神の座す場所
初投稿作品です。
閃きと思い付きで書いた作品ですので、生暖かい目で見守ってくれるとありがたいです。
誰もが等しく想う場所、そこは神の御座
主神ガイアと幾柱の神々の住まう地は天空の彼方よりも遠く、深き海よりも深いと言われている。
その神々の御座には今...とある悩み事が存在する。
そこは神の神殿。
人が決して足を踏み入れてはならないと思ってしまうほどに荘厳な雰囲気を醸し出す場所。
その最奥部に在る部屋。
その部屋には高名な彫刻家ロダン、ミケランジェロ、果てはレオナルド・ダ・ヴィンチなど名だたる作家を持ってしても造れそうにもない見事な彫刻が壁一面に彫られている。
それ以外に特筆すべき特徴は無い。
だが神々の住まう場所として相応しく隅々まで磨き上げられている。
そんな部屋の中では、主神ガイアと幾柱の神々が悩ましげに議論を重ねている。
「しかし、このままでは…」
「分かっている、さりとて我らではどうしようもあるまい」
「ならば、吾が示した案を」
「それでは、前回の試練に遠く及ばぬ!」
神々はそれぞれ自身の案や意見を強く押している。
他の神に否定されれば腹も立つし、肯定されれば喜びもする。
神とて感情を持つ生き物なのである。
当然と言える。
喧々諤々とした中、主神ガイアはただただ皆の意見に耳を傾けてる。
神々は各々が自身の意見を主張する。
議論は留まることを知らず、果てなく続くかと思われた。
その時、見守るだけだった主神ガイアが静かに口を開く。
「皆の意見、確かに有意義であろう…しかして、そのどれもが決め手に欠ける」
「中には過去におこなった試練とおなじようなものもある」
神々に沈黙が流れる。主神ガイアは言葉を続ける。
「もう吾らだけでは足りぬのかもしれん、この衰退の歩を止めるには...彼奴等めの……忌々しくも吾らと同等の力を持つ彼奴等めの『力』が...必要なのかもしれん……...」
「主神ガイア!?何を!?」
幾柱の神々は主神ガイアの言葉に驚きをかくせずにいた。
それもそうだろう。
彼は主神であり数多の神々を束ねる長なのだ。
その彼が忌々しいと呼ぶ彼奴等...
悪神・邪神・魔神と呼ばれるもの達...
決して相容れぬはずのもの達...
主神ガイアと幾柱の神々が『善』や『聖』と呼ばれるもの達なら、悪神や邪神といった者達は当然『悪』や『魔』と分類される。
そう。
その彼らの『力』が必要だと、主神ガイアは言ったのだ。
当然幾柱の神々からは反発の声が上がる。
「主神ガイアよ!!たとえどのような事があろうとも彼奴等の『力』だけは借りるわけにはゆかぬ!!!」
「その通りだ!!これは吾らアルアリオスに在る問題!!いまだ解決の道が開かれていなくとも、いずれ吾らの中から素晴らしき解決策が出てこようぞ!!!」
幾柱の神々は声を荒らげていく。
「彼奴等めに『力』を借りるくらいなら吾らの中から出た案を実行するべきであろう!!」
「うむ。目新しいものが無くとも試練は与えることができよう!」
「なれば!吾が案を!!」
「いや!吾が案を!!」
と、再び堂々巡りになる議論を始めようとする神々
その時一際大きな声で主神ガイアの声が響く。
「いい加減にせぬか!!!」
その声に幾柱の神々は驚き黙った、主神ガイアは一同を見回して言葉を続ける。
「なにも全てを彼奴等に頼み任せるつもりではない。吾らは今まで通り試練を与える。」
「導く者としてこれ以上人類の衰退は看過できぬ。しかし、今まで通りでは試練が試練たり得ぬ。だから...『力』を借りるのだ。」
主神ガイアの声に力が無い、彼とて頼まなくても良いなら頼みたくないのだ。
しかし、衰退の一途を辿る人類に対し導く者としての使命がそれを抑える。
「皆よ、此度の試練...吾に任せて欲しい。決して悪いようにはせぬと誓おう。」
「頼む。」
主神であるガイアが発した言葉に幾柱の神々は困惑を浮かべる。しかし、すぐに一柱の神が答える。
「吾ら神々を束ねる長それがガイア、汝よ。」
「その汝が頼むのだ、吾らが拒めるはずもなかろう...」
苦笑混じりに言うと、他の幾柱の神々も相槌をうつように頭を振るのだった。
それを見て主神ガイアは安堵する。
「感謝する。吾が名にかけて必ずこの試練成功させると約束しよう。」
主神ガイアは言った。全身全霊をもって人類衰退の歩を止めると。
しかし、彼にとって幾柱の神々の説得はまだ楽なものだったのだ。
彼はこの先に待ち受ける難題へと思いを馳せる。
(彼奴の説得は骨が折れそうだな...)
こうして神々の議論は終わりを迎えたのだった。
主人公不在のプロローグですが、このあとバンバン出てくるので、期待して、待て次回!!