あらぬ噂が流れてます?
はぁ、まずいことになった。昨日、第二王子様が騎士団を動かしたことで、街の人にまで第二王子に想い人ができた、という噂が広がっている。そのおかげで私は、街に行くことができないじゃないですか。ほかのメイドたちには、私がニコニコねで街を歩いている姿は見せたくないし。だって私、いつも厳しくしてるんですよ?まぁ、優しくもしますが。街に行けないと、ストレス発散ができなーい。私は本当はこんなきっちりとした人じゃないんですよ。仕事だからしっかりしているだけで、本当はほかのメイドたちといっぱい喋りたいのに…
はぁ、まぁ今日も頑張りますか。
「メイド長!こちらを手伝ってもらってもいいですか?」
「わかりました。」
それから2ヶ月半後
最近私、太ったかしら?まぁ、いいか。あれから2ヶ月半も経ったけど、第2王子様は諦めずに探し続けていた。そろそろ諦めてくださいよ。私は、これ以上まわりから色々言われたくないのだ。私がメイド長になった頃、私は多くの高位貴族の女性たちに色々なことを言われた。
「なぜ、あんな子がメイド長に?どうせ第2王子様狙いでしょ?」
「私の方が優れているのに…あんた媚び売ったんでしょ?」
ものを隠されたり、水をかけられたり、部屋を荒らされたりもした。私が王妃になったら、これよりももっと酷いことをされるだろう。もしかしたら、暗殺を目論む人もいるかもしれない。そんなのは嫌だ。ようやく嫌がらせも落ち着いてきたのだ。元よりももっと酷くなるなんて嫌なのだ。
「メイド長〜聞きましたぁ?殿下が女性を探してるんですってぇ〜」
はぁ、また始まった。この人はメイドのローザ・アルテミオン伯爵令嬢だ。ローザさんはメイド長という自分よりも役職が高い私にいつも突っかかってくる。
「そうですか、それがどうかしたんですか?」
「だってメイド長ってシンベルト様狙ってるんですよねぇ〜?」
「何を言っているの?誰から聞いたのか知りませんが、お仕えする方に思いを寄せるわけがないですよ。」
「はぁ?伯爵令嬢の私になんて口の利き方してるの?てか、誤魔化さないでよね?メイドの中ではもっぱらの噂よ?」
「へぇ、そんな噂が。というか、たとえあなたが伯爵令嬢だとしても、私はあなたの上司です。ここでは位など関係ないんですよ。」
「はぁ?うざ、私はあんたが上司とか認めないから。」
そう言って、ローザは去っていった。それよりも私が第2王子様を狙っている?確かに私は騎士団が好きだ。よく騎士団を遠目から見ていた。第2王子様は騎士団の団長もされている。だから、それで誤解が広まったのか?まぁ、いいか。今は仕事をしっかりしましょうか。




