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非現実的なこの世界で‥‥

後ろからは、男達の怒鳴り声‥‥。私を追って怒鳴りながら走り回る。


私の名は、ミヨ。運び屋だ。女で運び屋なんて言うのは、とても極稀(ごくまれ)だ。

運び屋をやるには、腕力がいるし‥‥運び屋は、金さえ貰えればなんでも運ぶ。今の私みたいに恨みを買われやすい。だから逃げ切る為にスタミナもいる。ハッキリ言えば女は、腕力やスタミナがないから運び屋になんか早々なれないと言う訳だ。

私の場合は、腕力やスタミナがある。私の故郷でよく畑仕事なんかを手伝っていたからだ。

 

木の幹に隠れて相手の様子を伺う。生憎(あいにく)、今の私には、剣がない。素手でもいけるけれど人数が多すぎる。

‥‥‥何人いる?1・2・3・4・5‥‥‥8人か‥‥。

5人ならなんとか‥‥大丈夫だと思ったけれど‥‥しょうがない。3人多いだけだ。



「で‥‥そんなに傷ついたと?」

今いるのは、運び屋の出入りする建物‥‥寮と言った方がいいか、一応部屋あるし。私の傷の手当てをしているのは、情報屋であり私と同じ運び屋でもある私の親友・ユナ。男勝りだし男口調だし見かけも男みたいだけれど列記とした女性です。

「8人位大丈夫だと‥‥」

「阿呆、5人でも厳しいのに8人なんて到底無理だろ」

「その通り‥‥」

言い返す言葉も見つからない。腕力・スタミナは、あるけれど知力や武術・剣術が劣っているとつい最近ユナに言われた。

「これでよし」

「ありがとう」

私は、お礼を言った手当てしてもらった傷口を見た。

「もう無茶するなよ?私の少ない同姓の友人なんだから」

「うん」

ユナが食堂に行くと言うので私もついて行く事にした。


食堂では、一箇所にみんなが固まっていた。

「みんな、どうしたの?」

私が声をかけると気づいて何人かが振り向く。

「荷物を襲う謎の人が出たって話だ」

「黒いマントを羽織って仮面をつけているから性別も顔も‥‥何もかもが謎らしい」

「襲う荷物は、決まって女の入っている荷物らしい」

女‥‥?荷物を襲う奴なんてたくさんいるけれど特定の荷物だけを狙うなんて‥‥。

「しかも、女の顔を見ただけで女は、そのまま放置だ」

「どんな美人な女でも顔を見ただけで放置するんだ。俺は、この目で見た」

そう言った男の運び屋の目が細かったので思わず噴出しそうになるけれど何とか堪える。

「その謎の奴は、何を探していたんだろうか?」

今まで黙っていたユナが言った。

「探していた?」

「どう言う事だ?」

運び屋達がユナに詰め寄る。もちろん私もだ。

「特定の荷物‥‥女性の顔を見るだけ‥‥そしてその後は、放置‥‥謎の奴は、女を捜している‥‥そう考えるのが妥当じゃないか?」

「なるほど‥‥それなら奇妙な行動の納得がいくな」

みんなが納得している中、ユナは、また続けた。

「ただの女じゃなくて‥‥荷物として扱われている女限定みたいだけどな」

「ユナ‥‥どうしてそんな事分かるの?」

「荷物だけが襲われている、町で女が襲われたなんて話聞かないだろ?」

そう言ってユナは、私の頭を撫でる。なんだか子供扱いされてる気がする。


「これからミヨは、配達か?」

腕を組み、私の届ける荷物を覗き込みながらユナが聞いた。

「うん。まだ一つ残ってるんだ」

「じゃあ私もついて行く」

「え‥‥?」

私が驚いた顔をすると、ユナは、顔をしかめる。

「襲われたんだ。学習しろ」

「そうでした‥‥」

ああ‥‥私が8人も相手にしなければよかったのかな‥‥。

「ミヨ、ここにいたのか」

「あ‥‥」

私に声をかけて来たのは、同じ運び屋で年も近い、ノエルだった。運び屋になって初めて声をかけてくれた人。

「ミヨに何か用なのか?」

「あるから探してたんだ」

ユナを睨んでからノエルは、また続ける。

「荷物を襲っている奴が気になる。俺も連れて行ってほしい」

あの話をノエルも聞いてたんだ‥‥。

「うん。分かった、いいよ」

「ありがとう」

「ところで、荷物の中身は?」

ユナが荷物を見て、聞いた。

「確か女性‥‥」

女性が荷物って事は‥‥。

「気をつけよう‥‥ノエルもミヨも」

私とノエルにすぐに気づいたユナがそう言った。

「そうだね‥」

「だな‥‥」

私達は、この荷物を見て青ざめたのだった。

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