第四節 遅れて参戦した三人組
桃雄、雛太郎、百合男の三人組は同じ大学で同じ学科に通い、普段からツルんでいた。
セキュリティソフトウェアに阻まれ、ケオエコへの参戦が遅れた彼らはケオエコWikiをじっくり読んでいた。
自分でセキュリティソフトウェアの例外に追加できなかった彼らは、セキュリティソフトウェアの杜撰な対応により、遂にケオエコを始めることができた。
新規ログインの場合、基本的に『公式売買所』の近くにアバターが誕生する。
Wikiで知っていた事とはいえ、街中にさえモンスターが侵入することがあるという事実を目撃し「気が休まる時がないな」と実感した。
桃雄「なあなあ、早速モンスター狩りに行こうぜ!」
雛太郎「よし!アドバイザーとしても賛成だ!」
百合男「おいおい、まずは食糧調達だろ…」
雛太郎「いや、食糧調達のための資金稼ぎが必要だろ!」
桃雄「食糧って言ってもな、Wikiにも書いてあっただろ、炊き出しイベントなんてないぞ」
百合男「それもそうか…しかし、ゲーム内でまで食糧がリアルに必要とか、どうなってんだこの世界」
雛太郎「Wikiによれば、戦闘職ギルドなんてものもないしな…」
早速、森にモンスター狩りに行くのだが…
桃雄「うわっ、素早い!」
百合男「そりゃネズミだからね」
桃雄「こうなったら、俺もネズミのごとく!」
百合男「仕方ねぇ、俺もネズミのごとく!!」
雛太郎「お嬢様の我儘にでも付きあうつもりか?ってか、こいつどうやって倒すんだよ!あ、逃げた!」
百合男「やっぱ真似事執事じゃネズミ退治は難しいか」
桃雄「仕方ねぇ、ネズミより倒しやすいモンスター探そうぜ!」
雛太郎「おい、あそこに鹿っぽいモンスターが!」
百合男「鹿っぽいモンスター…待て!草食動物ベースなら素早いし警戒心が強い!」
桃雄「いくぜ、おりゃー!」
雛太郎「チャットで叫ぶな!あ、逃げた…」
桃雄「おい、あのモンスター、なんか馬鹿にしたような目で見ているぞ」
雛太郎「どこがだ?アドバイザーの曇りなき眼にはそうは見えなかったが」
百合男「なんか、モンスター一匹倒すのも結構無理ゲーじゃないかコレ」
桃雄「今のところ、剣を振り回すしかできないしなぁ…」
雛太郎「そうだ、魔法を覚えれば良いんじゃないか?」
百合男「ケオエコの魔法って、ガチのスクリプトだろ?お前書けるのかよ」
桃雄「いや、俺は一切書けない!」
雛太郎「ブラインドタッチすらできない!」
百合男「威張るなよ…お前らは、スクリプト以前にパソコンの使い方だな、俺もだが」
雛太郎「いや、ちょっと待て!スクリプトは売買可能なんだよな?一旦借金してでも買った方が良いだろ、こんな状況じゃ」
桃雄「借金って言ってもな、暗号通貨に交換できる世界で、そうそう金を貸してくれる奴なんているか?」
百合男「ゲーム内通貨では一二円相当も持ってないしな」
雛太郎「まあ、ものは試しだ!行ってみよう!」
そうして、街に戻ると、看板にデカデカと「ゴドルの貸金、良心的です!」という胡散臭い言葉が書かれている。
桃雄「よし、良心的だというし行ってみようぜ!」
雛太郎「よし!アドバイザーとしても賛成だ!」
百合男「自称良心的を信じる馬鹿がいるかよ…こんなのが友人で本当にいいのか俺…」
貸金屋「へいらっしゃい、今日はどのようなご用件で?まぁ、うちの貸し金は良心的だって評判だよ…お金が必要なとき、君たちが困った時は…いろいろ、ね?」
貸金屋はモニタの向こうで怪しい笑みを浮かべる、しかしゲーム内のアバターなので表には出ない。
