バーベキューと罰ゲームと
ヌエさんの家に着いた。
2階建てか〜 何だか思ってたより普通だな〜
そのまま玄関に向かって歩く。
あれ? なんだなんだ?? なんかおっさんおばさんが家の庭に集まってバーベキューしてんぞ??しかもなんか不良?っぽい悪い大人ばっかだ。
「おぉーミカちゃん!おかえり〜」
「あぁ〜おっちゃん久しぶり〜」
なんかめっちゃ普通に会話してんなおい…しかもみんなヌエさん見た途端駆け寄って来た。あれか?幼馴染?
「いやーしっかしミカちゃんもでっかくなったな〜」
「そうだよな〜昔はこーんな小さかったのに〜」
「えーあたしそんな小さくなかったよ〜」
「「アッハハハハハハ!」」
何だよその会話!そんなのアニメでしか見たことねぇーよ!
「俺らどーするか…」
「どーするって言われてもな…」
いきなり聞かれてもそんなん知らねぇよ… てめえ(小倉)が考えろ!
「あれ?お前らもこっち来いよぉ〜」
「え、いいのか?俺ら邪魔じゃね?」
つーかこんなとこ入りたくね〜よ!酒くせーし。
「んじゃお言葉に甘えて」
「あー、荷物玄関の前に置いといてぇ〜」
「ラジャー!」
そこは遠慮しろよ…つーかもう溶け込んでるし…仕方ないので俺も加わった。話を聞く限り、この人達はヌエさんの親が学生だった頃のワル仲間だったらしい。今ではみんな働いていて、月に一回くらいこうして何処かに集まりワイワイやるらしい。
しっかしこの家の庭が広いのなんの、20人の大人が広々とワイワイできる十分なスペースがある。ヘタしたら家の方が小さい。
「いやーそれにしても子供の頃から変わってないね〜ミカちゃんまだやってんだ〜」
「ん?何を?」
1人のおばさんがヌエさんに聞く。
「ほらあれだよ、契約書。だってそこの二人罰ゲームか何かでしょ?」
「やっぱ浅見さん鋭いねぇ〜アッハハハ! 」
腹押さえるほど笑ってやがる。あのアマ…常習犯だったのか…
「やっぱそぉーか!」
隣にいた男が俺たちに言う。
「ミカちゃんが男連れてくるなんてそれ以外にめったにないからね〜」
「何と無くわかる気がする…」
小倉が言う。確かにな〜、普段クラスでだ〜れも話しかけないしな。
「ヌエさん!俺らもなんか食っていい?」
「そんなん聞かなくてもジャンジャン食ってけ食ってけ!アッハハハ!」
「お!マジで?やったぁー!」
そのまま小倉はバーベキューの焼き肉に食らいつく。
ヌエさんはともかく、小倉…お前楽しみすぎだろ。この人たち初対面だよ?つかもとワルだよ?しかもましてや中学生が受験前に学ランで寄り道したらやばくねーか?
結局俺も混ざり、6時頃俺らは帰る事にした。帰り際、玄関の近くでヌエさんが俺たちを引き止めた。顔が何だか赤い、酒呑んだなこいつ。
「ちょいとまったぁー!」
「「なんだよ」」
はもった。
「あんたらは一応私の家に来たんだから、今日からファーストネームで呼びな!」
「「なんで?」」
またはもった。
「あたしが認めた人の特権だ!て事でまた明日ー!」
そう言うとまたバーベキューしてる庭に戻って行った。
そのまま小倉と家に帰る。
あれ?つか三牙の家って帰り道同じじゃん⁉だから今日の朝早くこれたのか…
「これが普通の女の子ならな……」
「ヒロキ、お前…まさかあいつの事好きなんじゃ…」
小倉が驚愕を露わにする感じで俺から2歩離れた。
「それは絶対ないから安心しろ…アレ《三牙》より二次元のがマシだ」
「お前それはひどいだろ…」
「黙れ、俺は高校生になったらオタクになるつもりだ」
「…」
翌日、学校。
その日はなぜか罰ゲームの指示がなかった。それもそのはず。
昨日のバーベキューの際に三牙は酒を呑んだらしく、二日酔いで寝てるらしい。
「いやぁ〜昨日と違って今日は平和な一日でしたなー!あっはっはっはっはー!」
「昨日あんなに楽しんでたろお前…」
「昨日は昨日!今日は今日なのだ‼」
ガッツポーズ取らなくてもいいだろ…
「うんじゃまた明日な〜 ヒロキ、帰ったらメールするわ」
「うい、うんじゃ!」
うん、いつも通りだ。昨日がおかしかったんだ。いつも通りに家に帰っていつも通りに夕飯作って1人で食べた。
「ねぇ…ゴハンは?」
リキのを忘れてた。
「あ、、、、そういえば、なんでお前しゃべれるんだ?」
「へ?」
しゃがんでリキを見つめる。
「一昨日からなんかいろんな動物の声が聞こえるんだけどさ、なんでなの?」
「いや、ボクに聞かれても… てゆうかボクらいつも喋ってるのにヒロキ達が言葉分からないだけだよ」
「なるほど…でもなんか慣れてきちゃったみたいなんだ、俺へんかな?」
「それはわかんないよ」
自分でもいまさら?って感じだがそういえば一昨日から動物の声が聞こえるようになったんだ。やはりこのイヤホンのせいだろう。
「まぁいや、その...なんだ... 改めてよろしくな」
「うん...?」
