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どうやらこの世界は彼女の知る世界とは違うらしい  作者: カヲカヲ


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試練?これは


 光に包まれ、視界が白に染まる。


 次の瞬間――


 凛は草原に立っていた。


「……ここは」


 振り返る。


「光! 唯さん!」


 いない。


 胸がざわつく。


 だが深呼吸。


「落ち着け……試練だ」


 前方の草が揺れる。


 黄色い毛並み。


「ファング……」


 その姿を見た瞬間、脳裏に記憶がよぎる。


 最初に受けた、あの試練。


 似ている。


 いや――


「同じか?」


 ファングが跳躍。


 凛は半歩引きつける。


 軌道を読む。


 一閃。


 着地と同時に首が落ちる。


 手応えが軽い。


「動きも、配置も……あの時と酷似してる」


 空間が歪む。


 転移。


 石造りの広間。


 重い振動。


 巨大なゴーレム。


 拳の振り上げ方。


 踏み込みの癖。


「……やっぱりだ」


 以前と同じ個体構成。


 同じ攻撃パターン。


 だが違うのは――


「俺が強くなってる」


 拳を紙一重で回避。


 足元へ滑り込む。


 硬い。


 だが核の位置は覚えている。


「そこだ」


 背後へ回り込み、短剣を深く突き刺す。


 ひび割れ。


 追撃。


 粉砕。


 ゴーレムが崩れ落ちる。


 光が舞う。


【レベルが16に上がりました】


「……16か」


 身体が軽い。


 魔力の巡りも滑らかになった。


 だが終わらない。


 再び空間が歪む。


 森のような場所。


 下卑た笑い声。


「ギギギ……」


 ゴブリン。


 一体、二体――十体以上。


 そして奥から現れる巨体。


 鎧を纏ったボスゴブリン。


「構成まで同じとはな」


 以前の試練と、流れが一致している。


 ならば――


「答えは簡単だ」


 凛は踏み込む。


 最前列を横薙ぎ。


 二体同時に絶命。


 背後の一体を蹴り上げ、空中で首を断つ。


 囲まれる前に崩す。


 呼吸は乱れない。


 短剣が閃き続ける。


 数秒で雑魚は壊滅。


 ボスゴブリンが咆哮。


 棍棒を振り上げる。


「遅い」


 懐へ潜る。


 腹部を裂く。


 怯んだ瞬間、跳躍。


 首筋へ渾身の一撃。


 血飛沫。


 崩れ落ちる巨体。


 静寂。


「……試練の再演か」


 だが難度は明らかに下がっている。


 いや。


「俺が、上がっただけか」


 光が包む。


 女神像の前へ戻る。


 アルテが浮かんでいた。


「想定より早い」


 淡々とした声。


「段階を上げたはずなんだけどね」


「前に似たようなのをやりました」


 凛は短く答える。


「だから読めただけです」


 アルテの目が細くなる。


「やはり、特別だ」


「会うまでの話を聞かせてくれないかな?」


 凛は口を開く。


 ロギ。


 闇の使者。


 これまでのこと。


「――っ」


 声が出ない。


 胸が締め付けられる。


 心に響く声。


『お主は私たちに選ばれた』


 ロギ。


 短剣が禍々しく闇を纏う。


『話すことは許されない』


(……なぜだ)


『時はまだ満ちておらぬ』


 圧迫。


『何も話すな』


 凛は歯を食いしばる。


(……わかった。何も話さない)


 締め付けが消える。


 闇が静まる。


 アルテが静かに言う。


「何も話せない事情があるみたいだね」


 視線は短剣へ。


「闇の気配が強い」


 一瞬、空気が冷える。


「忠告しておくよ。闇には近づかないこと」


「身を滅ぼす」


 凛は心の中で呟く。


(近づかないも何も、あっちから来るんだが)


 アルテが遠くを見る。


「さて――」


「彼女達は試練を乗り越えられるかな?」


 遺跡に、静かな緊張が広がった。

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