支援魔道士?
「そういえば、光の職業って何なんだ?」
ギルドカードを受け取った光が、嬉しそうに差し出してくる。
「えっとね……支援魔道士だって!」
「支援?」
カードを覗き込む。
【職業:支援魔道士】
【レベル:1】
能力値を確認する。
敏捷と器用さは平均より高い。だが、筋力や耐久、魔力総量はまだ低い。
「……完全に後衛だな」
「えー? 前で戦うのかっこよくない?」
「やめろ、危ない」
スキル欄を見る。
■身体強化(攻)
■身体強化(防)
■身体強化(敏)
「なるほど……バフ特化か」
攻撃力上昇、防御力上昇、敏捷上昇。
攻撃魔法は一切ない。
「私、ドーン!とかできないの?」
「できないな」
「えーなんでー!」
だが、これは強い。
上手く使えば格上にも挑める。
「光はサポートに回ってくれ。無理はするな」
「はーい」
素直に頷く。
……防具がないのはまずい。とりあえずだが、
「これ、着とけ」
凛は装備していたボスゴブリンのローブを脱ぎ、光へ渡す。
「え、いいの?」
「今はお前の方が優先だ」
羽織った瞬間、光が顔を赤らめる。
「……お兄ちゃんの匂いがするー♡」
「やめなさい」
コツン、と肩を小突く。
「はーーい」
不満げだが、どこか嬉しそうだ。
……回復手段も必要だな。
凛は再び受付へ向かう。
「ドロップ品の買取ってできますか?」
「はい、行っております! どちらでしょうか?」
「これです」
ゴブリンのこん棒と、ゴーレムの破片を取り出す。
受付嬢が手際よく査定する。
「こちらですと銀貨5枚ですね。よろしいでしょうか?」
「お願いします」
チャリン、と小気味よい音。
銀貨を手にした瞬間、少しだけ現実味が湧く。
異世界で初めて稼いだ金だ。
凛は道具屋へ向かう。
「ポーションを10個」
「銅貨10枚で1つだよ」
銅貨100枚で銀貨1枚。
銀貨100枚で金貨1枚。
この世界の通貨価値も頭に入れておく。
銀貨1枚分を支払い、ポーションを受け取る。
残りは温存だ。
ギルドの掲示板でドラゴニル討伐の詳細を確認する。
――村を東へ抜ける。
――ニック草原の先。
――サール洞窟。
――元はオークの縄張り。
「オークを追い払ったってことは……」
「強いの?」
「ああ、たぶんな」
だが行くしかない。
Cランクスタートの条件。
そして金も必要だ。
「よし、準備はできた」
光の肩に手を置く。
「俺から絶対に離れるなよ」
「うん!」
真剣な顔で頷く。
ギルドの扉を押し開ける。
夕陽が差し込む村。
その先に広がる草原。
兄妹二人、並んで歩き出す。
――エーシンを出発した。