そりゃいきなりよろしくなんて言われても意味わかんないよな。
2日後、三牙が学校に来た。
「もう罰ゲーム飽きたわー、、、さすがに一週間てのが長過ぎたんだな〜うん。 明日からヒロキは自由の身という事にしよう」
三牙のその言葉に小倉が反応して自席からすっ飛んできた。
「ハァ⁉それじゃ不公平だろ!俺ん時は何でも言う事聞いてやったのに」
「あんた契約書にサインしたんだから文句言うなよ〜」
その日の三牙はぐったりしていて、机にドテーっと寝そべっていた。
どんな奴もお酒は20歳からだね。
「でもよ…」
「うるさいな〜」
小倉、いい加減聞いてるこっちもイラつくぞ。そんなに俺に罰を与えたいのかお前は。なに?ドSなの?気持ち悪い。
「んじゃーあ、おいヒロキ」
「ん?」
「命令だ、お前に自由という罰を与える。だけど私が呼んだらちゃんと反応しろよ。」
「うい」
「これでいいか?小倉〜?」
「…」
小倉は諦めたように黙り込んだ。
話しててよく思うんだが、三牙はすげえ変わってる。そこらにいる変わってる奴とは違って、なんだか不思議だ。
まぁそう思ってるのは俺だけだろう。
そんなこんなで学校が終わり、帰宅、夕飯を食い風呂も入った。
もうやる事も無いので、とりあえず勉強を始めた。
この時期になると受験する奴はそれなりに勉強する。まぁそれは普通の奴の話で、俺はワザワザ勉強して高校入って着いていけなくなって辞めるなんてこと起こさないようにラクラク受験を目指している。
学力も平均点を越えられるくらいはある。でも万が一を考え、こうして少しずつ復習などをしているのだ。
そんな中、スマホにメールが来た。
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小倉
件名 Re:暇
今なにしてる? スゲー暇なんだけど…T_T
逆井
件名 Re:
そうか、悪いが俺は暇じゃない
小倉
件名 Re:
酷いな 明日シメるぞコラo(`ω´ )o
逆井
件名 Re:
あっそ。
小倉
件名 Re:
ねぇ〜マジかまちょなんだけどー
頼むよーーこの暇をその右手でぶち殺してよ〜ψ(`∇´)ψ
逆井
件名 Re:
悪いが俺の右手にはそんな力ない。
あとお前も勉強しろ
小倉
件名 Re:
、、、、
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あー、勉強飽きちまったじゃねーかよ…
それから何日か過ぎた中間テストにて、、、悲劇は起きた。
「そんな、、馬鹿な、、、、、、ありえない、、、」
「それがあり得るのがこの世界なんだよ? ぶッ!」
初めてテストの合計点で小倉に負けた、、、
「こんなことあっていいはずないんだよ、、、お前に負ける事は世界の終わりを意味するんだよ」
「なにわけわからねぇ事言ってんの? お前、、、 アタマダイジュウブデスカ? 」
受験前の大事な中間テストで小倉に負けるなんてあってはならない。こいつはクラスで最下位レベルだ。
なのに、、、なのに、、、
「なんでお前が720点で俺が680点なんだよーーーーーーーーーー!!!! 絶対カンニングしたろ?なぁ?そうだろカンニングしたろ?」
「いやしてねーよ、受験近いから1日徹夜しただけだよ」
「200点男が1日で720点だと、、、 ありえない」
この時俺は気づいた。馬鹿な奴程、本気になったらスゴイ
当然三者面談で担任にいろいろ聞かれたが何も答えられなかった。だって俺自身不思議で仕方ないもん。
まぁ親がまだ帰って来てないので親から色々言われる心配は無いが、自分でも少し反省した。
テスト前小倉や三牙といろいろあって何にもしてなかった。
「三牙〜お前テストどうだった?」
「なんであんたに言わないと行けないんだよ」
小倉の質問に三牙は飽きれたように机に寝そべる。まぁ、相当悪かったのだろう。
はぁ〜こねままじゃ高校まずいな、何か策を練らねば。
「あ、そういえばヒロキ、耳に着いてるそれに着いてなんか分かったか?」
「あ〜これなら、最近ぶっ壊れたみたいで俺の近くにいる動物の声しか聞こえなくなったよ」
そう、最近ぶっ壊れたのか、鳥や野良猫の声が全く聞こえなくなった。いや、俺的には全然良かったのだが、耳におかしな違和感が残る。今まで大音量でかけていたイヤフォンを外した時のようなあの感覚だ。
「はずれないのか?」
「びくともしねーよ」
血が出るくらいびくともしませんよ、、、はは。
その日の夜、いつもの駅前のコンビニにおにぎりを買いに行った。
先日のようにまたイヤホンが無いかどうかという期待もあったが、今日発売の新しいおにぎりの味を確かめに行きたいという気持ちの方が強かった。
まぁ当然だが、イヤホンは無く、おにぎりはクソまずいかったという結果に終わった。
次は10日ごろに投稿します