遭遇
朝
「さあ、行ってみよー」
「おー!」
唯一テンションが低かったのはユナだった。なんでも低血圧だそうで‥‥。
「朝からよくそのテンション‥‥」
「ユナが低過ぎなんだよ!そうだ、仮面さんにはどうしたら会えるんだろう?」
「考えてなかったのかよ!」
隣からノエルの怒声。ユナは、うるさかったのか手で耳を塞いでいる。
「ごめん‥‥まあ、会えたら運がいいって事で‥‥」
「あ‥‥」
声が聞こえて前方を見る。
「あ‥‥」
「運良過ぎだろ‥‥」
さっきの怒りは、とっくに沈んだ。あまりのタイミングで驚きを隠せないらしい。
「仮面さん、初恋の人探してるんでしょ?」
「仮面さん?」
「そりゃ、驚くよな」
「初恋の人探してるんでしょ?私たち運び屋だから協力してあげる!」
仮面に隠れて表情がよく分からないけど、すごく驚いているだろう。
「なぜ突然?」
「だって‥‥あんなに頑張ってるんだよ?仮面さんとしてじゃ‥‥いつ捕まるか分からないし‥‥」
「まさか‥‥」
ユナは、勘付いて目を見開いて私を見た。
「仮面さんを運び屋にしてあげたいと思うの」
「いくらミヨでもそれは‥‥」
ユナは、納得がいかないのか私から目を逸らした。
「ユナも仮面さんと同る‥‥」
同類と言いかけた時、ユナが近くの木を殴った。
「それ以上言う気なら‥‥顎に一回と腹に五回‥‥どっちがいい?」
(し‥‥死の数だ‥‥)
直感的にユナ以外の全員が思った。
「とっともかく‥‥見つけてあげたいのよ‥‥長い想いが通じる所を見てみたいの。それに‥‥」
私は、笑顔で仮面さんを見て言う。
「仮面さんの顔も見てみたいの」
「お前の本命は、後者の方か」
「私、眠いから帰る」
「ええーー!待ってよ、ユナ」
私は、必死でユナを帰すまいと腕をつかむ。
結局、日が落ちるまでずっと続けていた。