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時軸昇進

〈レノン忌に亡國総理イマジンせよ 涙次〉



前回參照。



【ⅰ】



「テオくんだうかしたんですか?」-「ちよつとね...(苦笑)」。テオが鰐革Jr.に取り憑かれ、薩田の「聖水」のお蔭で昏睡から醒めた日は、丁度* 岩坂十諺とカンテラとの面談の日と重なつてゐた。岩坂は幽冥界に生きる亡靈だから、彼の勤務地・秩父から東京・中野までも一つ飛びだ。カンテラ「だうですか、そつちは?(云ふ迄もなく、『そつち』とは**『猫nekoふれ愛ハウス』を指す)」-岩坂「特に云ふ事なく、平和にやつてますよ」。こゝで特筆すべきなのは、その機に乘じて、Jr.がテオから岩坂に彼の「乘り物」を替へた事。これが後に災ひを成す。



* 當該シリーズ第142・144話參照。

** 當該シリーズ第153話參照。



【ⅱ】


そして(ところが、か)、岩坂は秩父に帰つて間もなく、カンテラ事務所にSOSを送つて來た。「猫逹が仲違ひして、困つてゐます。だうか援軍を!」。はるばる秩父まで岩坂に「乘つて」やつて來た、鰐革Jr.の差し向けた、猫同士の叛目。「ふれ愛ハウス」飼育するところの、「キッド」と「黑髭」、兩ボス猫、兩者共に♂猫、の派閥に分かれての一大抗爭が起きたらしい。「お客が猫逹の喧嘩の剣幕の激しさに、引いてしまつてゐる」と岩坂。彼らは本心から憎しみ合つてゐるのではなく、Jr.の撒いた「不和の種」に、操られてゐるだけなのだが。



【ⅲ】


鰐革Jr.は、父・鰐革男の見果てぬ夢だつた「大東京制覇」を成し遂げやうとしてゐた。「將を射んとすれば馬を射よ」、の慣用句通り、謂はゞ東京にとり「馬」である秩父(秩父にお住まひの皆様、「馬」扱ひでだうも濟みません!)をまづ陥落させやうとしてゐた譯である。

獸醫・石田玉道に拠れば、猫集團がボス猫を作つてしまふのは、彼らの習性であり、仕方ないとの事。そのヒエラルキー上の事については、テオに訊けば良く分かるだらうが、意識恢復後、テオは谷澤景六としての最新作『或る回心』の執筆に追はれ、それどころではない。



※※※※


〈開戰忌海鮮丼の贅澤を甘受してゐる平和な民よ 平手みき〉



【ⅳ】


そんな時である。君繪が時軸麻之介に提案した。(あなたの* 術・「和合空間」とわたしのテレパシーとで、猫逹を説得して諍ひを已めさせる、競爭をしてみない? なに、ほんのリクリエイションよ)。時軸、カンテラの「お嬢さん」からの誘ひなので、断れない。「和合空間」-亡き母譲りのこの術が、猫に効くかと不安だつたのだが...



* 當該シリーズ第155話參照。



【ⅴ】


結果として君繪は、(鰐革Jr.の呪ひが掛かつてゐるのだから當然だが)見事挫折、時軸オフを取り、池袋經由でローカル線(秩父鉄道)に乘り替へ、驛からてくてく山道を歩いて、「ふれ愛ハウス」に到着した。こゝで「和合空間」は功を奏する事になる。猫逹は術の効果で、果てしないと見えた不毛な爭ひを已めた。飽くまで形の上で、だが、「キッド」と「黑髭」、彼らの鉾先を収めた。



【ⅵ】


鰐革Jr.は、こんな凄い術を持つてゐる者が下つ端に甘んじてゐるカンテラ一味を、自分は見くびつてゐたと思ひ、(方策を練り直しだ!)と消えた。そんな動きが水面下であつたのも露知らず、岩坂「時軸くんは『ふれ愛ハウス』にとつて必要不可欠な人材。是非彼が慾しい」と、カンテラに直訴した。



【ⅶ】


で、時軸に辞令が下りた。「時軸麻之介、右の者、秩父『猫nekoふれ愛ハウス』スーパーヴァイザーに任命す。直ちに杉並『開發センター』より、秩父に勤務先を變へるやうに」。名刺も刷つて貰ひ、偉くなつた氣分の時軸。だが、「和合空間」、展開しつ放しと云ふのは非常に草臥れる。へとへとになりながらも、每日を何とか過ごした。因みに「開發センター」の庭掃除は*〈翁〉に任せられる事となつた。



* 當該シリーズ第101話參照。



【ⅷ】


それを知つた牧野、「麻も頑張つてゐる。俺も昇進出來るやう、精進しなくちや」。嘗ての* 資格取得熱が再燃した。尾崎一蝶齋、「何か普通の會社みたいで嫌だな。俺辞めちやはうかな」-全く、これだから一味、あぶれ者の集團だと云はれるのである・苦笑。



* 當該シリーズ第36話參照。



【ⅸ】


* ルシフェルに次ぎ、「ふれ愛ハウス」鰐革Jr.の運営妨害は阻止された。だがこゝに至つても、Jr.は「謎の【魔】」の儘である。彼の正體が曝露されるのは、一體いつの日なのか。それを知る為には、作者が物語を進行させるしかない。私・永田の双肩に掛かつてゐるつて譯。作者も頑張らねばね・笑。それぢやまた。アデュー!!



* 當該シリーズ第182話參照。



※※※※


〈小春を得冬の光りの止めどなし 涙次〉


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