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急いでいる時に限って

作者: 祭月風鈴
掲載日:2015/09/26

一話完結の怪談短編シリーズです。 

人物・背景などは想像力全開フル回転でお楽しみください。

 今日の私は急いでいる。

電車の先頭車両に乗りこんだ。

なぜなら停車位置が階段のすぐ前だから。

揺られて待つ事50分。

やっと到着駅のホームへ入った時、数人の乗客がざわついた。


「カバンだ」


「カバンだ」


 私も見た。


「カバンだ」


窓の景色をカバンが横切った。

間もなく足元に感触があった。

指でなぞる様に丁寧に感じる。


腕…線路…胴体…線路…腕…線路…


「人が飛び込んだぞ!!」


 一連の感触が終わった後に叫び声を聞いた。

扉が開く。

大勢の野次馬が私の前を塞いでいた。


「どいて下さい!降ります!」


 野次馬を掻き分けなんとか降りた。

私は先を急いでいる。

急いでいる時に限って邪魔される。

人ゴミを押しのけ、他人の足を踏みつ踏まれつ階段に辿りつく。

 

 急いでいる時に限って足が重い。

やっと階段を上がり、改札口を抜けた。

サラリーマンが並ぶ列に加わりバスを待つ。

私の後ろがざわめいていた。

今さっきの人身事故の話しだろう。

私はそんな事にかまってるゆとりは無い。

今日の私はとても急いでいるんだ。


 急いでいる時に限って足が怠い。

時間に少し遅れてバスが到着。

さっさと乗り込もうとしたら運転手さんが叫んで止めた。


「学生さん…足!」


 急いでいる時に限って…。


 私は気を失った。

電車の車輪で切断された手が、なぜか私の足首を掴んでいた。


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― 新着の感想 ―
[一言]  不快になるツボを、北斗神拳のようにピンポイントで突かれました。(笑)  短い話は落ちが勝負だと思いますが、この作品はホラーとして成功しています。
2015/09/27 00:39 退会済み
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