百合男「俺たち全員戦闘職なんですが、剣を振り回してもモンスターが狩れず、まずは魔法を手に入れようと」
貸金屋「へぇ…ネズミや鹿なら、簡単に討伐できるはずなんですけどねぇ」
桃雄「あれが簡単とかマジかよ!」
雛太郎「そのネズミや鹿を狩るために…魔法を手に入れようと、アドバイザーとしても必要だと思いまして」
貸金屋「やめとけやめとけ、魔法を使わなきゃ奴らを倒せないようじゃ先が無いぞ」
百合男「っていうか、貸金業って商人ですよね?なんで戦闘職のことをご存知で?」
貸金屋「いや、商人も生産職も戦闘職から買ったり売ったりするからな、自然と戦闘職の情報は入ってくるぞ」
桃雄「え、もしかして、俺たちって超雑魚…?」
雛太郎「もしかしなくっても雑魚だろ俺たち」
桃雄「雑魚には雑魚なりの生存戦略があるんだよ!」
百合男「なるほど、でお金は貸して貰えるんですか?」
貸金屋「どうしたもんかねぇ…っていうか、どういう魔法を求めてるんだね?こっちも君たち相手に大金は貸せないぞ」
桃雄「とりあえず、鹿とネズミを楽勝で倒せる魔法!」
雛太郎「可能なら、もうちょっと上にも通用する魔法ですね、アドバイザー視点としては」
貸金屋「うーん…こっちも正直あんまりリスクを負いたくない。魔法を買うとしたらサンローさんか、その系列がお薦めだぞ。魔法はサンローさん得意だし、素材剥ぎ取りは姫子さんだな。あの二人、ケオエコ内じゃみんな知ってるから」
百合男「…え、あのサンローさんに、姫子さん?」
桃雄「凄い大物の名前が出てきたけど、戦闘で使える魔法に素材剥ぎ取り魔法の二つが必要なのか、おっちゃん!それ幾らくらい?」
貸金屋「さすがに、魔法に関して詳しい話はできん。だから、まずはサンローさんに相談してみるといい。姫子さんの素材剥ぎ取り魔法は定価が提示されているから、それ位なら貸すんだけどな…」
桃雄「わかりました、早速サンローさんに相談してみます!」
そうして桃雄達はサンローを探し歩いた。あちこちの商人や生産職のところに顔を出しているという話だ。
やっと探し出したサンローは、全身にあらゆるプログラミング言語が反映された、あまりに奇怪なアバターで有名なので、一度発見すれば見失うこともない。
雛太郎「なあサンローさんってあの人だろ?ちょっとヤバくないか?アドバイザーとしての勘が警告をしてくる」
百合男「でも、サンローさんの実力は折り紙付きだぞ、外見で人を判断するのは良くない」
桃雄「そうだな!おーいサンローさーん!」
百合男「ちょ、おい、いきなり呼びかけるとか無礼だろう!」
「やあ、見た所新規プレイヤーのようだね?私に用のようだが、どのような内容かな?」
桃雄「えっと、先ほどモンスター討伐に行ったんですよ、だけどネズミも鹿も討伐できず、それで魔法が欲しくて」
百合男「ネズミや鹿を相手にできる、魔法があればいいなと思ったんですが相場がわからず」
雛太郎「正直、俺たち一文無しなんです!だから、貸金屋の紹介を受けて…」
「ふむ、なるほどな。その貸金屋ってのは『ゴドルの貸金』じゃなかったかね?」
桃雄「そうです!良心的って書いてあったので」
雛太郎「そこでサンローさんに相談した方がいいって話になって」
百合男「ご迷惑かとは思いましたが、背に腹は代えられず…」
「やっぱり『ゴドルの貸金』か、あそこはね…利子がえげつないんだよ。君たち初心者に高額な利子を吹っかけてくる悪徳商人だ」
桃雄「え?そうなんですか?」
百合男「危ない所でした…でもゴドルさん?はサンローさんの事を知ってるように見受けられましたが」
雛太郎「まるで姫子さんの事も知り合いかのように」
