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どうやらこの世界は彼女の知る世界とは違うらしい  作者: カヲカヲ


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閃光の正体


凛は気絶した光を背負い、遺跡を後にした。


 背中の体温が、やけに確かで。


 それが逆に不安を浮き彫りにする。


 アルテがふわりと浮かぶ。


「今日はここまでだね」


 いつもの調子。


「次の遺跡で待ってるよ」


 凛が低く問う。


「さっきのは何ですか」


 アルテは微笑むだけ。


「君たちはもう動き始めている。焦らなくていい」


 それだけ言って、光の粒子となって消えた。


 沈黙。


 森を抜ける帰り道。


 夕暮れの赤が二人を染める。


 唯がぽつりと呟く。


「……あれは、一体なんだったのかしら」


 凛は前を向いたまま答える。


「わかりません」


「でも、光じゃなかった」


 断言する。


「あんな魔力、見たことない」


 唯も頷く。


「私も……違和感があった」


 少し迷い、言葉を選ぶ。


「光ちゃんが現れた瞬間……」


 そこまで言って、口を閉じる。


 凛は気づかない。


 だが唯は覚えている。


 胸元に隠している、小さな水晶。


 ――ループのために使っていた水晶。


 あの瞬間。


 強烈な閃光を放った。


 今までにない反応。


(どうして……?)


 手のひら越しに感じた振動。


 あれは偶然ではない。


 共鳴。


 だが、凛には言わない。


 まだ確信がない。


 混乱させるだけ。


「光ちゃん……覚えてないといいけど」


 話題を戻す。


「覚えてないでしょう」


 凛が即答する。


「覚えてたら、あんな顔してない」


 少しだけ、柔らかな声。


 夕陽が沈む頃、小さな村が見えてくる。


 木の柵に囲まれた集落。


「ヨポイ……」


 二人は宿へ入る。


 部屋を二つ。


「私は隣にいるわ」


「何かあったら呼びます」


 凛は光をベッドに寝かせる。


 額に触れる。


 異常はない。


 椅子に座り、ただ見守る。


 どれほど時間が経ったか。


「……ん」


 小さな声。


 凛が立ち上がる。


「光!」


 ゆっくりと目を開く。


「お兄ちゃん……?」


「大丈夫か?!」


「うん……ここどこ?」


「ヨポイだ。遺跡の帰り」


「そっか……」


 いつもの光だ。


 凛は真剣な顔になる。


「試練で何があった?」


 光は眉を寄せる。


「モンスターと戦ってたんだけど……全然敵わなくて」


 声が震える。


「襲いかかってきて……死んじゃう!って思ったの」


 そこで止まる。


「それから、覚えてない」


 凛は目を閉じる。


 やはり空白。


「そうか」


 情報はない。


 だが。


「無事でよかった」


 本心だった。


 光が笑う。


「心配した?」


「当たり前だ」


 即答。


 光は嬉しそうに笑う。


 凛は胸の奥の重さを押し込める。


 一方、隣の部屋。


 唯は水晶を取り出していた。


 淡い光を帯びている。


 さっきの反応の残滓。


(なぜ……光ちゃんと、共鳴したの?)


 答えは出ない。


 だが確実に言える。


 何かが、動き始めている。


 唯は水晶を握りしめた。


 凛にはまだ言うことができない――


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