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御徒町樹里の冒険(改)  作者: 神村 律子
悪魔ムツリ編
49/52

悪魔ムツリの逆襲 その四

 悪魔コツリの弟を名乗るムツリの謀略で、仲間を襲撃された勇者一行は、元魔王コンラの指揮の下、ムツリ達のいる孤島に来ていました。


 武闘家スザーを苦戦の末倒した一行は、動けなくなったスザーと気を失ったユーマを船に残し、先を急ぎました。


 しかし、剣士ゴウンが隠れ家の場所を失念し、未だに到着できないでいます。


「お前、ひょっとして方向音痴か?」


 痺れを切らせたコンラが言います。ゴウンはギクッとして、


「いえ、そのような事は……」


「まあ良い。樹里、頼む」


 コンラは妹の御徒町おかちまち樹里じゅりを見ました。


「はい、お姉ちゃん」


 樹里はローブの下から何やら怪しげな人形を取り出しました。


 赤いワンピースで、一見可愛い少女の風貌ですが、妖気が漂っています。


「何、それ?」


 役立たずナンバーワンとの呼び声が高い元勇者のユウが尋ねます。


「ムツリ探知機だ」


 コンラが代わりに答えました。ユウはビクッとします。


「頼みますね」


 樹里は人形の頭を撫でて地面に立たせます。


「コッチヨ」


 その人形は今まで皆が向かっていたのと全然違う方角へ歩き始めました。


 それを見たゴウンは項垂れてしまいます。


「大丈夫ですよ、みんな貴方の強さはわかっていますから」


 樹里がゴウンを慰めます。ゴウンは涙ぐんで、


かたじけない、樹里様」


 こうして一同は、ムツリの隠れ家にようやく近づき始めました。


 


 しばらく進んだ時でした。


「この妖気は!?」


 美人武闘家のカオリンとユカリンの姉妹が殺気立ちます。


 大魔導士カジューも険しい表情になりました。


「おのれ、あやつか!」


 しかし、魔法を使えないカジューは、元勇者とさして変わりません。


「ここにいたか。どこを彷徨っていたのだ、阿呆共が。探したぞ」


 現れたのは、暗黒騎士セインでした。「ムツリ探知機」の人形が立ち止まります。


「ひいい!」


 ユウはその妖気に恐れをなし、樹里の後ろに隠れました。


「お前が暗黒騎士セインか。私のカジューを可愛がってくれたそうだな?」


 コンラが進み出ます。するとカオリンとユカリンが、


「ここは私達が!」


と飛びました。


「カジュー様の仇よ! 食らえ、ブサイク騎士め!」


 二人の連続攻撃が炸裂します。


「ぬおおお!」


 セインの真っ黒な鎧はカオリン達の攻撃でバラバラに砕けました。


「どうよ!」


 カオリンとユカリンは、着地して見得を切ります。


「その程度か、武闘家よ」


 セインはカオリン達を見下ろしました。


「ああ!」


 カオリンとユカリンが絶叫します。


 鎧と仮面を失ったセインは、カジューよりもイケメンだったのです。


 しかも、若い。まだ十代かもです。しかも、金髪で青い目です。


「セイン様あ!」


 始まってしまいました。カオリン姉妹の「イケメン至上主義」です。


 二人はもはや味方ではありません。


退け、役立たずが」


 コンラがカオリン達を放り出します。


「きゃあああ!」


 カオリンとユカリンは、船まで飛ばされてしまいました。


「ほお。早速大将がおでましか、コンラ。だが、お前では私には勝てんぞ」


 セインはニヤリとしてコンラを挑発します。しかしコンラは、


「残念だったな、暗黒騎士。大将は樹里だ。私は下っ端だよ」


と挑発し返します。


「減らず口は大将だな」


 セインが槍を構え直して言います。コンラはクイと人差し指を曲げ、


「かかって来い」


「言われるまでもない!」


 セインがコンラに突進します。


「コンラ様!」


 カジューが叫びます。でも何故か樹里は笑顔全開です。


「はああ!」


 コンラが気合を入れると、セインの身体が粉微塵に砕けました。


「再生などさせんぞ!」


 コンラはツボを取り出し、それに砕けたセインの身体を吸引してしまいました。


「呆気ない。もう仕舞いか」


 コンラはフッと笑いました。


「さ、さすがコンラ様です!」


 カジューが感激して泣いています。


「さあ、先を急ぐぞ」


 コンラが歩き出します。それを見て、人形も先導を再開しました。


 その時でした。


「待て、コンラ。私はまだ生きているぞ」


 その声にコンラが驚いて振り返ります。


「お前では私は倒せぬ。だからこそ、私はここにいるのだ」


 先程と変わらない憎憎しさで、暗黒騎士セインは馬上にいました。

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