「それが彼の手法なんだよ、自分にとって美味しくないと思った客はそうやって私たちの所に勝手に斡旋してくる」
百合男「それは…本当にご迷惑をおかけしました。ご忠告ありがとうございました」
「いや、何を去ろうとしているのだ?目的はネズミや鹿を倒せる魔法だろう?」
桃雄「確かにそうなんですけど、悪徳金融業者からの借金をしなければ買えないです」
百合男「そうです、これ以上サンローさんのお手を煩わせるわけにはいきませんから…」
雛太郎「いつか、稼ぎを得たら、必ずサンローさんの魔法を買いに来ます!」
「そう結論を急かなくていい。私はLISP専門なので、私のスクリプトは他での保守が難しいのだ、それでもよければ譲渡するよ」
百合男「そんな、無償でお世話になるなんて、申し訳ないですが…」
「なに、ただの善意という話ではない。スクリプトを実際に使って、そのフィードバックを対価にしてくれればいいのだよ。稼いだ金は姫子君が作っている『モンスター素材剥ぎ取りスクリプト』に回せば良い」
桃雄「それ位なら幾らでも!というか、稼いだらきちんとお金は支払います!」
雛太郎「その前に、その魔法の安全性は大丈夫なんですか?」
「気持ちだけありがたく受け取っておくよ、どうも私自身のLISPスクリプトは売れ行きが良くなくてね。おかげであちこちの商人や生産職を回り歩いて小銭稼ぎしている始末さ。私が今何より欲しいのはフィードバックなのだよ」
百合男「では、ありがたくその条件で頂きます」
桃雄「おい!流石にそれは…」
雛太郎「さすがにサンローさんに失礼すぎないか?」
百合男「こういうのは、相手の求める事に忠実な方が案外良い方向に転がるものさ」
「では、十五分ほど待っていてくれ。君たちは全員レベル一だろう?それに合わせ、今からスクリプトを書いてくる!」
雛太郎「十五分で魔法を仕上げるっていうんですか!」
桃雄「なんか、今さらながら怖くなってきた」
「なに、TrueForceキーボード使いとしては、これでも余裕を持った時間なのだよ。キーボードは良い物を使った方が断然効率がいい、最低限ゲーミングキーボードくらいは揃えた方がいいだろうね、ケオエコだってゲームなんだし」
百合男「え、なにサラッと私たちの会話に参加してるんですか、サンローさん!」
雛太郎「っていうかTrueForceっていうと数万円する超高級キーボード、さすがだ…アドバイザーとしても憧れる」
桃雄「俺もいつか持ちたいけどな」
百合男「お前達には豚に真珠だ、まずはブラインドタッチを習得してからだな…他人のことは言えないが」
そうこう話ながら十分でサンローは、魔法という名のスクリプトを仕上げてきた。
「ひとまずこれで、ネズミや鹿は狩れるだろう、何か問題があったらいつでも報告にきてくれ。あと、『素材剥ぎ取りスクリプト』も渡しておこう、姫子君にはこちらで話を通しておく。こちらは流石に無償とは行かないが、戦闘職の必須スクリプトなので、持っていれば姫子君への返済はむしろ早まるだろう」
桃雄「そこまでして貰って、本当にいいんですか?」
「ああ、姫子君は多忙だからね。代金もひとまず私が立て替える形にしておこう」
百合男「本当に、何からなにまで、ありがとうございます!」
桃雄「よし、それじゃ早速狩りに行こうぜ!」
雛太郎「よし!アドバイザーとしても賛成だ!」
百合男「またお前らは…せめて感謝の言葉くらい述べてからにしろってーの、それでもアドバイザーかよ」
そうして、桃雄達は早速モンスター狩りに来たが…
桃雄「うお、なんだ魔法でのこの動き!我ながら気持ち悪い!」
