プロローグ
荘厳な広いホールで今まさに勇者と魔王が己の生死を掛けて決着を付けようとしていた。
「魔王止めだー!」
「小癪な返討ちだ!」
グサ・グサ
「グフ!…くそ〜相討ちだなんて………ガク」
「ゴハァ!…こんな奴を打ち任せぬとは無念……ガク」
バタリ!
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……なんだここは?
真っ暗だ…。
………そうだ! 確か俺は勇者と闘い相討ちになったはずだが上手く急所を外れて助かったのか? よく分からんがなんだか眠いなひと眠りしよう。
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…っう⁉︎ なんだ、苦しい! ココから出してくれ〜……。
オギャー・オギャー
「おめでとうございます元気な男の子が産まれましたよ」
「あ〜私の愛おしい赤ちゃん」
ふ〜助かったのか? ん? 誰だ、なんで抱かれているんだ? 目が良く見えないな、それになんか眠くなってきたぞ…すぴー。
「あらあらもうおねむなのね、おやすなさい私の愛おしい子」
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あれから3カ月が経ったが相変わらず目が見えにくいがなんとか現状を把握する事が出来た。
ぶっちゃけて言うと俺は生まれ変わったみたいだ、俺が産まれた所は病院らしく俺が居た所より進んだ医療技術があるようなんで、未来の世界にいるのかと思ったが違うみたいだった。
なぜかって? ステータスが見れなくなった事と魔法がほとんど使えない今は身体強化ぐらいだ、この世界はマナが極端に少ないらしい。
まだ産まれて3ヶ月これから情報収集を兼ねて生きて行こう、この世界は生命の危機に追いにくい世界みたいだからなゆっくり行くさ…ククク。
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さらにあれから5年が経った、俺も5歳になった訳だがその間の事は出来たら割愛したい、なぜかって? 聞くなよ……わーったよ。
…以前の記憶が有るままでの赤ちゃんプレイだぞ! そんなのが好きな奴以外は地獄じゃねえの? でも飲まないと死ぬし親を不安にさせたくなかったから我慢したが元とはいえ魔王様も丸くなったもんだぜ。
「……まぁ母さん美人だしドキドキした事なくはないけどよ」
もういいだろ? それよりも魔法の事だ、やっぱりあれから魔法はろくに使えず身体強化系を中心に少しだけだったわ。
1度親に暗示を掛けて配下にしようとしたが効いたのか分からんが、親に揉みくちゃにされたのでそれからは使用していない、たぶん効いてないと思われる。
あとなんか知らんが女の子に狙われてる、お隣の優姫ちゃんなんだがまるで親の仇を見るが如く襲ってくる、はたから見たら戯れてる様にしか見えてないだろうけどな。
っあ! 忘れるところだった、この間使い魔が出きたんだよ鳥の使い魔なんだが道端で怪我をしていたので持って帰って治療したら懐いたので、使い魔の契約をしてみたら成功した。
この世界でも契約系は有効らしい、まだ鴉の奴は理解が追いついてないみたいだがその内念話を介しての会話が可能だろう、とりあえず鴉なんでクロウと名付けた。
……まんまじゃねえかって言うなよ、こういうのはシンプルで良いんだよ。
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あれからさらに8年が経ち俺も中学生だ、今更だがこの世界には魔物は居ないらしい。
らしいというのは大昔には伝承系や神話系等の聖獣や怪物あと天使や悪魔が居たとされているからだ、ほとんどは偽物らしいが中には本物に近い物があるらしい。
「いずれは観に行って俺が真偽を解いてみせるぜ!」
あと優姫ちゃんは相変わらず俺を狙ってます。
前に「勇者の名の元に死ぬが良い魔王」なんて言われて襲われた時はビックリしたぜ。
さすがに周りの大人も歳が歳だけに戯れじゃ済みそうにないからか、優姫ちゃんは大人の人達にだいぶこってりと絞られたらしい。
現在では一応はしおらしくしているが俺に見せる目が相変わらず捕食者の目をしている事から反省の色はない様だw
今更だが優姫ちゃんは前世で相討ちした勇者みたいだ、これで昔から狙われてた理由が分かったよ。
だからって討たれてやる理由はないけどな、優姫ちゃんを犯罪者にはしたくないし、それに優姫ちゃんの親に頼まれてんだよな……親に心配かけるなよ優姫ちゃん。
それとクロウとはだいぶ念話が流暢になって一応俺の警護に着いてもらったり、諜報してもらったり物を持ってきてもらったり結構重宝してます。
……ちなみに性別は女性だったわ、名前適当でごめん、本人? 本鳥? は気に入っているみたいだからいいかw
「……さてそろそろ準備して行くぜ!」
どこに行くかって? 冒険さ、前世で出来なかった事が出来るって楽しいぜ、たまに不良が出るが倒せばお金も手に入るし街には平穏が訪れるし良いことだぜ。
ただ気を付けないといけないのは優姫ちゃんに見つかる事だからな。
「クロウ周囲の警戒は任せたぜ!」
さあ、冒険に出発だ!