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七話 サイズに電話をかけさせました

七話 サイズに電話をかけさせました



 エビフレイはすぐになくなった。足りないと文句を言ってくるが、黒星が作ってやると言うと、

「口の中が中華になるのはちょっと……」

「タルタルソースの味を消したくない」

と拒否してきた。


「お前等食い足りないって言ったろ!」


 要としては黒星の料理がそこまで指定される事に納得はしなかった。だからタルタルソースを否定した彼の味方をした。


「中国料理おいしいよ」


「それは分かってる。私達は食べ慣れた黒星の料理じゃなくて、珍しい人間の料理が食べたいのよ」


 エスパーダが言った。


「ねえ、そういえば卵焼きは?」


 サイズに聞かれて思い出した。小人用ビニールプール(特大)に入るために、みんな昼をセーブしたのだった。エビフライで満足しないのはそのせいか。


「卵はタルタルソースにしたからもうない」


「うー」


 明らかにテンションが下がった。不満をさばいていたはずの黒星もだ。


「そんな事より、さっきもう一人、小人を助っ人に呼ぶって話だったけど」


「そんな事って……」

と話題の転換に失敗する。食べ物はそんな事ではないらしい。だが要は強行突破する。


「マダムやシールドを取り返すんだろ? それに出来れば能と就君も助けて欲しい」


 要は頭を下げた。それでも小人達は見上げているが、心意気が伝わったようだ。


「銛の嫁には俺が話を付ける。ライトハンド、レフトハンド、お前等もついてこい。未亡人に粉かけると思われたくないからな」


「あいよ」

「アックスは連れて行けないもんね」


 その後、「俺もついていく!」と宣言したアックスを全員で無視した。そして要が提案する。


「残りは俺とある人にやってもらう。サイズ」


「はえ?」


「兎真さんの連絡先知ってるか?」


 フルフルと首を横に振る。


「兎のスマホでゲームしてたから。電話した事ない」


「そっか。電話掛けてみようか? 出るかは分からないけど」


「うん! やる」


 念のため、メアドと電話番号を想から受け取っておいて良かった。


 メアドをサイズのスマホに登録させ、メールでアポを取る事にした。初めてのメールにサイズは楽しそうだった。


 送信したのを確認して、要はサイズに電話番号教えた。アックスがメモってるのが見えたが、今はそれにかまっている暇はない。


 サイズは電話を掛けた。


 すぐに反応があった。


「サイズ! サイズなの?」


 周りに聞こえるようにスピーカーモードになっているので、要にも聞こえた。


「うん。兎、久しぶり」


「お腹空いてない? ちゃんと眠れてる?」


「うん。要がおいしいもの食べさせてくれる。今日は卵焼きとエビフライだよ」


「要って誰? 男の人?」


「うん」


「今、その人と二人きりなの?」


「ううん、エスパーダもいるし、みんなもいるよ」


「エスパーダ? 外国人? みんな?」


「エスパーダはコロンビアの人だよ。みんなはみんな。いっぱいるよ」


「大丈夫なの?」


「うん。今日博士が攻めてきたけど追っ払ったんだよ」


「要さんに助けてもらったの?」


「みんなでやっつけた。私も博士の手を撃ったよ」


「撃った?」


「ライトハンドとレフトハンドに銃を作ってもらって、師匠に撃ち方を教わったの。だから博士を追い返したの」


「へぇ……」


 明らかに兎真が引いているのが分かる。サイズが外に出て、粗暴なほうにシフトしたと思っているのだろう。だがサイズは嬉しそうにしている。彼女は自分の成長報告して、ホメて欲しいのだ。


「あのねサイズ。その、要さんって人に会えないかしら」


「うん、良いよ。要の家に来られる?」


「えぇっ⁉︎ 男性の家? ファミレスとかにならない?」


 何か想像が膨らんでいるようだが、要はエスパーダ一筋だ。


「ファミレスは味が濃いんだよね。要のがおいしいし、あ、エスパーダもいるよ」


 サイズは家食が好みのようだ。要の負担が増えるが、他人に小人の存在を知られるリスクに比べればはるかにマシと言える。


「サイズ、グルメになったのね。良いわ、そちらに行くって伝えてくれる?」


「みんな聞いてるから大丈夫だよ。詳しくはメールで」


「え? もしかして要さんも聞いて……」


 そこまで聞こえたところで電話が切られた。サイズは用事が済んだらさっさと切るタイプのようだ。


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