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代償と治療院はじめました

新しく雇った半分獣人のメイサとサウに、やってもらう事を教えた次の日、ついに治療院がオープンになった。


医療保険はこの国に存在していないので、値段は高めに設定しても大丈夫そうだったが、五千クロムから百万クロムまでにしておいた。


本当に少しの怪我だったり、奴隷ならもっと安くする予定だ。

ただ、安すぎる値段で重症を治すことによって何か問題が起きてしまうと困るからこんな大幅な値段設定にしてしまった。


「さて、いよいよだな。」

「フレード、初日だからお父さんが警備してあげるから安心しなさい。ソフィは朝から姿が見えないからわからないけど。」


父さんに励まされた俺は、父さんと二人で治療院に向かった。

クロには治療院の中で待機してもらうように言っておいた。


「おお!すごい、結構並んでる!」


オープンの一時間前なのに、150人くらいは並んでくれていた。

父さんと母さんの人望に感謝だ。


「よう、ヘルクレード来てやったぜ!」

「ヘルさん、貴方の息子さんの実力を確かめに来ましたぜ!」


並んでいるのは、父さんの知り合いや母さんの知り合いが多かった。

もちろん、普通に期待して来てくれた人もいたのでよかった。


「ありがとうございます、皆さん!」


お礼を言いつつ、治療院の中に入り準備をしようとしたところで、一番前に座っていた人に見覚えがあったので止まった。

…と言うより、母さんだった。


「か、母さん!何してるの?」

「フレちゃん、今は私はお客さんよ!フレちゃんの回復魔法、もう一回浴びたくて来ちゃった!」


最初に診断するのが母さんって、結構恥ずかしいな。


「はいはい、まだ、時間あるから父さんと話しながら待っててね。」


父さんに警備及び母さんの相手を任せて、準備に取りかかった。


「クロ、メイサ、サウ、一緒に頑張ろうね!今日は忙しくなるぞ。」


三人に声をかけ確認をした。

そのあと治療院の二階の窓から、店の前に並んでいる人達に向けて声をかけた。


「皆さん聞いてください。僕はこの治療院の唯一の治療士、ターリア・フレードです。まず、僕は子どもですが、魔法の実力は確かです。なので、安心してください。そして、この治療院には大きく5つのルールが存在しますので、必ず守って下さいね!」


患者さん達に説明をしたあと、お店を開けた。

二階から戻る際、俺の左腕のエントが話しかけてきた。


「主よ、応援してるのじゃ。最近は寝るとき意外我にかまってくれなくて少し寂しかったのじゃ。患者が攻撃してこないように警戒してるから、今日は誉めて欲しいのじゃ。」


なんと、この瞬間エントが甘えてきたのだ。

もうエントは体の一部になってて、馴染んじゃったから最近はクロの方が会話する機会が多くなってしまっていた。


「ごめんごめん、今日の夜はもっとゆっくり話そうね。ありがとエント。」

「分かってくれればいいのじゃ。主。」


クロにエントはまだ、紹介していないのでいずれはしたいと思う。

…エントはクロのことどう思ってるんだろう?まあ、浮気とか言われなくてよかったけれど。



さて、下に戻ってきて俺は治療院の扉を開いて、患者を中に入れ始めた。


「三人とも頼んだよ!」


三人に受付を任せ、受付を終えた人から一人ずつ入ってきた。

記念すべき一人目のお客さんはやっぱり母さんだった。


「フレちゃん、魔法お願い!」

「はいはい。」

「んー!さすがフレちゃん!」


母さんに回復魔法をかけ、直ぐに次の人に移ってもらった。

次に見たのは冒険者の男だった。


「怪我は何処ですか?」

「実は、胸なんだがな、この間大分深く切られてよ。」

「分かりました。任せてください。」


男の胸に手を当て、回復魔法をかけた。


「おお!これはすごい!完全に治った!いやー、いくらヘルさんの息子だからと言っても流石に無理だろうと疑ってたけど、確かな腕だよ!他の冒険者にも広めといてやるよ!ありがとな!」


