


「…取り敢えず近付いて様子見だな。エント、俺がピンチになったら助けてな。」

「分かっておる。安心せい。」


ドアイアドをその場に残し、俺は小走りしながら群れに近付く。

気配を消す魔法など使わず、ただ近付く。


「ガルルルゥ」


群れの何匹かが俺に気付いたみたいで、すごい速さで襲いかかってくる。


「っ!くらえ!サンダー!」


狼の真上から雷が落ちる。

迫力は半端ではないが、動きも見えるしエントもついているので落ち着いて倒すことができた。


「キャウン」


襲いかかって来たのは4匹で一瞬で4匹とも動けなくした。

…俺、相当強くなったんだな。


「見事じゃ主よ。」

「ありがとう、エント。」


襲ってきたやつは倒したので、群れの残りを見てみる。


「ワオーン」

「ガルルゥ」


遠吠えしたり威嚇してかなり警戒しているみたいだ。

まあ、仲間を倒されたなら当然か。


「死んではいないから三時間くらいで動けるようになるよ」


残りの狼に声をかける。

まあ、人間の言葉わからないだろうけど。


「そういえばエント、僕は狼を殺した訳ではないからレベルは上がらない?」


「いや、レベルは上がるぞ主よ。戦ったという経験があるからじゃ。主にとってはこの程度のモンスターではほとんど意味がないかもしれぬが。」


なるほど、殺さなくても良いみたいだ。

むやみに殺生するのもあまり慣れていないしね。


「相手が一方的に襲ってきたら殺しても良くて、僕に少しでも非があったなら気絶させるっていうルールでも作ろうかな。」


「主よ、モンスターなど出会ったらすぐに殺せばいいのじゃ。」


エントはそう言うけど、殺生は慣れてないからな。

素材がお金になるかもしれないけど、今の僕が素材売っても問題になるし。


「まあ、そこら辺はおいおい調整するよ。」


「主の思考もなんとなく分かるが…まあいい。我は主に任せるのじゃ。さて、それはいいが、どうやらボスのお出ましのようじゃの。」


「うん?ホワイトウルフのボス?」


エントが言っている意味がよく分からないと思っていると、森の奥から何かが走ってきた。


「…もしかして、僕、ボス呼んじゃった?」

「まあ、そうなる。さっきのホワイトウルフ達の遠吠えはボスを呼ぶために行われたものじゃ。」


ボスって群れと一緒にいないのかよ!

