第一節 デモケオ建国祭
いよいよ『エコ・リバース~でこぼこたいら』の面々の憲法は定まり、法律制定も最終局面にたどり着いた。
国会議事堂の設計図を商業ギルドに依頼したことで、いよいよ建国の噂が事実だったことが広まる。
『ケオエコエデン』と『商業都市リオンデックス』『自由課金国家プライドタックス』の失敗を受けて、『エコ・リバース~でこぼこたいら』建国の期待は、否応にも高まっていた。
その期待に応える形で『エコ・リバース~でこぼこたいら』も、建国予定の国名を発表した。
その名は『デモクラティック・オブ・ケオエコ』通称として『デモケオ』や『DC』が、建国前から定着した。
あれほど『ケオエコエデン』や『商業都市リオンデックス』『自由課金国家プライドタックス』に期待していながら、手のひらを返すのが早いとか思ってはいけない。
特にコアプレイヤー達は、安心できる環境を切望してるのだ。
こうして憲法と法律制定が終了したデモケオの建国式は、エコ・リバース派の協力も得て、大々的なものとなった。
最近出来上がったばかりである『国会議事堂』の前で『エコ・リバース~でこぼこたいら』の三人が演説を始める。
ああああ「我々は、ケオエコプレイヤーの、ケオエコプレイヤーによる、ケオエコプレイヤーのための政治を宣誓します!」
サンロー「ははは『ああああ』よ、何でリンカーンをパクっているのだ」
姫子「ホント、気取っちゃって……」
ああああ「『デモクラティック・オブ・ケオエコ』は……既に『デモケオ』という通称が広がっているようなので、今後このように呼称しますね」
サンロー「私は、別に『DC』でも構わんけどな」
姫子「私たちは今後、正式略称として『デモケオ』を採用します。もちろん皆さんは『DC』を利用して頂いても構いません」
ああああ「デモケオの憲法及び法律は、もしかしたら某社の法務部には及ばないかもしれません!」
姫子「正直、こればかりは仕方ないのよ……」
観衆の皆の間に、少し騒めきが走る。
サンロー「どうか皆の者よ、我々はそれでも全力を尽くして、憲法と法律の制定を行った、それだけは信じてほしい」
ああああ「そう!僕は個人的に複数の弁護士を雇い、この法の抜け穴がないかの、十分な検証を行いました」
サンロー「ちょっと待て『ああああ』よ、貴様いつの間にそんなことを……」
姫子「そうよ、そういう事するなら、少なくとも費用は折半するところでしょ!」
ああああ「いや、いいんだ、俺の自己満足だし……個人資産なら、まだ十分ある。ただ、ケオエコで食うに困ったら食糧を貸してくれ」
サンロー「馬鹿を言うな!私は君だけの我儘だなどと、一切思っていない!掛かった費用はきちんと負担する!」
姫子「そうよ!なんであんただけ……そんな負担を、一人で背負おうとしてるのよ!」
建国式で唐突に明らかにされたこの事実に、多くのケオエコプレイヤーは強く心を動かされた。
観衆A「俺はデモケオを支持する!そして、その負担に……少しでも力を貸したい!」
観衆B「マジで感動したわ……ケオエコにも、こんな凄いプレイヤーがいたんだな」
観衆C「俺は余裕があんまり無いけど……デモケオに入国して、きちんと税金払うわ」
しかし『ああああ』の気持ちは揺らがなかった。
ああああ「まずは、僕が求めるのはケオエコプレイヤーの安全だ!だから、住民税は徴収せざるを得ないが、どうか入国して欲しい!」
サンロー「いや貴様、そうやって一人で背負おうとするのは悪い癖だぞ……せめて私を頼ってくれ、そんなに私は不甲斐ないか?」
姫子「あ、サンロー、『ああああ』に資産入金しましょ」
姫子もサンローも資産入金を使うが『ああああ』は入金拒否をする。
ああああ「僕達の国は名前の通り、民主主義国家だ!議会は二院制!日本の体制に近づけながら、ケオエコの実態を踏まえた法体系になっていると思う!」
サンロー「おい『ああああ』よ、話を聞きたまえ!」
姫子「ちょっと、なんで入金拒否してるのよ!」
ああああ「確かに建国したのは我々『エコ・リバース~でこぼこたいら』だ、だけれどその国を運営するのは、国民の皆さんだ!ぜひデモケオに入国し、ともにこの国の未来を築いてほしい!」
この突発的トラブルを見て、建国式の指揮を執っていたエコ・リバース派の面々は、咄嗟の判断で建国式を終わらせた。
エコ・リバース派の面々に『国会議事堂』に追いやられてからも、言い合いは止まらない。
サンロー「『ああああ』よ、私は食糧を貸すなんてこと、一切しないぞ!」
姫子「癪だけど、今度ばかりはサンローの言い分に賛成だわ」
ああああ「すまん、さすがに甘えが過ぎたな、はは……」
しかしサンローも姫子も、別に怒ってはいない。
サンロー「私は食糧を貸すなど一切しない、とそう言ったのだ。それ位は黙って受け取れ」
姫子「そうね、建国者が餓死とか洒落にならないし、私たちの沽券に関わるわね。絶対受け取って貰うわよ」
ああああ「ありがとう……本当に感謝する」
サンロー「全く、水くさいな……私たちの仲じゃないか」
姫子「ホントそうよ、本来ならきちんと費用払いたいのに……」