雛太郎「うはははは、なんだその動き!って俺も同じ動きしてるじゃないか!」
百合男「まあ、これでネズミが狩れることは分かったな」
桃雄「じゃあ、次は鹿狩りに行こうぜ!」
百合男「その前に、素材を剥ぎ取らないとな」
雛太郎「しかしサンローさんのスクリプトすげーな、無傷で逃がさず討伐かよ…ってかこの素材剥ぎ取りスクリプトも凄ぇ!なに、この俺の手の動き!」
桃雄「うはははは!なんだその手だけ化物じみた動きは!」
百合男「言っておくが、戦闘時は二人とも全身そんな動きだったからな?あ、あそこに、鹿モンスターがいるぞ」
雛太郎「よっしゃ、行くかぁ!アドバイザーの勘がここは行くべしと言っている!」
雛太郎「うっほ凄ぇ、鹿の動きもスローモーションに見えるぜ!」
百合男「ああ、人外じみた速度で動いてるな雛太郎は…桃雄もだが」
桃雄「ヒャッハー!これなら鹿も楽勝だぜい!」
ちなみに、サンローのスクリプトの人気の無さはLISPなどではなく、全身の気持ち悪い動きに起因していた。
こうして、桃雄達は無事レベル三まで上がった。ネズミモンスターと鹿モンスターの素材も結構貯まった。
百合男「なあ、そろそろ街に戻らないか?素材を売って、まずは食糧調達、そしてサンローさんへの報告を」
桃雄「そうだな!街に戻ろうか!」
雛太郎「よし!アドバイザーとしても賛成だ!」
百合男「別にそこにアドバイザーの立場は必要無いだろ…」
街に戻り、生産職にモンスター素材を売ると意外と大金が手に入った。
桃雄「とりあえず、この金は山分けでいいよな!」
百合男「いやちょっと待て、戦ったのは主に二人だろう?2:2:1程度の割合でいいぞ」
雛太郎「水くさいこと言うなよ、こういうのはしっかり等分した方がトラブルにならないんだって、アドバイザーの言うことは聞いとけ!」
百合男「わかった、ありがたく受け取っておくが、次回からは俺もしっかり戦うわ」
桃雄「そうそう、それで良いんだよ。で、食糧って幾らくらいかなぁ…」
モンスター素材を売った生産職に、食糧を売っている商人を紹介して貰い、その店に向かう。
雛太郎「うっわ、食糧って言っても見た目はエグいな」
百合男「まあ、とりあえず効率良く腹を膨れさせられればいいんだろ。すみませーん、これ幾らですか?
商人「通貨によって若干レートは変わるが、うちは細かい計算をせず全ての通貨を同価値と見なしている。食糧なら五十コインで五日分だな」
桃雄「うっほ、今日の稼ぎの半分以下!すっげー良心的だなおっちゃん!」
商人「お兄さんと呼んでくれ、それとも百コインで買いたいのか?うん?」
桃雄「すみません、お兄さんでしたか!五日分お願いします!」
百合男「本当にこいつは失礼で、申し訳ありません」
商人「構わないさ、このアバターはよく老け顔だって言われるんだ!なんでだろうな十四歳なのに?俺の写真をAI生成モデルでアバター生成したのにな!ははは!」
そうして少し気まずい空気のの中、ひとまず五日分の食糧を調達してから、改めてサンローを探す。
百合男「あ、サンローさん!無事、魔法は発動しました。見てください今日の稼ぎ、これで五日分の食糧買った残りなんですよ!」
「ほう、流石に『魔力枯渇』は起こさない自信があったが、レベル一でこれだけ狩れるなら十分に成功だな。稼ぎも悪くない」
それに、三人は目を輝かせながら熱く語る。
桃雄「成功どろこじゃないですよ!もう敵の動きがスローモーションに見えて」
雛太郎「自分のアバターとは思えないほどの動きで、魔法の威力がこれ程とは思いませんでした!」
