第二節 デモケオの軍国主義化
モンスター国家の襲撃を受けて、姫子は緊急事態宣言を発令した。
『ああああ』も、こんなに早く緊急事態宣言の発令が行われるとは想像もしていなかった。
「このモンスター建国と襲撃は、国防意識の欠如によるものである!」
「この一連の騒動、そもそも予防策がなされていなかったことは明らかです!現政権の怠慢に他なりません!」
「国民の安全を蔑ろにした責任を、どうして誰も取ろうとしないのか。これを踏まえ、内閣不信任案を提出する!」
「我々の党も、内閣不信任案を支持する!」
「我々野党一同、これ以上の危機を招かぬため、解散・総選挙を強く求めます!」
姫子は、本来望んでいなかった地位とはいえ、あまりの責め言葉に、モニタの向こうで悔し涙を堪えられなかった。
しかし姫子は軍事的知識が皆無だ。反論も一切せずに内閣不信任案を受け入れ、第三次衆議院選挙が急遽行われた。
第一次、第二次姫子政権がおよそ累計三ヶ月なので、またもや衆参同時選挙となる。
衆議院選挙では相変わらず『ああああ』が勝手に出馬させたが、今までの支持が嘘のように姫子の得票率は低かった。
また、同時に『ああああ』も参議院議長の任期を終え、自由の身となった。
『ああああ』は姫子にねぎらいの言葉をかける。
「勝手に押しつけておいて、こんな結末になってすまない…」
その時、唐突にサンローがケオエコ内で倒れた。
目が覚めても、大して時間は経っていない。
サンローは悔しそうに言う。
「『ああああ』よ、デモケオ政府の者は死してもその地位を失わない、とでも記すべきだったな…裁判長の地位を失ったよ」
「と、いうことは…」
「今、資産を確認してみたが、見事に半分になっていた。暗殺されたんだよ!そして、おそらくたった今…裁判長の地位を失ったのは、まさにAIの判定によるものだろうな」
「そっか…もはやデモケオは俺たちの手を離れたんだな」
「それだけならいいわね、第三次衆議院議員はバリバリの軍国主義派ばかりよ、次期総理と目される奴もミリタリーマニアという始末」
またも姫子は無駄に、ミリタリー姿になって銃やバズーカ砲を撃ちまくる。ただのファッションなので無害だ。
「ああ、衆議院も参議院も裁判長も、今後選挙が行われるが、どちらも軍国主義者が立つだろうな」
「手を離れたどころか、乗っ取られたようなものだな…」
「そうね、否定はできない。私たちにできるのは、今やただデモケオの行く末を見守るだけ…」
「まあ、気を落とすな。私も資産の半分を失ったとはいえ『ああああ』を養うくらいの金は軽く持っているさ」
「私なんて死んですらいないから、今じゃ一番の金持ちよ!ドンと私に任せなさい!」
「「いくら中身がおっさんでも、ヒモ生活は嫌だ!」」
「まあ、私は愛するLISPとの隠遁生活に入ることにするかな…やっとケオエコで、思う存分にLISPの腕が振るえるんだ」
「私はどうしようかしら…『モンスター素材剥ぎ取りスクリプト』の新規作成に手をつけようかな。今度は、思いっきり綺麗なコードで、モジュール化も進めて!ね『ああああ』も私と同棲して、モンスター狩ってきてよ!」
「ありがとう、だけどもう少しだけ考えさせてくれ…」
『エコ・リバース~でこぼこたいら』に戻った三人は努めて空元気を出しながら、励まし合う。
大金を払って、弁護士複数人雇ってまで憲法や法律の制定、そして建国した『ああああ』を元気づけることを心がけながら。
ちなみに『内閣情報調査室』も解散再編成され、三人組も地位を失って無職になった。
桃雄「俺たち、ケオエコでは全てを失ったな…」
雛太郎「まあ、リアル換算で億あるから良くない?」
百合男「それでも俺たち、ケオエコでは無職なんだぞ!」
雛太郎「しかし、エコ・リバースの皆さん…大丈夫かな、サンローさん暗殺の報が流れてきたけど」
桃雄「なあ…俺考えたんだけど、こんな案があるんだ…聞いてくれるか」
そうして、桃雄の訴えに耳を貸した後。
百合男「面白いな、最後に派手に一発カマすには面白そうだ!」
雛太郎「アドバイザーとしても、反対する理由はないな…」
本日は魔力循環調整の都合により、次回の更新は変動の可能性がございます。
皆様におかれましても、魔力枯渇にはくれぐれもご注意を…




