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ダンタリオン学術院

学生編スタートです。

初等部、中等部、高等部のリオンとシオンをそれぞれお楽しみください。


まずは初等部から


王都『カグラ』の西の一角を占める、魔族の学舎

『ダンタリオン学術院』

学術院は7歳から入学可能で

初等部が7歳から9歳までの3年間

中等部が10歳から12歳までの3年間

高等部が13歳から17歳の5年間となっている。


初等部で学ぶのは一般教養から魔族の歴史、魔族世界の成り立ち、魔法基礎学を主に学ぶ。


中等部では、一般教養と魔法応用学、儀式魔法学、召喚魔法学、錬金術学、魔法属性学、基礎体術など増えていく。


高等部では、コースに別れる。

魔導士コース

剣術士コース

拳術士コース

槍術士コース

弓術士コース

と、更に錬金術士コースと召喚術士コースがある。


ダンタリオン学術院は、魔族であればどの種族でも受け入れているが、

排他的な種族である『海魔族』は、ほぼ入学して来ることはない。

『巨人族』は稀に入学してくるものがいるが、お目にかかることは少ない。

そのため、入学してくるのは『魔人族』、『夜魔族』、『竜人族』、『獣人族』、『鬼人族』の5氏族とその他の部族である。

多数を占めるのが『魔人族』と『夜魔族』。

割合でいえば、『魔人族』が4割、『夜魔族』が3割と、この二種族で7割を占める。

『鬼人族』、『獣人族』が各1割ずつとなっていて、『竜人族』とその他の部族で残りの1割という割合になっている。


なぜ、ここまで差が出ているのか。

部族毎に相応の理由がある。


『夜魔族』は西の大陸からやって来る。

サキュバスやインキュバス、ヴァンパイアなど夜に生きる者の総称である。

部族を通して、精神魔法を得意とする。

『チャーム』や『ドミネーション』などを用いることでモンスターを使役し、渡航を容易にしているのである。



『竜人族』は、実はこの南の大陸『ボーデンス大陸』にいる少数氏族である。

叡智に溢れ、魔術、医療術では最先端を進んでいる。

だが決して、戦闘能力が低いというわけではない。

魔術に秀でているのはもちろんのこと、格闘戦でも高い能力を持っている。

そんな理由から『竜人族』は神々に一番近い種族と呼ばれることもある。

そんな彼らがなぜ氏族の位置に甘んじているのか。

『竜人族』は繁殖率が悪いのだ。


大多数の『竜人族』は商業都市『ドラグガーデン』か城塞都市『ドラグロック』に住んでいて、残りの人たちはこの王都で教師や学士、衛兵などの役職に就いている。

ちなみに王家の魔術師長はこの『竜人族』出身である。



『獣人族』は、東の大陸に住む部族である。

一括りに『獣人族』と表わしているが、その中身は多数の部族によるものである。

代表としては白虎族・銀狼族・紅兎族・天鷹族などが上げられる。

『獣人族』はその部族名を表すような姿形をしていて、身体能力は魔族随一を誇るが魔法能力はさほど高くはない。

『獣人族』は渡航能力が低く、船を使うのだが、東の海は年中荒れている為、この時期になると大規模な儀式魔法で海を鎮める。

が、先で述べた通り魔法能力に難がある為、維持するのが難しく、少数を送り出すのでいっぱいなのだった。



『鬼人族』(おにひとぞく)は『ボーデンス大陸』の東にある島国にいる氏族である。

姿形は人のそれと何ら変わりないのだが、反射神経や五感、六感に秀でる。

白兵戦を得意とし、武器全般に通じる。

学術院の剣・拳・槍・弓の実技指導を担っているのは、この『鬼人族』である。

『鬼人族』は、ただ単にその絶対数が少ないためであり、総じて入学者も少なくなる。

ちなみに鬼の由来はブチ切れると狂戦士化するためである。



『魔人族』は、当然そのお膝元にある為である。

それでもその全てが『ダンタリオン学術院』に入れる訳ではない。

そういった者は、主要な都市にある学術院に通っている。

ダンタリオン学術院は言わば、エリート校なのである。




魔族統一暦4734年、魔神の月、紅鷹の日


『ダンタリオン学術院』は新入生を迎える。


毎年、各部族から大量の新入生が来るために

入学式などの式典は行われない。

その代わりという感じで、在校生からの歓迎会が行われる。

その際に、学校側からの簡単な説明が入るのみである。


高等部の上級生達はコースに分かれており、横の連携が取り辛いため、中等部の三年生が主体となっている。

そういった理由から、高等部はコース毎に主席を設けていて、各コースの主席が出席しているだけになる。

ちなみに生徒会長は中等部三年生から選ばれる。


歓迎会の内容は、新入生が学校生活や寮生活を安心して送れるようにレクリエーションを行っている。


歓迎会が終われば初日は終わりを迎える。


入学して2〜5日目までは新入生の能力測定を行う。

これによって、各クラスの振り分けが決まるのだ。


こうして、入学して初めての週末を双子は迎えるのだった。


その週末もいつも通り訓練に明け暮れ、あっという間に一週間が過ぎる。


翌朝、リオンとシオンは学校の昇降口の前でクラス分け発表を見ていた。


「シオン。僕達1クラスだね」

