特攻隊部隊~演技を諦められない少年~
1944年、日本は日米開戦を迎え戦争の真っ只中だった。
水野秀は体が弱く戦争には徴集されず、軍需工場で勤労動員に動員された。
秀は演技が好きだった。
戦争が始まる前の小学生時代は一人で何役も演技をしたり、脚本を書いて友人を巻き込み演技に没頭していた。
しかし、秀が小学生の6年生の頃から戦争が始まり秀は休み時間に一人演技をすると周囲が寄ってたかって「非国民」と馬鹿にした。
中学生に入ってからは先生からも「国のために生きろ」と罵られるようになった。
秀の周りにはそれから秀を馬鹿にする輩が増えた。
それでも秀は諦めなかった。秀は家では演技をし、授業中には脚本を書いた。
放課後秀は教室で脚本を書いているとクラスのヤンキーに絡まれた。
しかし、ヤンキーは「その紙なんだよ非国民」と言いながら机の上に置いてあった紙を覗くと笑顔がなくなり、真剣な顔になった。
「これ、なんだよ。おもしれえじゃん」
ヤンキーが秀を見て言った。
軍需工場で勤労動員に動員された。
真一は「他にもあるのか?」と言うと、秀は「うん」と言ってバックから他の脚本の紙の束を真一に渡した。
真一は一枚一枚丁寧に読み、あるときは笑い、またあるときは涙ぐみながら全ての脚本を読み終えた。
「感動した…」
「えっ」
秀は嬉しさと信じられなさのあまり動揺した。
「お前、今度なんか言われたら俺に言えよ。なんとかしちゃる」
頼もしそうな真一が夕日に照らされていた。
それから真一は休み時間になると秀の元に来るようになった。
次第に秀を悪く言う同級生は減っていった。
秀は中学を卒業し軍需工場で勤労動員に動員された。
工場の中では演技に触れられる時間が減っていった秀。
作業室の2階の倉庫でコッソリ書いた脚本を真一に見せながら過ごしていた。
しかし、ある日工場へ行くと秀は先輩達に脚本を見られ「非国民」と罵られた。
脚本を先輩に破られた秀。
それでもあきらめず川の近くに休憩で行くたびに脚本を書いていた。
そんなとき、川にいた秀の元に真一がやって来る。
「俺、戦争に行くことになったわ。最後に俺を役にして脚本書いてくれや」
秀は真一へ家族からの励ましが詰まったエールのような脚本を秀から受け取った。
「ありがとう」
泣きはらした真一は次の日から戦争に行ってしまった。
それから一週間、秀はいつもと同じように休憩時間に川で脚本を書いていた。
そのときに川を越えた家に明かりが灯っていくのが見えた。
秀は目を凝らし、バックからラジオを取り出しつけた。
「これにて終戦致します」
秀は嬉しさのあまりバックを放り投げ、「これで演技ができるぞー」と叫んでは河辺に寝そべりそのまま眠りについた。




