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どうやらこの世界は彼女の知る世界とは違うらしい  作者: カヲカヲ


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プロローグ


春風に吹かれて桜が舞い散る校門前。

鷹根凛。高校1年。今日は入学式。

僕が通う松蔭学園高校はクラブ活動が盛んなこともあり、新入生の勧誘合戦が行われている。地味な僕には無縁の話と影を潜め校門内へ進んでいく。

 

 急に突風が吹いた――


 寒さと風の強さで顔を下に向ける。

 風が止み顔を上げたそこに彼女はいた。

 背が高く、凛とした顔立ち。綺麗な人だと思ったが、違和感を感じる。彼女の肩の上に何かが乗っている――

 なんだ、あれは……犬みたいだけど羽……?

 見たことがない動物?ゲームやアニメでしか見たことがないような見た目、自然と凝視してしまった。


「あなた見えるのね……」


彼女は嬉しそうにそう話しかけてくる。

 その声と同時に肩の生き物はこちらを向き、微笑みかけてくる。

話しかけられてしまった驚きと肩の生き物の驚きで声が出てこない。普段から話をするタイプではない僕は口篭る。

「聞こえてるー?君に話しかけてるんだよ!」

彼女は僕に指を指し更に話しかけてくる。

「は……い」

 声にならない声で応える。

 驚きもあるが不思議な心臓の鼓動を感じる。怖いのに目を離すことが出来ない。

 

「君は凛くんって名前なんだね」

 

喋った……名前……なんで―――

 心臓が跳ねるように鼓動が強まる。

 

「やっと見つけた……この人なら……」

  彼女は呟く。

 ハッっと目を見開き

「凛くん!今日の放課後空けといて!」

 放課後?放課後になにをするんだ?

「あ……はい」

 驚きで簡単に返事をしてしまった。

「ありがと!放課後に校門集合!ぜったいね!」


 そう言うと校舎の方へ歩いていく。

 急に立ち止まり振り返る彼女。

「自己紹介してなかった。2年B組 鷲野唯。放課後全部教えてあげるから!」

キラキラの笑顔で自己紹介した鷲野さんは颯爽と校内に消えていってしまう。

 肩の生き物は笑いかけながら飛んでいってしまった。

 

 自然と笑みがこぼれそうになる。

 もう今までの生活には戻れそうにない。



 入学式やらクラス発表やらあったが、朝のことが頭から離れないでいた。早く放課後になってほしい、これからどんなことが待っているのだろう。そんなことを思っているとあっという間に時は流れた。


 放課後――――


「遅い!早く行くよ!」


 鷲野さんはそう言うと歩き出した。

 彼女の肩には謎の生き物はいないようだ。

 

「……どこにいくんですか?」

 

「すぐ着くから!」

 

 彼女は答えにならない答えをする。

 着けばわかるかと諦めて僕は彼女のあとを追いかけた。


 10分程歩いたか、彼女は立ち止まる。

 そこは自分の家の横にある神社があった。

 (神社……?)


 

「着いたわよ!さあ入って!」

 目を見開き彼女は言う。

「神社に何があるんですか?」

「あー……ここ私の実家なのよ。休日は手伝いで巫女さんしてるの。」

 鷲野さんの巫女姿……

「何にやけてんのよ!巫女姿でも想像しちゃったの?思春期には刺激が強いんじゃない」

 1つ年上なだけなのに得意げに彼女はからかう。

「私のお願い聞いてくれたら巫女姿でもなんでも見せてあげるわよ。」

 休日に神社を覗きに来る手間が省けた。

「お願いもなんですが、本題を聞かせてください。」

 彼女は咳払いをし、

「コホン……話がズレたわね。中で話すわ。こっちにきて」

 


 神社内奥の古びた蔵に案内され、

 蔵の奥から眩しさを感じ取る。

進むとそこには白く輝く扉がある。

 

「凛くん、これ見えるよね」

 

「見えます……これは……」

 

「あれは選ばれた人にしか、あなたと私しか見えない扉なの。」

 


「入る資格はあるみたいだね。」


 後ろから声が聞こえる。

 そこにはさっきまで居なかったあの肩に乗っていた生き物がいる。


 喉が渇く。これは本当に現実なのか……


「凛くん、これはあなたが決めるの。強制はしないわ。」

 

 心臓の鼓動が強く高鳴る。

 身体が自然と動く。

 

 ダッダッ――――――ガシッ

 

 ノブを掴む


 扉の向こうから光が漏れ出す

 

「あっ!凛くん!まだ準備が――――」


 僕は笑っていた。


 ガチャ――――


 そして一歩を踏み出した。


「ごめんね、凛くん――」

 その声は僕には届かなかった――――



 

 

 


 

 

 

 

 

 


 


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