喜んで貰えて凄くうれしかった。

この調子でどんどん怪我人を治す事が出来た。

治療費はステータスの状態ステイトの内容によって決めた。


「ありがと!」

「ありがとな!」

「すげーよ!」


…毎回誉められて気持ちがいい。

特に今のところはトラブルもないみたいだ。


患者さんが大分減ってきたので、三人に交代で休憩を取ってもらった。

順調に治療が進み午後になった。

午後は治療院の評判を聞いて来てくれた人が多かった。

午後の人達はほとんどの人が、本当にこんな子どもが治せるのか?と疑っている様子だったが、治療後には笑顔になっていたので良かった。


「おい、お前みたいなガキが治療士だって?笑わせるな!自分の目を治せてないくせに、大怪我でも治せるとかほざいてんじゃねーぞ!」


片腕のおっちゃんがきた。

さっきの発言は少しグサッときた。


「安心して下さい、治せることを証明しますから。」


結局、腕を再生してあげて泣いて喜ばれて、腕を失った時からの話を聞かされたのだが、患者がつっかえていたので直ぐに支払いに移ってもらった。

患者がいないときには聞いてあげるんだけどね。


そうして、1日目は治療院を閉めるのが遅くなりながらもなんとか終わらせることが出来た。


「皆、お疲れ様、ありがとね!給与は奮発するから!それと帰る前に回復魔法をかけるから待ってね。」

「ううっー、人が多かったニャー。ちょっと大変だったニャ。」


店を占めた後、お疲れの様子の三人に回復魔法を掛けてあげた。

そして反省会をして、お金をギルドに預け入れて帰宅した。


帰宅後、両親にべた褒めされながら夕食を済ませ、部屋に戻ってきた。


「取り敢えず、上手くいったね。エント、見ててどうだった?」

「素晴らしかったのじゃ。流石は主じゃ。皆の驚く顔が面白かったのじゃ。」


「ははっ。それは良かったよ。エントにも回復魔法を掛けてあげるね。」

「おお!それはありがたいのじゃ!」


人の姿に戻ったエントと話しながら、ベッドに横になった。

エントも俺に添い寝してきたので、凄く可愛かった。

長い時間他愛もない話をして、寝ることにした。


「明日も頑張るよ、おやすみ、エント。」

「おやすみなさいじゃ、主。」


エントの温もりを感じながら寝ることが出来た。

僕の体に遠慮なく当たっている、エントの胸に邪な感情を抱いてしまったのは内緒だ。

エントもクロも俺に取ってはかけがえの無い存在になっていた。




それから何日か過ぎ、隣街や少し離れた所から来る人が多くなった。


「な、無くなった足を戻せるなんて!!また、冒険者に戻れる!本当にありがとう。感謝してもしきれないよ!」

「ありがとう!腕を治してくれて、これで働けるわ!!ああ、可能性を信じて来てよかった!」


人それぞれ、感動してくれて良かったと思う。

そんななか、今日は一人珍しい患者さんが来た。

全身をローブで隠す、珍しい服装をした人が来たのだ。

鑑定してみると、女性の獣人だった。

獣人の患者さんは初めてだった。


「本当に怪我を治せるんだろうな?」

「はい、勿論ですよ!」


そう言って回復魔法を彼女に掛けて上げた。


「んなっ!?」


わざと光らせていかにも治療しましたって雰囲気を出す俺。

驚いた表情が喜びの表情に変わっていくその瞬間をみて、うれしく思った。

彼女は少し呆然としていて面白かった。

治って良かったと思う。


「獣人だろうが、奴隷だろうが僕は関係なく平等に治療致します。だからもし身近に怪我をしている人がいたら、連れてきて下さいね。」


俺はそう優しく語りかけたのだが、いきなり彼女は俺の首にナイフを当てて来た。

防御魔法がかかっているので、そのままナイフを引かれても傷つくことは無いのだが、少し驚いた。


「…なぜ獣人と分かった?」


静かな声でそう聞かれたので、俺はクロを呼んだ。

クロは状況が分からない顔をしていたが、近くに来るように言った。


「この子と似たような気配がしたからね。」


そう言って鑑定のことをごまかそうと、微笑んで見せた。


「従業員の獣人だけ奴隷で、それで平等をほざくとは、笑わせるな。」


しかし、彼女は俺の雇っている三人の内の唯一の獣人が奴隷なことに憤りを感じているみたいだ。

これは、盲点だった。

だが、俺はクロを奴隷と思っていないことを伝えることにした。

フレードはたまに大胆になります。

エントもクロもフレードに大分心を許しています。


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