差し込む光
龍の口が大きく開く。
黒い光が集まる。
圧縮された闇。
凛は動けない。
身体は言うことを聞かず、視界だけがその光景を映していた。
(終わりか……)
そう思った瞬間――
「凛!!」
声。
次の瞬間。
扉が吹き飛んだ。
唯と光が飛び込んでくる。
龍のブレスが放たれる。
だが。
眩い光がその前に立ちはだかった。
爆発。
衝撃が部屋を揺らす。
煙が広がる。
「凛!」
唯が駆け寄る。
凛はかろうじて目を開けた。
「……唯」
「生きてる?」
「……なんとか」
息が荒い。
その時だった。
凛は気づく。
光の様子が違う。
光の身体から――
眩いオーラが溢れていた。
白く輝く光。
まるで太陽のような光が彼女を包んでいる。
そして表情。
いつもの光とは違う。
落ち着いた瞳。
静かな存在感。
まるで――
その人格が、光そのもののようだった。
シンが目を細める。
「……なんだ、それは」
そして笑う。
「まあいい」
杖を掲げる。
「お前たちも養分にしてやる」
龍が咆哮する。
巨大な身体が動く。
凛たちへ襲いかかる。
その瞬間。
光が一歩前へ出た。
静かに手をかざす。
そして――
「閃光」
言葉と同時に。
世界が白く染まった。
凄まじい光。
龍の身体がその光に飲まれる。
咆哮。
だが次の瞬間。
龍の身体は、崩れ始めた。
鱗が砕ける。
身体が光に分解される。
そして――
消えた。
完全に。
部屋が静まり返る。
唯が呟く。
「……え」
凛も目を見開く。
「なんだ……これは」
シンも動揺していた。
「な、なんだその力は……!」
そして焦り始める。
「くそ……」
杖を強く握る。
「もっと……」
闇が溢れ出す。
「もっと闇を!!」
杖から闇が噴き出す。
黒い霧。
それがシンの身体を包み込む。
「……?」
シンの顔が歪む。
「なんだこれは」
闇が身体へ流れ込む。
「やめろ……」
闇は止まらない。
「苦しい……!」
全身が闇に覆われていく。
「なんだ……これはあああ!!」
闇が爆発する。
部屋全体が黒く染まった。
視界が消える。
凛たちは何も見えない。
ただ闇だけが広がる。
そして――
闇が、晴れた。
そこに立っていたのは。
シンではなかった。
闇のオーラを纏う、別の存在。
圧倒的な威圧感。
ゆっくりと口を開く。
「……我は」
低い声。
「闇の使者ゾル」
凛の短剣が震える。
ロギが低く呟く。
『……ゾル』
ゾルは床を見下ろした。
そこには――
崩れ落ちたシンの身体。
ゾルは淡々と言う。
「やつの器は、闇に適合しなかったようだ」
闇が、静かに揺れた。




