四話 みんなでお留守番です
四話 みんなでお留守番です
風呂に入ってから要は出かけたのだが、せっかちな連中はそれでも文句を言ってくる。
「要さん、早く」
「おいしい物がなくなっちゃう」
「そーだそーだ」
食欲まみれのスミス姉妹とサイズは、要が風呂に入る時間すら惜しかったらしい。さすがに血の臭いをさせて出掛けると帰って来られなくなる確率が格段に跳ね上がるので、待ってもらった。
それでも文句を言われた。
「さあ行くんだ」
「僕等のご飯のために」
「そーだそーだ」
風呂から出た要は追い出されるようにスーパーに行き、食材の買い出しに向かった。
昼間は卵焼きだったので、卵以外にしようと思った。しかし小人の口に合い、なおかつリーズナブルな物となると限られる。うるさがたが三人もいるし。
迷った要は想に連絡を入れた。当然都が反応する。
『何?』
『今飯時だろ。何食ってる?』
『海老天丼』
『エビか』
天丼は悪くないが、スミス姉妹はライスを嫌がるかもしれない。そうなるとエビフライが妥当か。
『そんな事聞くためにメッセージくれたの?』
『能達が捕まった。宿守応該の研究所の場所を知りたいんだ』
そこから返事がなくなった。おそらく想に話を持っていってくれているのだろう、
しばらくして電話がかかってきた。スーパーに入った後だったので、買い物しながら出る事にした。
「悪い」
「いや、こっちこそ、食べてたんだろ」
「いや、宿守応該の事だ。俺のせいで居場所がバレたんだろ?」
「ひょっとして探知ソフト作ったのって……」
「俺だ」
ちょうど手に持ったブラックタイガーを落としそうなった。持ち直したが、代わりにスマホを床に落としてしまう。カゴにブラックタイガーを入れてから、スマホを拾った。
「もしもし、すまん。落とした」
「いや、まさか本当に機能するとは思ってなかったんだ。超能力って言われても眉唾もんだったから、適当に作ったんだ」
適当に作った物で探し当てられるとは天才としか言えない。
「場所は分かるか? 研究所の」
「それは簡単だ。しかし人間が殴り込みに行くのはまずいだろう」
確かに許可なく入れば、不法侵入で捕まってしまう。警察を呼ばれたら、こちらに正当な理由を用意できない。娘やその彼と一緒にいるだけと言われ、マダムやシールドを隠されればもう詰みだ。
「じゃあどうするんだ?」
「小人達に任せてみよう。後、手引きしてくれる人間がいると良い」
「そんな人間いるか?」
「いるだろ。サイズを逃がした人だ」
兎真。確かそんな名前だったはずだ。
「連絡つけられるか?」
「それだったらサイズにやらせてみたらどうだろう。彼女も話したいかもしれない」
「分かった」
「すまなかったな。能ちゃんの事」
「しかたがないさ。想は悪くないよ」
「ありがとう。じゃあ、小人達にエビフライを食べさせてやりなよ」
電話を切られた。要がエビフライを作る事は読まれていたようだ。
「明日は何にしようか」
要は考えながら売り場を歩く。