俺は何に選ばれたのだろう
闇が霧散した瞬間、眩い光が降り注いだ。
【ランクアップ!】
【ランクアップ報酬を付与します】
【凛のHP全回復】
全身を蝕んでいた痛みが、波が引くように消えていく。折れていたはずの骨も、裂けた皮膚も、何事もなかったかのように再生した。体の奥から力が満ちてくる。
【凛のランクが2に上がりました】
【職業:魔道化師 に変更されました】
「……魔道化師?」
聞いたことのない名。だが響きだけで、ただの戦士ではないと分かる。
【スキルを習得しました】
■分身
自分の分身を1体まで生成可能。
発動時、体力は本体と分身で半分ずつ分割される。
■複写
撃破した敵のスキルを3つまで使用可能。
【レベルアップロックが解除されました】
情報量に思考が追いつかない。
その時、闇が再び集まり、一人の影を形作る。
「まだまだだが、大目に見てやろう」
ロギ。
「私は寛大だからな」
凛はただ立ち尽くす。
「何がなんやらという顔だな。一つだけ質問に答えてやろう」
「……俺は、何に選ばれたんですか?」
ロギは顎に手を当て、わずかに考える。
「全ては言えん。変える」
「変える?」
「お前は“変えるもの”に選ばれた。それしか言えん」
「答えになってないだろ……」
ロギは小さく鼻で笑った。
「いずれ嫌でも知ることになる」
そして指を鳴らす。
闇が一点に収束し、刃の形を成す。
現れたのは一振りの短剣。黒曜石のような刃は光を吸い込み、周囲の空気すら重くする。
「合格の褒美として、私からはこれを授けよう。大切に使うが良い」
短剣がゆっくりと凛の前に落ちる。
握った瞬間、冷たい感触が手のひらに伝わった。だが次の瞬間、鼓動のような震えが指先を打つ。まるで刃が生きているかのようだった。
【ロギの短剣 を入手しました】
■ロギの短剣
投擲可能
攻撃力:極大
闇属性付与
“極大”という表示が、異質すぎる。
軽く振るだけで、空気が裂ける音がした。試しに壁へ向けて振り抜くと、数メートル離れた石壁に深い亀裂が走る。
「……なんだよ、これ」
「その短剣は主を選ぶ」
ロギの声は低い。
「力に呑まれるか、力を従えるか。それはお前次第だ」
凛は刃を見つめる。
強い。だが、どこか底知れない。
「また会う頃には、お前がこの刃を使いこなしていることを期待している」
闇がゆっくりとロギを包み込む。
「また会おう、凛」
完全に姿が消えた瞬間。
【システムメッセージ】
【始まりの村エーシンへ転移します】
「え!? また転移!?」
足元に魔法陣が展開される。
5
4
短剣を腰に差す。重みはないのに、存在感だけが異様に重い。
3
「始まりの村……」
2
やっと、普通の異世界らしい場所に行けるのか。
1
閃光。
凛の姿は、その場から消えた。




