ペア組み問題?
朝、メリルさんにこう告げられた。
「スバル君も慣れてきた事だし、四人で配達して来たら?」
「四人で…ですか?」
その場にいた、あたし・ユナ・ノエル・スバル君が呆然とメリルさんを見た。
「知り合いと一緒の方がスバル君も気楽でしょ?」
「確かに楽ですけど……急過ぎじゃないですか?」
「だって今思いついたんだもの」
ガクッ
メリルさんの事だからそうだとは、思ったけど……。
「四人で二つの荷物を配達するのよ。二人づつ男女ペアを組んでね」
「行きが四人で配達先にペアで別れるそして配達後に合流するって訳か……」
ユナは、腕を組んでメリルさんを見る。メリルさんは、笑顔で頷く。
「さすがユナ、理解が早いわね。これだといつ熊が出ても一人って事は無くなるわ」
「一応私が襲われた事、考慮してるんですね」
「だってユナだから良かったものの……もし他の女の子が教われてたら大変じゃない?」
「ユナさんも襲われたら大変ですよ」
否定したのは、誰でもないスバル君だった。言い返そうとしていたユナも驚いてスバル君を見る。
「そ…そうよね?じゃあ、四人にお願いするわ。よろしくね」
メリルさんは、そう言って足早に部屋を出て行った。
「スバル君……言い返したの?」
私は、思わずスバル君に聞いていた。
「だって襲われた直後のユナさんを見たら誰だって……かなりレアでしたよ……」
とスバル君は失笑した。ユナを見たところ、背を向けて項垂れていた。
なんか仲良く?なったみたいで良かった……。
「じゃあ早速行こう!荷物どんなのかな?」
「いや、その前にペアを決めないといけないだろ?」
「そうだった!やっぱりスバル君とユナはペア?」
私は、ユナに聞いてみた。ユナは、青ざめた顔で私の肩を掴みながら言った。
「今回……スバル君とは別にしてくれない?」
「え…でも…」
そうしてあげたいのは山々なんだけど…でもペアって事は、二人って事で……ん?
「…もしかしてユナ、スバル君と二人になるのが嫌なの?」
青ざめたまま、ユナは固まってしまった。図星だったんだ…。
一体熊の時に何が?とにかく、この状態の二人をペアにして荷物配達がまともに出来る訳がない。
あれ?なんか今日の私、冴えてる?
「じゃあ私とスバル君、ユナとノエルね?」
「ミヨ……」
ユナは、もういつもの表情に戻ってちゃんと立っていた。
「何?ユナ」
「私…どっちも嫌だ」
「…………へ?」
ユナを除いてその場にいた全員が呆然とした。ユナは、目を逸らして続けた。
「ノエルもスバル君も嫌だ」
「……二人共嫌われちゃってるー」
思わず私は、ニヤニヤとしてしまった。それを見て、呆れながらノエルが言う。
「なんでニヤニヤしてんだよ…」
「特に理由は無い。でもなんかおかしくって!」
「ああ…でもスバル君よりはノエルの方が何百倍もマシ」
これ…スバル君の心に刺さっちゃってるよね…。もう再起不能だよ。
「そっそうか…」
「ノエルも何気に喜んでないで!」
「それにしても俺より嫌われるって…一体何したんだよ。スバルはユナに……」
確かに……。何したんだろう…前までは、まだ扱いがマシだったのに。
「じゃあ、行こうか?」
「そうだな」
私達は、荷物を取る為に部屋を出たのだった。
続く