「だね」


隣に貼ってある学内の地図を見て、指示通りのルートで1クラスを目指す。


「ここだ」


双子は緊張した面持ちで扉の前に立っている。

数瞬の後、意を決して教室に入る。


「おはようございます!」


二人同時に挨拶の言葉を投げかけると、教室にいたクラスメイト達が自分たちを凝視する。

黒髪に伸びかけの角は光沢を持つ。

まだまだあどけない顔立ちは可愛らしく、将来を期待させる。

そんな双子の最大の特徴が瞳だ。

リオンが左目に白銀の目、右目に翠緑玉の目を。

シオンが右目に白銀の目、左目に翠緑玉の目を。

お互いを正面に見据えると、まるで鏡に写ったようになっている。


そんな双子に目を奪われ、呆けるだけのクラスメイト達。


双子は、何か失敗したのかと不安に陥る。

だがその時、更なる衝撃が教室を襲う。

リオンとシオンも目を奪われるほどの綺麗な女の子が教室に入ってきた。


「おはようございます」


教室中の注目を浴びて、少し怯えるも凛と挨拶をする。

自分の名前が書かれている席に座り、静かに笑みをたたえている。


シオンは茫然自失の状態から帰還し、自分たちも席につこうとリオンを引っ張るが、リオンは今だに帰ってくる気配がない。


「リオン。...? リオン?」

「リオン。リオン!」

「......え?」


シオンの何回か目の呼びかけでやっと目が覚めるリオン。


「僕達も席につこう」

「あ...う、うん」


リオンは先に行くシオンに慌てて付いていく。


そうこうしているうちに教室の席は全てが埋まっていた。

シオンが自分の席を見つけて座る。

リオンも自分の席を見つけて座る。

隣に座る子に挨拶しようと隣を見ると...


(えええええええ!?)


心の中で叫ぶ。

心臓が早鐘のように脈打つ。


隣に座るのは自分が目を奪われた女の子だった。

リオンは今までにない程に緊張していた。

挨拶も出来ず、それどころか隣を見ることも出来ない。

ガチガチになっていると、教室に先生が入ってくる。


教壇を前に立ち優しそうな笑顔で教室を見回す。


「おはようございます」


先生が言うと、同じ言葉をクラスメイト全員で返す。


『おはようございます!』

「うん。よろしい」


返事を聞くと満足気に頷く先生。そして、先生の自己紹介が始まる。


「私はニーナ・キサラギ『鬼人族』です」

「今日から3年間皆さんの担任になります」

「よろしくね」


「そしたら、みんなに自己紹介してもらおうかな」

「じゃあ、窓側の先頭の君からお願いしようかな」

「は、はい!」


順々に自己紹介をしていくと、シオンの番がくる。

席を立ち、自己紹介をはじめる。


「シオン・ファン・ヴァイス『魔人族』です」

「趣味、特技は魔装具を自作することです」

「これから3年間よろしくお願いします」


シオンは頬を上気させやり切った顔をしている。


自己紹介の順は進んでいく。

次第に近づいてくる順番にリオンはドキドキする。

とうとう自分の番が来た。


「リオン・フォン・ヴァイス『魔人族』です」

「趣味は魔術研究と特定魔法に付随する効果の研究です」

「特技は魔法です」

「よろしくお願いします!」


そこまで言うと上手く出来た!と心の中でガッツポーズをする。


そして、最後に隣の女の子の自己紹介が始まる。

リオンはそこで初めて隣に座る女の子をまじまじと見る。


「リリ・セイズ・ライフィールド『夜魔族』です」

「趣味、特技は、まだまだ下手だけどお菓子作りです」

「よろしくお願いします」


リリと名乗った女の子は、銀色のウェーブがかった髪を背中まで伸ばす。

髪の中からは伸びかけの角が見える。

容姿は将来を期待させるもので、整った顔立ちをしている。

瞳の色はラピスラズリを思わせるほどに蒼く、澄んでいる。

肌は白く透き通るようだった。


リオンは自分が気付かないほどにリリを見続けていた。

それに気付いたリリはリオンにニコッと微笑む。

リオンはドキッとして、目を逸らす。


今までにない初めての感情。

リオンはこの感情が何なのか、まだ分からない。

いつか、わかる時が来るのかな?と考えながらリリを見つめるのであった。



リリは、リオンに見つめられドキドキしていた。

自分が人並み以上に可愛いのは自覚している。

『夜魔族』の女性の容姿が良いのは周知の事実だから。

でも、隣に座るリオンと言う男の子はやもすると自分よりも可愛らしく映った。

『夜魔族』ではなく、しかも男の子に見とれるなんて...

リリは見つめてくるリオンに勇気を出してニコッと微笑む。

すると、リオンはそっぽを向いてしまった。

チクッと胸が痛むリリは、不思議に思いつつもリオンを横目でみつめるのであった。



リオンとリリが出会った日。

それはお互いがお互いに一目惚れした日となった。

二人がその感情に気付くのはまだまだ先の話である。

ないわ〜...あの最後はないわ〜...


ないとは思うんだけどっ

ロマンティックだよね!


次回はまだまだ初等部編、一つの事件が彼らを襲う。


では、期待して、待て次回!!

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