三話 話し合いました
三話 話し合いました
まず、部屋の掃除から始める事にした。要一人では辛いだろうとエスパーダ達も助っ人を買って出てくれた。ありがたいと思った。
大まかなところは要がやって、拭き残りは小人達による各個撃破。血痕は見えなくなったが、臭いはどうしようもない。消臭スプレーを駆使して、後は我慢だ。
エスパーダとサイズには風呂を使ってもらい、アックスと黒星には小人用ビニールプール(特大)を使ってもらった。
「僕等の居場所が」
「追い出すなんて理不尽だ」
それまで入っていたスミス姉妹が文句を言ってきたが、撃退と掃除をしなかった事を責め立て追い出した。風呂場に逃げて行ったが、向こうでも責められるはずだ。
「お疲れ様」
要は残った二人に声を掛けた。
「まさか人間と戦う羽目になろうとはな」
「サイズは守り切った。シールドは……残念だ」
マダムの事が話題に上らない。
「助けに行きたいけど、協力してくれないかな」
「すぐは無理だろう」
「まず敵の場所知らなければならない、それはシールド達のスマホのGPSで出来るが、読み取る方法を知らんからな」
「そういうのはシールドに任せていた」
「俺の友達に詳しいのがいるから相談してみる。それからサイズはうちで預かる事にした。危険なのは分かるけど、任せられる人がいない」
「お前んところは真っ先になしだからな」
黒星がアックスに言った。確かに応該達とは別の危険を与えてしまう。
「それに俺の料理より要のほうが良いみたいだしな」
黒星はいまだ根に持っているようだ。
「しかし人間は変な事考えるな。超能力なんて持って何の得があるんだ? シールドみたいになったら元も子もないだろう」
要も分からないが自分の考えを口にしたくて
「確かに超能力なんてなくても生きていけるけど、子供の頃憧れたものが実現出来そうってなったら研究したくなるのも分かる。だからってサイズをあんな風に扱ったらいけないけどね」
「ロマンを実現したいんだろう。俺も自分の料理に合う皿を作りたくて陶芸をやっているからな。大まかに言えばあっち側だ」
「じゃあ俺はお前等とは違うな」
「お前は性欲のために迷惑かけてるから俺達と同じだろ」
要は同意すると、アックスは要だけを睨んできた。
「なんで俺だけ批難されるんだ。みんな、女好きだろ?」
「お前は誰彼構わずに発情するから、嫌われているだけだ。お前、顔は良いんだからもっとスマートにだな……」
「スマートにやったらモテるのか? ハーレムが出来るのか?」
黒星は頭を抱えてため息をついた。
「ここまで頭が悪いとはな」
「アックス。モテなくても一人に好かれりゃ良いんだよ」
要が言うと余計に怒りだしてしまった。
「持ってるヤツが持たざる者に説教垂れんな。惨めだろうがよ」
「まあ、彼女いるヤツでハーレムとかいうヤツ頭おかしいもんな」
「お前は思わないのか?」
「ないな。そんな事を考える前に一人の女に全力を尽くせ」
「く……」
要以外に否定されて、この議論は終わりを告げた。どんなに良い答えでも言う人によって受け入れてもらえないのだと要は痛感した。
しばらくするとスミス姉妹がやって来た。二人は風呂場に行った時に着ていたシマシマの水着のままでいた。
「要さん達のせいで着替えがないじゃないか」
「濡れた水着をもう一回着るのは抵抗があったよ」
アックスと黒星は小人用プール(特大)に入っているので、二人の文句は要に向けられていた。
「ごめん。明日は入ってて良いよ。サイズはうちで預かるから、二人も泊まっていって欲しい」
そう言うと二人は飛び上がって喜んだ。
「わーい! 要さんのご飯が食べられる」
「いっぱい食べるぞ」
嬉しそうにエスパーダの部屋へ消えていく。
風呂に入ったら買い物に行かなくてはと思い、要はため息をついた。