百合男「今回はフィードバックの為に観察に回りましたが、本当に彼らは楽勝で仕留めていましたよ」
桃雄「お前、そのために戦闘に参加しなかったのかよ!」
雛太郎「アドバイザーとして、君の戦力には期待しているぜ!」
しかし、全身ソースコードの如き、奇怪なアバターのサンローは冴えない返事をしてきた。
「スローモーションのように見える…か、それなら意図通りの動きをしているな。調整も不要のようだ、フィードバックありがとう。
いや、私もスクリプト性能にはある程度の自信を持っているのだが、いかんせんLISPなのが悪いのか、とにかく売れないんだ…正直そんじょそこらのスクリプトには負けてないと思っているのだが、君たちのおかげで自信を取り戻せたよ」
この言葉に驚く三人。
その奇怪なアバターに慣れた三人は、サンローの表情に注目している。
百合男「ってことは…もしかして、その辺の商人の売ってる魔法より品質が高かったのでは?」
桃雄「考えてみれば、あの魔法はとんでもないバフが掛かってる感じだったな」
雛太郎「っていうか、サンローさんの戦闘魔法も凄かったけど、姫子さんの『素材剥ぎ取り魔法』も凄まじかったな、サンローさんの魔法に遜色ないレベルで」
百合男「ああ、そうだサンローさん…今はまだ全額支払えませんが、一部だけでも『素材剥ぎ取り魔法』の代金を受け取ってください」
雛太郎「しまった、アドバイザーとして不覚を取った!」
桃雄「もう、真のアドバイザーは百合男に任せちまえ」
雛太郎「何を馬鹿な!アドバイザーは俺のアイデンティティ!」
百合男「いや、俺もアドバイザーとか断固ゴメンだぞ…雛太郎、君が真のアドバイザーだ」
ソースコード塗れの顔を歪ませて、そのソースコードが滲んだような顔をして…おそらく笑いながらサンローは言う。
「なに、急ぐことはないさ。姫子君の『素材剥ぎ取りスクリプト』は薄利多売を売りにしている。正直な話『改変可/再配布可』ライセンスだから、本来私から再配付をしてもいいんだよ。だけど、このスクリプトが動き続けるとは限らない。長期的に見れば買った方が保守費用込みで絶対に安い、それに…まだまだ君たちにはフィードバックをして貰いたいからね」
三人は顔を見合わせる。
雛太郎「それって…もしかして、今後も魔法の更新をお願いできるということですか?」
桃雄「確かに、それだったら焦って返す必要もないな!全額一括返済だ!」
百合男「しかし、それでは…正直こちらばかり美味しい思いをすることになるのでは」
サンローは、さらに顔を歪ませ語る。恐らく笑っているのだろう。
「そろそろネズミと鹿討伐にも飽きてきたんじゃないかな?新しいスクリプト、使ってみたくはないかね?既に完成させているのだが、君たちが使わないとなると、まずお蔵入りするのだが」
三人とも目を輝かせて、首をブンブンと縦に振る。
「そうか、よかった。ちなみに『素材剥ぎ取りスクリプト』の代金はゲーム内通貨の相場でこれ位だ、せめてこれ位は頑張って稼ぎたまえ」
そう言ってサンローは指を三本立てた。その指の動きが重々しく感じられたのは、三人が『素材剥ぎ取り魔法』の価値、そして対価を強く意識したからだろうか。
三人は、およそ三万円相当の三千コイン返済をと、ズブズブとサンローへのフィードバック要員という名の、実験台の泥沼にはまっていくのであった。
百合男「……今のサンローさん、ちょっとだけ、嬉しそうに見えた気がする」
桃雄「え?どこが?」
雛太郎「アドバイザーの勘にもヒットした。あれは……誇りを取り戻した漢の顔だ」
彼らの冒険は、こうして始まった。