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電脳麻薬カンパニー狂騒曲 ~快適に転がり落ちるディストピア~  作者: もりゃき.xyz
第六章 デモクラティック・オブ・ケオエコ
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第一節 デモケオ建国祭

 いよいよ『エコ・リバース~でこぼこたいら』の面々の憲法は定まり、法律制定も最終局面にたどり着いた。

 国会議事堂の設計図を商業ギルドに依頼したことで、いよいよ建国の噂が事実だったことが広まる。


 『ケオエコエデン』と『商業都市リオンデックス』『自由課金国家プライドタックス』の失敗を受けて、『エコ・リバース~でこぼこたいら』建国の期待は、否応にも高まっていた。

 その期待に応える形で『エコ・リバース~でこぼこたいら』も、建国予定の国名を発表した。

 その名は『デモクラティック・オブ・ケオエコ』通称として『デモケオ』や『DC』が、建国前から定着した。


 あれほど『ケオエコエデン』や『商業都市リオンデックス』『自由課金国家プライドタックス』に期待していながら、手のひらを返すのが早いとか思ってはいけない。

 特にコアプレイヤー達は、安心できる環境を切望してるのだ。


 こうして憲法と法律制定が終了したデモケオの建国式は、エコ・リバース派の協力も得て、大々的なものとなった。

 最近出来上がったばかりである『国会議事堂』の前で『エコ・リバース~でこぼこたいら』の三人が演説を始める。


ああああ「我々は、ケオエコプレイヤーの、ケオエコプレイヤーによる、ケオエコプレイヤーのための政治を宣誓します!」

サンロー「ははは『ああああ』よ、何でリンカーンをパクっているのだ」

姫子「ホント、気取っちゃって……」

ああああ「『デモクラティック・オブ・ケオエコ』は……既に『デモケオ』という通称が広がっているようなので、今後このように呼称しますね」

サンロー「私は、別に『DC』でも構わんけどな」

姫子「私たちは今後、正式略称として『デモケオ』を採用します。もちろん皆さんは『DC』を利用して頂いても構いません」

ああああ「デモケオの憲法及び法律は、もしかしたら某社の法務部には及ばないかもしれません!」

姫子「正直、こればかりは仕方ないのよ……」


 観衆の皆の間に、少し騒めきが走る。


サンロー「どうか皆の者よ、我々はそれでも全力を尽くして、憲法と法律の制定を行った、それだけは信じてほしい」

ああああ「そう!僕は個人的に複数の弁護士を雇い、この法の抜け穴がないかの、十分な検証を行いました」

サンロー「ちょっと待て『ああああ』よ、貴様いつの間にそんなことを……」

姫子「そうよ、そういう事するなら、少なくとも費用は折半するところでしょ!」

ああああ「いや、いいんだ、俺の自己満足だし……個人資産なら、まだ十分ある。ただ、ケオエコで食うに困ったら食糧を貸してくれ」

サンロー「馬鹿を言うな!私は君だけの我儘だなどと、一切思っていない!掛かった費用はきちんと負担する!」

姫子「そうよ!なんであんただけ……そんな負担を、一人で背負おうとしてるのよ!」


 建国式で唐突に明らかにされたこの事実に、多くのケオエコプレイヤーは強く心を動かされた。


観衆A「俺はデモケオを支持する!そして、その負担に……少しでも力を貸したい!」

観衆B「マジで感動したわ……ケオエコにも、こんな凄いプレイヤーがいたんだな」

観衆C「俺は余裕があんまり無いけど……デモケオに入国して、きちんと税金払うわ」


 しかし『ああああ』の気持ちは揺らがなかった。


ああああ「まずは、僕が求めるのはケオエコプレイヤーの安全だ!だから、住民税は徴収せざるを得ないが、どうか入国して欲しい!」

サンロー「いや貴様、そうやって一人で背負おうとするのは悪い癖だぞ……せめて私を頼ってくれ、そんなに私は不甲斐ないか?」

姫子「あ、サンロー、『ああああ』に資産入金しましょ」


 姫子もサンローも資産入金を使うが『ああああ』は入金拒否をする。


ああああ「僕達の国は名前の通り、民主主義国家だ!議会は二院制!日本の体制に近づけながら、ケオエコの実態を踏まえた法体系になっていると思う!」

サンロー「おい『ああああ』よ、話を聞きたまえ!」

姫子「ちょっと、なんで入金拒否してるのよ!」

ああああ「確かに建国したのは我々『エコ・リバース~でこぼこたいら』だ、だけれどその国を運営するのは、国民の皆さんだ!ぜひデモケオに入国し、ともにこの国の未来を築いてほしい!」


 この突発的トラブルを見て、建国式の指揮を執っていたエコ・リバース派の面々は、咄嗟の判断で建国式を終わらせた。

 エコ・リバース派の面々に『国会議事堂』に追いやられてからも、言い合いは止まらない。


サンロー「『ああああ』よ、私は食糧を貸すなんてこと、一切しないぞ!」

姫子「癪だけど、今度ばかりはサンローの言い分に賛成だわ」

ああああ「すまん、さすがに甘えが過ぎたな、はは……」


 しかしサンローも姫子も、別に怒ってはいない。


サンロー「私は食糧を貸すなど一切しない、とそう言ったのだ。それ位は黙って受け取れ」

姫子「そうね、建国者が餓死とか洒落にならないし、私たちの沽券に関わるわね。絶対受け取って貰うわよ」

ああああ「ありがとう……本当に感謝する」

サンロー「全く、水くさいな……私たちの仲じゃないか」

姫子「ホントそうよ、本来ならきちんと費用払いたいのに……」


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