私が王子の想い人?
私はあの日のことは、忘れることにした。私は貴族ではあるが、男爵位だ。そんな私が婚約してくれなんて言えるはずもなく
…はぁ、本当にやらかした。まぁでも、私がおしゃれをすると誰?と言われるほど変わるのだ。だからバレる心配はないだろう。それに、平民だと思われる格好だったのだから、平民だと思っているはずだ!平民なんて探さないだろう。そう思い、メイドたちがいる部屋に入ると…
「メイド長!聞きましたか?第2王子様がある人物を探しているそうです。」
「え?ち、ちなみにどんな人?」
「昨日、王子が外に視察に出た時に会った平民の方だそうです!もしかしてその方が将来の王妃に!?」
まずい、非常にまずい。なんでさがしてるんですか?いっときの気の迷いにしておきましょうよ。まさか、妊娠している可能性があるから殺しておこうとか?これは何としても隠さなければ。そう思っていたが、今日の私の仕事は王子の世話なのだ。それを他人にお願いできるわけがなく…
「失礼します。本日お世話をさせていただきます。メイド長セレン・ミルフォードです。」
綺麗なお辞儀をしながら部屋へ入った。
「おはよう、セレン。今日は先に準備をしてしまったのだ。次の予定まで少し話さないかい?」
「かしこまりました。どんなお話ですか?」
第2王子様は照れくさそうに言った。
「実はな、昨日、運命の人に出会ったのだ。」
グホッ
まさかバレている?
「その者は平民だ。セレン、平民が想い人というのは悪いことだろうか?」
ふぅ、私だとはバレていないようだ。殺すつもりもないようだ。だが、私ということは黙っておかなければならない。なぜなら、第2王子は王になられる方だからだ。第1王子は3年前に病死した。他の王子はいないので、第2王子が跡継ぎとなるのだ。だからもし、私が王子の妻となれば…
そんなのは嫌だ。私は、ただでさえ男爵の癖にメイド長なんて、と言われているのだ。これ以上位が上がれば、酷い暴言をはかれるにきまっている。だが、王子の言葉を否定する訳にはいかない。
「第2王子様、たとえ相手が平民だとしても、王子が結婚したい人と結婚すればいいのです。」
「セレン…ありがとう。騎士団!昨日、私と共にいた彼女を探すのだ。」
あ、まずい。騎士団動かされてしまった。でも、私もきっちりと変装したし、隠れて街へ行ったので大丈夫だろう。




