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第六節 三人組を想う

 総理大臣の任期を終えた『ああああ』は、もう衆議院に出馬することもなかった。


ああああ「もう民主主義国家として大丈夫だろう!あとは任せた!」


 それに追随するようにサンローは裁判長、姫子は議長の座を退いた。


姫子「はーっ、参議院議長も結構大変だったわ、ストップウォッチ片手に発言を遮ったり」

サンロー「結局私は、裁判長としての裁判を、ほとんど行わなかったがな……まあいい、LISPが私を待っている!」


 『エコ・リバース~でこぼこたいら』の面々は、ギルドに戻っている。

 『ああああ』は、少し寂しそうに言う。


ああああ「しかし、あの三人組はケオエコを引退したのかな……あれだけの活躍をしたのだから、報奨金だって考えていたのに」

姫子「雛太郎は行方不明、桃雄と百合男は牢屋の中から消失したまま……いつでも出られるように、牢屋の鍵は開けっぱなしだけど。あれじゃ全財産が餓死で溶けるわよ?」

サンロー「これだけログインがないんだ、全財産を換金したと見ていいだろう。そして今の紛争状態のケオエコ、無理に戻ってこいと言える状況でもなかろう」

姫子「そうね、少なくともケオエコWikiで最低限の情報はネットに載ってる訳だし」

ああああ「もったいないな、あれほどの戦闘職が引退とか……」

姫子「『ああああ』から見て、そんなに凄かったの?」

ああああ「率直に言って、三人組に俺が挑んだら普通に負ける……姫子さんも見ただろ?あのヤマタノオロチの死体を」

姫子「あれは凄かったわ……建国がなければ、素材剥ぎ取りスクリプトの保守を続けていただろうけど。『ああああ』も放っておけなかったし……ままならないわね」


 姫子は、懐かしんで言う。


姫子「元々は三人組って、鹿もネズミも狩れないポンコツだったわよね!」

サンロー「そうだったな、私の所にスクリプトを求めに来たのが始まりだった」

姫子「聞いたけど、あの時サンローは私に話を通しておくとか言ったらしいわね?私、サンローから聞いてる『モンスター素材剥ぎ取りスクリプト』話がほとんどないんだけど!」

サンロー「お金を受け取った分はきちんと報告して、渡しているぞ」

姫子「確かに、サンロー経由で手に入れて、文句を言ってきた人はいなかったわね……だけど、それはそれ、これはこれ」

サンロー「いつ話を通すかなど、どちらとも約束してないではないか……それに、過ぎたことをネチネチと」

ああああ「まあまあ姫子さん、サンローさん。そういえば、あの時に姫子さんが三人組を紹介してくれたんだったな」

姫子「そうそう、関数封じの悪夢の時ね……その頃の彼らはどうだった?」


 『ああああ』は苦笑しながら答える。


ああああ「酷いもんだったよ、忍び足すら身につけてなくてな。そりゃ鹿もネズミも狩れないだろうと……あれも思えばサンローさんがスクリプト渡したからかもしれない」

サンロー「私は戦闘職の事情は詳しく知らない。求められたスクリプトを渡すのはプロとして当然だろう?」

姫子「彼らは、対価を支払っていないわよ?検証が対価になっていると言っていたわ」

サンロー「プロとして、自分のスクリプトが通用するかの現場検証は必要ではないか!」


 集中砲火を喰らうサンローであった。


ああああ「しかし、彼らの外国人街でのモンスター丸呑みは酷い有様だったな……」

姫子「なになに?どんな話よ!」

ああああ「よりによって素材剥ぎ取りスクリプトを回さずに、モンスターをそのまま口に運んでた。正直あれで、モンスターの肉を食べられるなんて、俺も知らなかったよ……」

姫子「うわぁ、ネズミの死体を直接口に運ぶ……想像するだけでもグロいわね」

ああああ「しかも、その姿を三人組が同時に、外国人街全員の前で披露したらしい」

サンロー「なんだそれは、私もそんな面白いシーンは見てみたかったものだ……」

ああああ「そんな彼らが、武者修行と外国視察して帰ってきた時は、本当に見違えた……もう一流プレイヤーだった」


 三人はため息をつきながら、今後のケオエコについて語る。


サンロー「私は思うのだが、そんな一流プレイヤーが、ケオエコに見切りをつけるというのは……相当マズいのではないか?」

姫子「そうね、ちょっとケオエコの収益構造が謎すぎるわ。モンスター建国で大量にばら撒かれた法定通貨、ちょっと尋常ではないわよ」

ああああ「ただ、今やモンスター国家の襲撃より、他国民殺害による収益の方が高いという話もあるよな」

サンロー「公式両替商がいるから、暗号通貨から法定通貨に替えることまで……できてしまう」

姫子「その法定通貨、一体どこから出てきてるのよ……」

ワンロー「そろそろ、私たちもケオエコから資産を引き上げた方がいいかもしれないな……」


 時代の節目を感じながら、なんとなく沈黙してしまった三人であった。


これにて第七章完結です!

次は最終章、第八章に入ります、ここまで楽しんでいただけたなら、引き続きご愛顧をお願いします!

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