すごい速度で近付いて来る物体が、狼達の群れと合流した。


「…これがボスか。」


サイズはホワイトウルフの倍くらい。

高さ四メートルはある大きな体に鋭く黒長い爪。

鋭い目付きで、狂暴そうな口。

そして、何より頭に生えているドリルのような長い角が印象的だ。


「お主は何者だ?」


まさかの喋れる狼だった。


「俺の名はターリア・フリード。修行で森に入ったら貴方の部下に襲われてね。殺しちゃいないが動きは止めさせて貰ったよ」



「その年で俺の部下を倒せるとは驚きだ。仲間を殺されていたらお主を殺すつもりだったが、どうやらお主には殺す気はないようだな。何が狙いだ?」


「俺はただ、強いモンスターと戦いたいだけだよ。自分の実力を知るために!」


ごめん、何が狙いか聞かれても、魔法試そうとかモンスターとどこまで戦えるのか試しにきただけです。


「なるほど、それなら俺の部下全てを倒すことができたらこの俺直々に相手してやろう。」


ワオォーン


ボス狼の遠吠えにより、続々と狼達が集まってきた。

百ぴきはゆうに越えている。


「主よ、我がいるから心配はないが、部下の数は尋常ではない。心してかかれ。」


「わかったよ、今まで色々と訓練してきたんだ。迫力だけの奴になんて負けない。」


慢心ではない。

今の時点で一つのここらのボスやその部下相手に圧倒できなければ、冒険者になってから、全ての子ども達を助けることなど出来ない。


「ガルルゥ」


詰め寄る手下狼達。


「サーチ、マーク」


サーチで敵の位置を認識し、マークで印をつける。

これで敵の位置を目で見なくても分かるようになる。

俺の死角をこれらの魔法により無くすことができる。


「ガルルゥ」


牙をむき出しに多方向から襲いかかってくる狼達。

それらを相手に魔法を発動する。


「エンハンス、エアーシールド、ウォーターウェポン」


エンハンスで自信の身体能力強化、エアーシールドで手下狼の動きを一瞬止める。

そして、ウォーターウェポンで水の弾丸を放ち、全ての狼を貫く。

もちろん、急所は外す。


「キャウン」


勝負は呆気なく、一瞬でついた。

この魔法もなかなか使える。

血を流し動けなくなる狼達を見て、俺はボス狼に話しかける。


「どう?これで僕と戦ってくれるよね。」

「ぐぅ、なかなかの強者のようだな。だが、この俺をそう簡単に倒せると思うなよ。ビーストモード!」


ボス狼が叫ぶと、ボス狼の体が変化していく。

牙は長くなり、爪も伸び、筋肉が膨張する。

黒かった目が真っ赤になる。


「ヒール、ダブルシールド!」


恐ろしい威圧感に耐えながら、自分と死にそうな狼たちを回復させる。

そして、魔法攻撃と物理攻撃両方に耐えることの出来る障壁を纏う。


「俺の動きについて来れまい。残念だが手加減は出来ぬ。」


見た目は怖いが、俺は落ち着いている。

そして魔法を発動する。


「スピアープラント!」


俺は周りの木々の影から、ボス狼に見つからないように、先の尖った木の根で多方向から狙いをつける。


「俺の姿を見たときが最後、貴様の死だ。」


ボス狼がなに言って、俺の周りを高速で移動する。

一般人から見たら何処にいるのか速すぎて見えないかもしれないが、生憎見えるし位置も分かる。


「死ね!」


俺の死角、もとい右側から飛びかかってくるボス狼。


「今だ!」


ボス狼の爪があと一メートルで当たるところで、用意していた根が伸びる。

飛びかかる最中のボス狼に根がいくつも突き刺さり、浮いたままになる。


「あ、やり過ぎたかな?」


我ながら残酷なことをしたとは思う。

これ、エントが教えてくれた魔法だけど、敵に使うと想像以上にグロくなってしまった。


「グハッ、ハァハァ。」

「仕方ないな、ヒール。」


死にかけのボス狼から根を抜いて、回復してあげる。

しばらくボスが落ち着くのを待った。



少したって、ボス狼を先頭に狼達が後ろに並んだ。


「我ら一同、ボスに絶対の忠誠と服従を。」

「はいぃ?」


どういうことだ?勝ったら忠誠とか服従とか言ってきたぞ。


「主よ、狼共のように群れを作るモンスター達は、群れのボスが倒された場合、倒した者をボスとするのじゃ。主はホワイトウルフのボスに選ばれた訳じゃ。」


エントの説明で状況は理解できたが、狼達のボスになるのは後々面倒になりそうだ。

忠誠とか嬉しいんだけどどうしたものか。


「あ、そうだ。ボスにはならないけど、変わりにお願いを聞いてほしいな。」


「なんなりと申し付けてほしい。」


「僕の故郷をこれから守ってほしいんだ。フロネ街って言う街でね、モンスターの大群が襲ってきたりしたら守ってよ。あと、悪い人以外や襲ってきた人以外は襲わないでほしい。」


もしこれから先、街がピンチになったときに俺がいなかったら、もしかすると両親や友達が死んでしまうかもしれない。

その可能性を少しでも減らす考えだ。


「了解しました。ボスからの命令を必ず守りいたします。」


「頼んだぞ。また、何回か会いにいくかもしれない。日々努力して強くなっておいてな。」

「承知。感謝いたします。」


ボス狼に命令してから、俺は帰路につくことにした。

新たな部下?が出来た。


詠唱は入らないんですが、技名を言った方がやり易いです。

覚えたてなので。

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